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大きな問題は「一本勝ち」ではなく、「併せて一本勝ち」を目指して対応する

あるクライアントさんと打合せをしている時、売掛金の未回収が多いという問題点が出てきました。

このクライアントさんの場合、売掛金の一つ一つの金額は小さいが、件数が非常に多いために、どうしても売掛金の入金チェックに時間がかかるという構造的な要因がありました。

これについては売掛金の消込方法について、経理部長にいくつかアドバイスさせていだたいたのですが、いろいろとお話をお聞きするうちにまた新たな問題点が発見されたのです。

例えば、営業担当者。

営業部長によると、営業担当者は売掛金の回収について関心がないとのこと。

では、「なぜ営業担当者は売掛金の回収について関心がないのか?」と質問すると、売掛金の回収については営業の目標になっていないことが分かりました。

つまり、この会社では、注文書をもらって売上を計上したらカウントするという目標設定だったのです。

そこで、「なぜ売掛金の回収までトレースしていないのか?」とお聞きすると、

  • 営業担当者は商品の納品までやっている

  • 商品の納品にはかなりの時間を使っている

という業務実態が浮かび上がってきました。

そして、その要因をさらに掘り下げていくと、担当先が業種別に分かれており、地域がバラバラであるという営業体制の問題にたどり着いたのです。

このように、「売掛金の未回収が多い」という問題一つとってもその要因はたくさんあります。

そして、大きな問題点については様々な要因が複雑に絡み合っているので、一つの対応策で全てスッキリ解決することはありません

先の売掛金の事例で言えば、単に「売掛金の回収を営業の目標にする」というだけでは不十分です。

目標にすれば今よりも売掛金の未回収は減るかもしれません。けれども、商品の納品に時間がかかり、担当者に時間的な余裕がないと、売掛金の督促も中途半端に終わってしまう危険性があります。

この場合は、

  • 担当者が自ら納品するという業務フローを見直して外注業者を使って納品を行う

または、

  • 業種別担当制を見直して地域別担当制にして納品業務の効率化を図る

といった対応策も同時に検討していく必要があります。

問題点がある場合は、「なぜ」を最低5回は繰り返す。すると解決すべき潜在的な課題が自然と浮かび上がってきます

特に売掛金の回収などキャッシュフローに直結する問題点は、経理に任せっきりにするのではなく、営業や製造部門も巻き込んでいろんな角度から掘り下げて対応しましょう。


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