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TW200 2024#29 始動不能修理

年明け早々に、キムタク仕様車に乗りたい、と手を入れた車体である。
その後、塗装を済ませ快調に走っていたそうだ。
一回あたりの走行距離はあまり長くはないけれど、頻度はそれなりに多いとは聞いた。
が、バッテリーが弱くなって、セル始動をあきらめたらしい。
キックで始動はできるから、と放置して乗り続けた結果、始動もできなくなった、どうしてくれる?という話である。

それなりに始動頻度が多ければ、バッテリーが消耗することはあまりない。
けれど、始動すれば必ず満充電になるわけではないので、セル始動ができなくなったときに調べるべきだった。
キックで始動できるから、バッテリーそのものが寿命なのであろう、と安易に片づけてしまうと、意外と重大なことが起きている可能性がある。

ぼくがよく想像するのは、交差点を曲がろうとしているときに、急に自転車が近づいてきて、ブレーキをかけたとたんにエンジンがストールする事象である。
電力がギリギリで運行していて、消費電力がMAXになったときに、点火の電力が不足した場合に起きる。
車両の状態を把握できている人なら迷わずクラッチを握って車体を起こせるが、そうでない人は転倒しかねない。
そんなわけでセルが回らなくなったときは、キックで始動するにしても、なぜバッテリーが消耗したのかを想像しながら乗ってほしい。

もっとも、単純な原因で即座に回復することは、なかなかにないことではある。

今回はキックでも始動できなくなったので呼ばれたが、始動困難とバッテリー消耗は別個の原因があると考えた。

キック始動できないのであれば、たいていの場合、キャブレタの不調で、送ってもらった画像では、パワーフィルターの接続部分が破れているのが確認できた。
取り付けたときに、こういうことが起きるのではないか、とは話していたんだけれど、セルスタートができなくても、あまり気にしなかったらしい。

まあ、無理もないか。

まずは、現状でプラグチェッカーを使うと、点火の火花は出る。
やはり、キャブレタでしょう。
裂けたパワーフィルターからゴミを吸いこんだと考えられるので、クリーナーを吹きこんで、とりあえず始動できた。

え、そんな簡単に回復しちゃうの?のようなことをオーナーは言うけれど、そう判断して、対処を考えるまでのプロセスがむつかしい、と言いたい。

言わないけど。

次いでバッテリー。
エンジンが始動したところで、電圧を測ると12.2vくらいであった。
もうちょっと高いと安心なんだけどな、と少しスロットルを開けると、追従して13.0vまでは上がる。
できれば走らせながら電圧を測りたいところだけど、停止状態でも13vが出れば発電も充電も健全であろう。

では、なんでバッテリーが消耗した?

ふと、後ろを見るとテールランプがやたらと明るい。
ブレーキランプが点きっぱなしなのかと疑ってみたが、ブレーキレバーを握ると、さらに明るくなる。
が、明るく点く、というよりも、明るさを足した、くらいに灯っている。

これはおそらく、テールランプとブレーキランプの配線が入れ子になっているな。
それでバッテリーを消耗させる原因になるか?
これだけ、とは限らないけれど、間違っているものは正しておいたほうが良いに決まっている。
だいたい、夜間に追突される危険があるし。

ほかに、リレーのひとつがエンジン始動中にカチカチいっているのも気にはなる。
調べてみると、スターターサーキットカットオフリレーで、バッテリーが弱いとカチカチと短絡と解放を繰り返してしまうらしい。

交換しますか?と聞いてはみたが、とりあえず様子を見る、との回答であった。

テールランプの配線不良だけだと良いな、と願うような気分で一段落させた。
たしかに、リレーの不良はセルスタートできないだけ、ともいえるからな。

というか、自走だけでバッテリーは回復するのだろうか?
ちょっと見ものである。

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