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「生殺与奪の権を他人に握らせるな」は会社と銀行との関係でも言えること

3期連続表彰から不良債権の山へ。

これは私が銀行の某支店にいた時に経験したことです。

私がその店に配属になったのは年号が昭和から平成に変わった直後。その店には約3年間いたのですが、前半はバブルの波に乗って、預金や貸出金も順調に伸びていました。

毎週のように店の会議室では不動産案件の大口取引が成約。本部から課せられた高い目標もクリアし、業績優良店として毎期表彰されていたのです。

しかし、総量規制が始まって状況が一変。不動産、建設、ノンバンクに対する融資規制が始まりました。すると、今まで稼ぎ頭だった取引先に対する融資への対応が厳しくなり、優良取引先が、借入金を返済できない不良債権先となってしまったのでした。

会社が業績を伸ばしていく際、借入金を上手に活用することで、そのスピードを増すことが可能です。

自己資金で対応する場合、収益を上げて手元資金を増やしていくことが王道です。しかしながら、この場合、

・着実に収益を確保する
・ある程度まとまった資金を貯める

までに時間がかかるというデメリットがあります。

この点、銀行など金融機関からの借入金を活用することで、手元の資金が不足しても事業を拡大できる可能性があると言えます。

しかし、借入金に頼りすぎるのも危険。融資を出すか、出さないかの判断基準は最終的に自社ではない第三者が握っています。このため、先方の状況の変化によって今まで通りの条件で借入できるとは限りません。

総量規制が実施された背景には、土地や建物の高騰を抑えるという政府の方針がありました。そして、平成の徳政令とも言われる中小企業金融円滑化法が期限切れを迎えることを受けて、金融機関の対応がより厳しくなったという話をあちらこちらで聞きました。

そして、令和の時代。昨年以来緩い審査基準で融資を受けた先の借入金返済が本格的に始まる中で、業績が回復していない会社が多いと、再び銀行の対応が厳しくなることも予想されています。

「当社はメインバンクがしっかりしているから」
「貸出枠を設定しているので、5,000万円ぐらいはすぐになんとかなる」

というように、金融機関の支援体制をベースに資金繰りを組まれている経営者も多いかと思います。

しかしながら、「状況次第で、対応は変わる」というリスクに対する備えはけっして忘れてはいけません。まさに、「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」です。

仮に今ある借入金をすべて期限に返済しなければならない場合、自社の資金繰りはどうなるのか?

一度シミュレーションしてみる価値は大きいです。

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