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「余白」をつくるプロジェクト


※このnoteは武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科クリエイティブリーダシップコースの「クリエイティブリーダシップ特論」という、クリエイティブの力をビジネス・社会に活用しているゲスト講師の方々による講義のレポートです。


4/26の講義では、東大→コンサルというキャリアを経て、福井県鯖江市の体験移住事業「ゆるい移住」をきっかけに福井で活動をしていらっしゃる森一貴さんに、森さんが取り組んできた活動や今考えていることについてお話を伺いました。

Profile
森一貴 Kazuki Mori
山形県生まれ、福井県鯖江市在住。「社会に自由と寛容をつくる」がコンセプト。フリーのプロジェクトマネージャー/サービスデザイナーとして、人々の「できる」という確信=Capabilityを引き出す営みを探索する。職人に出会いものづくりを知る、福井のものづくりの祭典「RENEW」事務局長。半年間家賃無料でゆるく住んでみる全国連携移住事業「ゆるい移住全国版」プロデューサー。鯖江市にてシェアハウスを運営。(2021/3/8)
(引用:タマノモリ https://dutoit6.comより)

・森さんのnote: https://note.com/dutoit6


このnoteでは森さんのお話の中から印象的だったことについて書いていきます。




“つくり手“が驚いた工房見学プログラム

森さんが手がけたプロジェクトの一つに「RENEW」というものがあります。
RENEWは持続可能な地域づくりを目指した工房見学イベントで、福井県鯖江市、越前市、越前町で年に一回開催されています。“作り手”、“伝え手”、“使い手”をつなぐマーケットをはじめとして、展示・販売・トークイベント・ワークショップ等様々な取り組みが行われています。

私は鯖江市が眼鏡で有名ということは知っていたのですが、その他漆器や刃物、和紙など多くの名産品がこの地域(鯖江市・越前市・越前町)にあるそうです。
(日本に出回っている業務用漆器の約8割は越前漆器だそうです!知らなかったのでびっくりしました!)


このRENEWの活動のお話で興味深かったのが工房見学のプログラムの時のエピソードです。このプログラムでは訪問者迎え入れる“つくり手側“にもとてもポジティブな効果があったそうです。なんでも地元の人や観光客が工房を訪れた際に工房やつくっているモノに対し、「これ可愛い!!」などとポジティブな反応されたことが、つくり手側からすると驚きだったとか。外の人や若い世代から、ポジティブな反応をもらえたことがつくり手側の発見につながり、結果工房やショップが26店舗も増加したそうです。

「生産者が見えるようにする」という取り組みが最近増えてきているなと思いますが、「消費者が見えるようにする」という取り組みの視点で考えたことがなかったので、何かここをもう少し深ぼってみたいな〜なんて思いました。



“ゆるい”を伝播していくには?

森さんは鯖江市の体験移住事業「ゆるい移住」をきっかけに福井県に移ってきたそうですが、この「ゆるい移住」を他都市でも展開するプロジェクトをされていたそうです。
このゆるい移住では、“どこの都市に行けるかわからない“という制度にしたそうです。目的ありきできてもらうのではなく、どう生きるか悩む人に人生を模索できる「余白」を用意したかったそうです。

この「余白」「何が生まれるかわからない」ということでもあり、行政やビジネスの観点からすると中々理解されないものだなと思っています。
大学時代、同じく鯖江市JK課のパターンランゲージのプロジェクトを見学させていただいたときのインタビューで、反対の声も多かったということを聞いていました。

そのため、鯖江市以外で展開する時ってものすごく大変なのではないか、と思い他都市で実施するにあたりどんなコミュニケーションを取ったのか質問させて頂いたところ、いきなり行政に正面から持っていっても採択してもらうのは難しいので、いきなりトップの人に交渉するのではなく、中にいる知り合いから交渉を始めたり、広報予算として組み込むなどの工夫をしたとおっしゃっていました。「移住」というものに対する直接の効果が見えない、KPIを設定できない、という状況でも、他の意味づけから採択に持っていく方法がとてもなるほどと思いました。
そしてこの手段を取れたのもプロトタイプがあったからだろうなと思いました。企画案として持っていっても相手にされないと思いますが、鯖江市でやってみた実績や、そこで見えてきた付加価値が可視化されているからこそ交渉ができた、そんなふうに感じました。
一回作ってみる・試してみるって本当に色々な意味があることだなと改めて思いました。


※鯖江市長さんの考え方とっても素敵なのでこの記事もぜひ



最後に

何かが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれない、そんな「余白」をつくる、ということは大学時代からとても共感してきた価値観の一つのなので森さんのお話一つ一つにとても共感しながら聞いていました。そして、そんな価値観を伝播させていく姿勢がとてもチャレンジングですごいなと感じました。

また、自分はデザイン/クリエイティブな思考よりはロジカル/マネジメントの思考に触れる機会の方が現状多いのですが、森さんの強みとしてロジカルシンキングやプロジェクトマネジメントがあり、このようなデザインプロジェクトでもすごい活かされているというお話が聞けたことがとても励みになりました。私も両軸で物事を考えたりドライブできるような人になりたいです。


2021.4.29  こっぺ

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昨年の秋に鯖江市を訪れた時の一枚。メガネストリートにはこのベンチ以外にも色々なメガネがありました☺️ またRENEWのイベントの際など訪れてみたいです。

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