見出し画像

【映画】ゲット・アウトに関するネタバレメモ・別エンドなどまとめたもの

短い感想はFilmarksに。
長すぎるのでこの覚え書きをnoteに。
DVD版に収録されている別エンドと非公開シーン、没になったエンド案をまとめています。



Get Out =出ていけ!

「ゲット・アウト」は、アメリカのコメディアン(お笑い芸人)、ジョーダン・ピール手がける初脚本・監督作品。
ホラーと笑いは紙一重なのである。うん、めっちゃ分かる。

白人富裕層、人種差別、奴隷制度からの解放、警察への不信。
様々な重いテーマを取り扱っているホラー映画。
しかしそういった前知識は頭になくても、映画として楽しめる。
知ってるとより面白くなる。


■ネタバレなしの登場人物紹介

クリス
体格の良いアフリカ系アメリカ人のお兄ちゃん。26歳。ニコチン中毒でカメラ小僧。過去に母を事故で見殺しにしたという自責の念からトラウマあり
ローズ
ドラマ女優のアリソン・ウィリアムズが初映画。
かわいくて強い理想のヒロイン!
ロッド
クリスの友人。TSA(運輸保安庁)
シド
クリスのわんこ
ディーン
ローズ父。脳神経外科医、黒人には好意的。彼の父は優秀な短距離走者だったが黒人選手には勝てなかったという…
ミッシー
ローズ母。精神科医。催眠術のプロフェッショナル
ジェレミー
ローズ弟。クリスの優れた身体能力に対抗心を燃やし、アームロックをかけたがる
ウォルター
黒人の使用人その1。優れた脚力の持ち主。ローズに好意を抱く?
ジョージナ
黒人の使用人その2。鏡で身だしなみを整えるのが好き?不自然な笑顔が怖い?


以下、ネタバレメモ。


■覚え書きメモ(ネタバレあり)

冒頭で誘拐される黒人はアンドレ・ヘイワース。中盤で再登場するローガン。
彼はジャズシンガーであり、クリスもよく彼の曲を耳にしていた。またロッドの知り合いでもある。
アンドレは鉄仮面を被ったジェレミーにアームロックをかけられ誘拐された。
その仮面は終盤で再びまみえることになる。


クリスとローズ、道中にて。
白人警察官がクリスに対し免許証の提示を求めるが、それを止めるローズ。
表向きは彼女が人種差別反対派でクリスを庇ったように見える。
実際はクリスの身元が割れることを恐れての行動だった。
ゾッとするね。


カップのティーをこぼすジョージナ。
「白人家族に受け入れられているクリスに対する妬みかな」としか思ってなかったんだけど、実はここで人格の入れ替わりが瞬間的に起こったのかもしれない。

アーミテージ家の人、この時点で怖い。
とりあえず急に出てくるのやめーや!


ローズ母に催眠術をかけられちゃうクリス。
じわじわと、平穏の陰から静かに迫ってくる狂気。
直接的に怖いシーンはないが、終始ドキドキさせられる。

懇親会、ここでローガンという黒人男性が登場。
あれ、この人アンドレ・ヘイワースじゃね?
クリスは彼を盗撮、携帯のフラッシュが原因で暴れ出すローガン。
出ていけ、今すぐここから離れろ!
彼は混乱する頭の中でクリスに必死の呼びかけを行う。

どうやら催眠には強いフラッシュを浴びせることが効果的らしい。

様々な出来事からこの家に不信感しか抱けなくなったクリス。もたもたするローズを連れて早く家を出ようとする。

その直前、クリスはローズの部屋で見てはいけないものを見てしまっていた。
多くの黒人とツーショットで仲睦まじく写るローズの写真。
その中には、今の相貌とは大きくかけ離れたジョージナの姿もあった…



屋敷を出ようとするクリス、しかし一家に襲われる。
ローズ母のティーカップを使った催眠により身体が動かなくなる。クリスは地下に監禁される。


一家はグルだった。
金持ちの白人たちは強靭な肉体を持つ黒人を羨んでいる。
アーミテージ家はそんな白人たちの脳を黒人へと移植し、理想の肉体・永遠の命を謳歌させる人身売買ビジネスを行う極悪組織だった。
一家はそのために素晴らしい知恵・技術・身体能力を持つ黒人を次々と拐かしていたのだった。
ローズがクリスに近づいたのもその為。

終盤ここから怒涛のネタバラシ!やってくるグロシーン!なんやねん一体!
盲目の絵画評論家がクリスの身体をビンゴゲームのようなオークションで競り落とす。
手術は早々に行われる。
医療器具で脳みそパカっと開けるところはちょっと「ソウ」シリーズを思い出しちゃう。

催眠の抜け穴を知り形勢逆転のクリス、その恵まれた肉体で一家をやるとこまでやる!

情報を整理すると、
ウォルター(使用人①)→ローズ祖父
ジョージナ(使用人②)→ローズ祖母
の脳みそが詰まってたということらしい。
クリスが来たときだけ使用人のフリをしてたってわけ。


ローズ「おじいちゃん!(GO!)」
ローズに使役されクリスを猛ダッシュで追いかけるおじいちゃんはさながらポ●モンのよう。
おじいちゃんの でんこうせっか!
だがクリスはわざマシン「フラッシュ(スマホ)」を持っていた。

クリスの咄嗟の機転で洗脳を解かれたウォルター。
猟銃でローズの胸を撃ち抜きトドメを刺す。
直後、涙を流しながら自らも猟銃で命を絶つ。

その後、パトカーでやってきたロッドがクリスを救出。

心のオアシスだと思ってたヒロインが実は極悪非道のマザフ●ッカーだった、てか家族全員グルでしたってオチ。
何を信じればいいかわかんなくなるね。

一応クリスは助かってハッピーエンド?なのだが、なんだこの感じ…。
とりあえず持つべきものは友だね!友情最高!ってとこなんだろうか。
TSマザファ●キンA、シビレるぜ。


■別バージョンのエンディング

屋敷の脱出からの分岐。
クリスはローズの首を絞めてトドメを刺す。

パトカーのランプがこちらにやってくる。
しかし来たのはロッドではなく、ガチ警察。
絞殺・放火などの現行犯でクリスは逮捕される。

そして半年後…
ロッドは獄中にいるクリスに会いに行く。

クリスは精神的ショック、苦痛、全てを自分の裡に閉じ込め、投獄を受け入れている。
屋敷を含め"クソ秘密結社"の証拠は全て焼け落ちてしまった。
そして司法制度は、裕福な白人に都合がいいようにできている…

クリスはあの屋敷から逃げ出す道中、ジョージナを車ではねたことにより母親のトラウマが蘇った。
しかしその後の結果がどうあれ、彼はジョージナ(=母親)を見捨てず車に乗せ、助けた。これは彼の中にすむ悪魔、トラウマを払拭したともいえる。
クリスは多くの黒人男性と同じく、不当に投獄されている。しかしクリスの魂は解放された。彼は自由なのだ…と、そんなエンド。

これは水面下の人種差別、オバマ大統領時代に描かれたエンディングである。現実の一端、目を逸らさない真実が映し出されている。
しかしこのエンディングが描かれたとき、反人種差別活動の芽が実を結び始めていた。
解放されることを望む人々のため、エンディングを差し替えたという背景があったのだ。


■非公開となったシーン

①ローズは高校の時、お芝居でのあがり症を治すために母の催眠術を受けたことがある
このシーンにより、彼女は過去に催眠術を受けたことがあること、そして舞台女優としての役者経験があるということが判明する。
視聴者が早い段階からローズに疑いの目を向けてしまうのでカットされた。英断。

②親睦会でのロングシーン
「時代は黒だよ」という会話の流れがより詳細。しつこく感じたので多少カットされた。
クリスの身体を見て触れて「ステキ」「それで…強いの?」とうっとり話すラザフォード夫妻ら。
彼らはクリスの身体を文字通り「品定め」していた。
特に女性。クリスの雄々しい肉体に抱かれることを想像していたに違いない。

③バドミントンをするクリス、ローズ、ジェレミー
バドミントンは苦手らしいクリス。
彼らの元にはギャラリーが集まってくる。
「期待を裏切るな」とジェレミー。
この一言、二周目だからこそ刺さる。
クリスは商品としてデモンストレーションをさせられていたわけだ。

このシーンではエキストラが使われていたが別になくてもいいのでさっくりカット。

④沈んだ地のシカ
予告編では使われたらしい。
ホラー映画としてのテイストが強くなるため本編ではカットされた。
スケアジャンプやめろぉ!このシーンなくてよかったよ。
骨だけ残った不気味なシカはクリスの中の悪魔の象徴、そして理想の父親像であるという。

⑤ラトーヤ刑事に友人が行方不明であることを話すロッド
警察への過信を出したかった。
警察にかけ込めば安心、という考えは安直であるという皮肉が込められている。


■没になったラストシーン案

ロッド到着後からの分岐。

①性の奴隷
クリスを助けたロッドは、車内で自身の推測した「性の奴隷」について話す。クリスが奴隷にされなくてよかったぜ!
は?性の奴隷??とクリスは内心思ったかもしれない。何故なら真相はこれを遥かに超える、想像を絶するものだったのだから…
面白いセリフではあるが視聴者には興ざめのためカットされた。

②「なあ、愛を諦めるな。必ず次がある。ウソじゃない。俺が経験した」
普段のロッドとの性格にギャップがありすぎたためカット。

③「白人の女はやめろ!二度とな!」
ジョークが過激すぎたのでカット。
ウェインズ・ワールド」も面白いから観てねby監督


④「独身のいとこがいる。子供の父親は塀の中、子供は2人。16歳の双子だ。いとこは32歳。計算できるな?2年後には家はお前のものだ」

クリスを励ますため、いとこを売り込むロッド。
独身のいとこ以下はアドリブ。監督大爆笑。ロッドが頼れる男すぎたのでカット。

⑤「トイレ借りられるかな」
なんと第三候補まであがってたセリフ。
とにかくトーンが違っていたのでカット。コメディ映画としては最適解。

⑥「彼女、トランプ派?」
第二候補だった、というかほぼこのエンドになる予定だったという。
アンチトランプ映画であることを強調したくなかった。また撮影した時期も問題だった、あと風刺は時代を感じさせてしまうのでカット。

さすがコメディのプロ監督。どれもアクが強すぎる。
さらにはロッド役のリルレルもコメディ出身である。
とてもいい演技している。

結論としては、劇場版エンドで良かったと思う。
どの没エンドもコメディとしては秀逸すぎるのだが、もしこれらが採用されてたら多分「ゲット・アウト」はここまで人気映画にはならなかっただろう。
ドラマやコメディ出身から構成されるキャストを見る感じ、製作側もここまで売れる映画になるとは考えてなかったはず。奇跡のバランスとタイミングがこの映画が評価される理由を生み出したように思う。

そう考えると「カメラを止めるな!」に近いような気もするね。なんとなく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?