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【稲盛和夫の実学 -経営と会計-】

【概要】


稲盛和夫氏の会計に関して
経営者のための、実践での知識との哲学が詰まった本。

人としての原理原則に基づき、公明正大な経営も行うべしと説いている。

自身が創業した京セラも経営だけでなく、経理も常識に囚われない「筋が通った会計」を行なっており、

それは「アメーバ経営」をはじめ、あらゆる経理業務にも色濃く反映されている。

しかし稲盛氏は結局それが最終的に良く機能するためには、
経営者がまず公明正大であること
・売上や利益、原価などの目標を従業員にわかりやすく納得させるための「人間関係を作っておく」

ことこそが最重要であると自身の経験を通して説いている。

改めてまた読み直したい一冊。

【私的な要約】

常識にとらわれない会計の考え方

・経営の数字は公明正大であるべき
・減価償却は会計で「実際の耐用年数」を採用
 →税法上の法定耐用年数と会計上は実際の耐用年数の2つを採用
 →つまり法定より短く耐用年数を設定している
 →その設備が本当に稼働する年数で減価償却
(経理は大変だ。。。)
・その業界の利益率に囚われ、工夫をやめるな
 →自社の商品やサービスをどう効率的に売るかという重要な経営課題を根本的に考えるべき
 →利益率も経営陣が常識に囚われてしまうとそれ以上上昇しない
 →智恵と創意工夫で「利益を最大に、経費に最小に」すべし!
・プライシングは経営者が行うべし
 →価格は経営に直結する。人任せではダメ!

会計を知らない経営者こそ「ホンモノ」

・リアルタイムにシンプルに共有できる会計システムをいち早く構築せよ!
・各部門の数字まで細かく
数字を見て、「叫び声」に耳を澄ませ!
 →それを課題として即座に指摘し、実践させる

キャッシュフローの大切さ

CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)を理解しよう
 →売掛金、買掛金、仕入のための費用など、帳簿上では存在するが、実際のキャッシュとは数字は違う
 →株主還元も事業拡大も全ては「今のキャッシュ」で可能になる
土俵の真ん中で相撲をとる
→利益を出し、ある程度の内部保留て、自己資本比率を上げ、常に「余裕のある状態」を作る

帳簿は必ず「一対一の法則」を厳守せよ!

・事業をすると必ず経済活動がある
 →その動きは帳簿上でリアルタイムに反映されないといけない
 →例えば、今すぐ入荷してほしいなど取引先から電話があり対応したが、伝票は後回しに
 →月末に慌てて伝票を探し回る。これでは会社として信用されない
売掛金、買掛金の消し込みも「一対一」
 →いくつかの伝票のうち、その1/3の金額だけ支払いたいなど、伝票上で「一対一」の消し込みができなければ断るべき

筋肉質の経営に徹しろ!

・企業は永遠に発展しないといけない
 →経営者が見栄をはるような行動をとれば、それは長続きしない。公明正大でないも必ずほころびがでると心得よ
中古品でも我慢せよ
 →過剰な設備投資、不要なオフィス家賃、事務用品など、新しいものに飛びつくようなことはするな
不良資産は捨てろ
 →売れる見込みの無い在庫など、資産と計上したい誘惑に負けず、「いらないもの」として捨てる勇気を
 →不良資産でも資産なら税金の対象となる
固定費の増大に気をつけよ
 →設備投資など、かえって企業の財務体制を脅かすような投資は危険
 →積極的な経営と思いきや、いつの間にか固定費が増大し、経営を圧迫するリスクも十分ある
投資ではなく「投機」はするな
 →自分がわからないものへのお金は一銭も使うべからず
・予算はいらない。都度「稟議を出せ」
 →売上の何%は予算など実際予算を上げても、売上は上がらないケースなども多々ある
今本当に必要なもの、必要な分だけだけを買え!
 →京セラでは「当座買いの原則」「一升買いの原則」という
 →安いから多めに買うなどしてはいけない
 →不要な在庫、不要なお金を使うことになる

完璧主義を貫け

当たり前のことを当たり前にすることは「実は難しい」
 →経営者が時々現場にてチェックし、目を光らせないといけない
・経営者の判断が会社の将来と全てのステークホルダーに影響する
・マクロとミクロのマネジメント
 →会社の将来の戦略からいざとなったら従業員の仕事を出来るくらいのつもりで
 →現場を知らないと自由自在に経営できない
経理に「間違いもある」は「ありえない」
 →人間だからミスはある。しかし完璧主義を守ろうとする断固たる姿勢がないといけない
人間は「緩んでいくもの」
 →1つ妥協すればどんどん妥協してしまう
・ダブルチェックは「従業員に罪を作らせない」ための仕組み
 →そのためにチェックする側される側両方が努力する必要がある
 →システムやオペレーションなど「論理の一貫性が貫かれている」か
・「お金を扱う人」と「伝票を扱う人」は必ず別に!
 →入金や出金などお金を扱う人と伝票を扱う人は別にしないと不正リスクになり得る
不正を起こさないために
 →全てを1人ができるような仕組みを無くせ!

アメーバ経営

事業部単位の独自の業績を数字化
 →あくまでリアルタイムにミクロで「数字を体感」し、具体的な目標を達成してもらうためのもの
 →しかし、これらは結局システムを構築しても「従業員のやる気」が必要
 →社員を動かすためには「この人のためなら頑張ろうと思える」経営者の人格が必要不可欠

公明正大なガラス張りの経理を

・経理は組織中で「一目置かれる存在」であれ
不正を隠蔽するのは悪という文化を
そのために経営者がまず公明正大であれ

気になる単語

・アメーバ経営
 →各部門・部署単位で数字を算出し、経営の考えを徹底させる
・売価還元原価法
 →売値から原価を計算するという方法
 →仕入れ値やロットや様々な要因で原価は常に変化する
 →原価を固定するという考えはリアルタイムで会計の数字を反映させることに馴染まない

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