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『まんがでわかる ECビジネス』の感想

がくちょこと仲山進也氏の新著『まんがでわかる ECビジネス』を読んだ。読了はしていたけど何を書こうかなと思っていたら割と時間がかかってしまった。

がくちょとは2回飲みに行ったことがあり、1回講演を拝聴したことがあり、FBでは友達になっている。つまり、お知り合いである。友人と言うほど失礼な奴ではない、私は。つまり何が言いたいかというとステマではない。最近、またステマ少々賑わっている。それについても言いたいことがあるが、それ別の機会に。

この本の感想を一言でいうと、

王道。

である。

これでは短すぎるのであれば、

TIPS集でもなければ、有名な会社、人、事例のたった1つの成功体験だけに過ぎない偶然の結果を一般化した本でもなければ(世の中、この手の本ばかり)、概念をふんわりまとめた本でもない。愚直に、1つずつ、試行錯誤しながら成功していくプロセスを丁寧に書いた本だなぁ

である。

つまり手っ取り早く成功したい!、過程はどうでもいいので結果をだしたい!という人にはお勧めできない本だ。やはり、小さい店でこつこつ地道に頑張っている人向け、やはり楽天市場やヤフーショップに出店するような人向けの本な気がする。でも、それは一義的にはだ。

D2Cでエンジェル投資家から金を引っ張ってグロースするぜ!と息巻いているスタートアップの人には理解できないのではないかなと思う。


でも、実際は王道というのはどんな人にも当てはまるものだと思う。グロースハックだぜ!といっても事業はそこからが本番なので、急拡大してもそれがビジネスとしてしっかり根付かないと単なる虚業である。どこかの世界最大のファンドが大量に資金を投入した会社はそうそうにダメになったとうニュースをよく見る。ウィワ~と大騒ぎした社長も解任されたようだし、インドのホテルもオヨヨ~となっているみたいだ。

一瞬で金を手に入れてもそれが定着しない限り、一過性になってしまう。まあ、手っ取り早く会社作って、上場益えたり、売り払ったりして、セミリタイヤしたい人やエンジェルだよーとギャラ飲みにお金を使いたい人はそれでいいのだけど。

その辺りはあとがきに仲山氏も書いている。

ECの世界は変化が激しいので、「今」を切り取って「すぐに役に立つ具体的手法」をまとめても、本が出る頃には状況が変わっていたりします。ウェブサイトで鮮度の高い情報をいくらでも発信できる時代に、わざわざ本という形で賞味期限の短いものをつくっても仕方ない。せっかくなら長く読んでもらえる内容にしたい。

これは楽天大学の学長として20年間の経験をマンガという形を使ってまとめた本である。乱暴に言ってしまえば、当たり前のことが当たり前に書いてある。なので、これまで地道に努力を積み上げてきた人にとっては新しい情報はない。

しかし、自分が店長や上司、指導する立場の人間として読んだとき、この当たり前が当たり前でない人たちがいるということを気付かせてくれる。ありていに言えば、若者、新人たちである。上の世代にとっては、やって当たり前の努力は、その努力が成果として表れている状態が普通になっているものにとっては、当たり前なのである。当たり前の前提が違うのだ。

主語を大きくして言えば、世代間ギャップである。世代間ギャップとは”当たり前”が違う人たちのギャップだ。これは埋めようがない。埋めようがないから、どちらかが、あるいは両者があゆみよる必要がある。

なので、言い換えればこの本は、

あゆみよりポイント解説本

なのである。

「親と子」と「お店とお客」、「お店とお店」など様々なポイントが書かれている。「ライバル店とは競争しているだから、何があるみよりだ!」と言われるかもしれないが、ライバル・競合というのは同じ商売する仲間だ。1つの商品カテゴリを形成するためには、同じベネフィットを持つ競合の存在が大切である。競合がいるから市場が大きくなり、市場が大きくなるからお客さんが増えるのである。このあたりは機会があれば、書いてみたい。話を戻すと、あゆみよりとは「歩いて寄る=近づく」ことであり、つまり「距離」のことである。なので、競合もこの話に含まれるのである。

そろそろまとめに入るが、あらためて、この本を誰が読むべきかといえば、タイトル的には「ECビジネス」を理解したい人ということになるが、”ビジネスをする”すべての人に学び、気づきがある本だと思う。

余談だが、ちょっと前なら”ビジネスする”人とは書かずに、”マーケティングに携わる”人と書いたけれど、最近はあまりマーケティングとは書きたくない時代になったなぁ、と。

あゆみ より*

*私の名前があゆみだったらこの締めで終わりたかったぁというオヤジ的発想。


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