騙されたのに気持ちがいい謎
西武の広告、話題になっていますね。
「この西武の広告で、モノ売れるのか?」「これはブランディングであって、販促広告じゃない!」みたいな議論は、今回はしません。
そこの整理については、チカイケさんのnoteが素晴らしいので、こちらをご覧ください。
私はこの広告を見て、読んで、思わずニヤッとしました。
その時思ったことは、
◉うまいことやったなー。見事に、してやられた!
◉コピーでこういうアプローチがあるとは、やられたなあー
よくできてる。いちクリエイターとして悔しいなあー
◉この広告を通す西武さん、ええやん
ちょっと純粋な生活者目線ではないかもしれませんが、こんなことを思ってニヤッとしてしまいました。
そして同時にもう一つ思ったのは、
巧妙な仕掛けにしてやられたのに、なんでうれしいんだろう。楽しいんだろう。
ということ。
「マジック」とか「トリックアート」とか、小説の「伏線からのどんでん返し」みたく、『騙す』『人の予想を覆す』という行為の中には、人をポジティブな気分にさせるものがある。
人はそれを楽しみたくて、わざわざ騙されに行くことすらある。
とすると、人は、
◉騙し方に驚きがある
◉騙された結果、ポジティブなオチがあるもの
に対して好感を持つ生きものなのかも。嘘とか詐欺とかだと、直接的な被害があるので、オチがネガですもんね。
つまり、サプライズと一緒か。(驚きからのポジティブ)
今回の広告も、最初はあえて逆説的なことを言っていると思わせている。
一般論:「諦めないことで大逆転できる」(こう言ってほしい)
広告の主張:「大逆転なんて起きないよ」
逆説的な入りにすることで、「え?なんで?」と思わせて、見た人を引き寄せる。広告コピーの一つのテクニックだったりする。
とはいえ、企業広告だから「でもやっぱり、、」っていうオチがあるんでしょ?心の中ではそう思いながら読んでいる。(これは業界の人間だからかな?笑)
「で、そのオチは何?どういう風に巻き返すつもりなの?」
そう半分疑いながら読み進めるのに、全然ポジティブな論調に転換しない。
「あれ?最後まで変わらなかったぞ・・・どういうこっちゃ(汗)」
そう思っていると、小さな文字で「下から読んでみてね」って書いてる。
「まさか・・・」
と思いますよね。そして、案の定逆さに読むと、意味が逆転する。
文字で作ったトリックアート。
「やられた〜!(でもたのしい〜)」
ちなみに、詐欺的な『騙す』でも人の気持ちがポジティブになる事例もあると思う。それは、
他人の騙された話
特に、お金持ちの人とか、権力のある人、が地位の低い人とかに騙されて、痛い目にあう。これもある意味、聞いている本人は痛くないので「ざまあみろ」「あースッキリした」とポジティブな気持ちになっている。
「人の不幸は蜜の味」とはよく言ったものだけど、これはさっきのポジティブさとはちょっと種類が違うかな。
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そして最後に、今までの話と全然関係ないんですが、「DV」をテーマにした社会実験で、逆転によって気づきを与えるアプローチが昔ありました。個人的にすごく刺さった動画なので最後に紹介させていただきます。
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