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五感
ここ暫く体調が悪く、生活リズムが少し狂い始めていたので、早朝に近所を歩くことにしている。毎日ほぼ同じ道を歩いているが、歩くたびに、その空気感や空の色、五感の感じ方がかなり変わってくる。
只々、今いる自分を意識する事、肯定する事が、人として持ち合わせている感覚をよりセンシティブにしてくれるのではないかと思う。
そういう意味で、五感はとても大切だと思っている。何故なら、時として五感を通じて、形容し難い感覚を我々自身は体験する。しかし、人は言葉で他者に対して表現する生き物である。という事は、その感覚に近い表現を常々言葉としてストックしておかねば、近似する表現には辿り着かない。
しかも、ボキャブラリの豊富さだけでは、使い物にならない。その言葉の意味を経験していなければ、複雑に入り組んだ感覚を表現する事は、難しくなっていくのである。古き日本人たちは、経験と想像を膨らませ、五感に訴えかける文学を成立させていった。しかも、言葉の字数を制限したり、符牒のような掛詞など様々な独特のルールを課した上で、表現を洗練させている。
今一度、五感のもたらす効用というのを見直しているところである。
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