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弟と歌うタケモトピアノ

ピアノ売ってちょ〜だい〜♪
垂れ流しのテレビから流れてきた馴染みのある曲。

みんなーまぁーるく♪
の時には私と違う声が重なる。

誰が歌っているかはわかる。お互いは別々のことをしていてテレビは見ていない。
これがいつもの私たちのあり方。
1年ぶりの共鳴。



私には3つ下の弟がいる。背が頭1つ分以上高くて、私が姉に見られたことはほとんどない。実際姉らしいことはしていないですし。
姉という自覚はほとんどない(おい姉)
友達に近い関係。

そんな弟とは私が離れて暮らすようになってから、半年に1回実家で会う程度。最近、弟も一人暮らしを始めたので会う頻度はもっと減るのかな〜と思っていた。寂しい気持ちはさほどなく、「大丈夫なのかな?一人暮らしできるのかな?」という心配の方が募る。きっと弟のことだから、私より充実した暮らしを送っていそう。

次はいつ会えるだろうか、と思いながら実家に帰省した本日。弟もたまたま帰省していた。

そういうところ、姉弟だね。
面と向かっては言わないけど。



お互い別々のことをしながらリビングにゴロリ。スマホをいじったり、本を読んだり、時々話をしたり。個々の時間を過ごす。お互いを気にせず、空気のような関係。居てもいなくても変わらない気がするが、いることで生まれる謎の安心感がある。きっとこの空気感は、弟としか出せない。


ピアノ売ってちょ〜だい〜♪



懐かしい歌が走っていく。自然と続きを口ずさむ。知ってるCMを歌ったり、朗読(?)するのは日常茶飯事。覚えて口ずさむくらい小さい頃からテレビっ子。
小さな画面から自分の興味のある動画が流れる時間も好きだが、日常に溶け込むテレビの音は私にとって生活BGMなのだ。きっと口ずさんでしまうのは呼吸のようなものなのかもしれない。夜のニュース番組でキャスターさんが「こんばんは」と言ったら、「こんばんは〜」と返してしまうのと同じようなもの。



続きを口ずさめば、声が重なる。
驚きはしない、いつものこと。


でも、今日はくすぐったい気持ちになった。
歌い終わってハイタッチを交わしたかった。
(心の中でした)


何年経っても、環境が変わっても、
きっと変わらない。

直接は言えないから、


やっぱり私たち姉弟だね。

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