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私の昭和歌謡60  旅の宿 1972

湯上がりに浴衣の君はと歌われて胸ときめかす昭和の女


私は吉田拓郎が人気の頃は、ほとんど彼に興味がなかった。ボブ・ディランの音楽に興味がないのと同じ理由だ。

中学3年生のとき、PPM(ピーター、ポール&マリー)のカバーグループを作ってミニコンサートをやった。

募ったグループが、レッドツェッペリンをやった時は、「下手だなぁ。もっとシャウトしろよ」と思ったりした。

でも、吉田拓郎の「旅の宿」を弾き語りする子に、「やだー合わない。私たちのグループの雰囲気に」なんて思ったりした。ごめんなさい。多様性があっていいじゃない。

私が、吉田拓郎に興味を持ったのは、彼の後から登場したフォークやロックやニューミュージックの歌手たちが、みんながみんな吉田拓郎のファンだと知ったからだ。

えーー!そんなに人柄がいいの?なんで好かれるの?そりゃ、ラジオのトークは面白いけど、彼なんかより、後進のあなたたちのがよっぽどいい曲作ってるじゃないの?

と、私は不思議なのです。誰か教えてください。

ま、いい。「旅の宿」で好きなのはギターのイントロだった。それだけ。
おっと、まだある。歌詞だ。

岡本おさみ。

彼の詩は好きだ。
🎵浴衣の君はススキのかんざし🎵このフレーズを、拓郎節じゃなく演歌歌手が歌ったら、私はグッと来るんだけどな。
人それぞれ好みはある。許してほしい。

エルトン・ジョンのバーニー・トーピン。
ELPのピート・シンフィールド。

いいなぁと思う作詞家は英国ばかりだった。でも、岡本おさみのはいい。

🎵祭りのあとの淋しさが いやでもやってくるのなら
祭りのあとの淋しさは たとえば女でまぎらわし
もう帰ろう もう帰ってしまおう
寝静まった 街を抜けて🎵

岡本おさみは、自分で売り込んだらしい。拓郎も詩を読んで、自分の歌いたい歌詞だったんだろう。こんなにも言葉にあって、しみじみと心に沁みるんだから。

🎵生きてゆくのは ああ みっともないさ
あいつが死んだ時も おいらは飲んだくれてた
・・・また あの悲しみを おきざりにしたまま🎵

私がすごいと思うのは、吉田拓郎が歌いそうな歌詞を作れるってことだ。だから、もらった歌詞に自然なメロディーがつけられたんだと思っている。

だって、岡本さんは岸田智史の「きみの朝」の作詞をしている。
🎵モーニング モーニング きみの朝だよ🎵

そりゃあ、拓郎風の言葉が少しあるけれど、全くの別物だ。

だから吉田拓郎に渡す歌詞は特別だったんだろうと思う。

私が一番好きなのは「リンゴ」
🎵ひとつのリンゴを君がふたつに切る
ぼくの方が少し大きく切ってある
そして二人で仲良くかじる
こんなことはなかった少し前までは
薄汚れた喫茶店のバネの壊れた椅子で
長い話に相槌打って
そしていつも右と左に分かれて🎵

この3番は、二人がリンゴをかじっていて、”ぼく”が”きみ”に
「ほらほらそんなにほおばると話せなくなっちまう」って終えるから、

同棲(当時神田川とか流行ってたなぁ)してる一場面で終えるの。

岡本おさみさんのご冥福をお祈りします。
私の心に耳にあなたの歌詞は生きています。


【参考資料】

印象的なイントロが聴ける動画

これが政治色が抜けたフォークのはじまり

大好きな「リンゴ」





【前回の記事】



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