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第2回THE NEW COOL NOTER賞~1/7講評(千本松さん~小説部門)

第2回THE NEW COOL NOTER賞へご参加いただいている皆様。
本日までに応募された作品のうち、小説部門の審査スタッフの千本松さんに講評をいただいた作品の記事について、一部引用しながら掲載させていただきます。

千本松さん講評文(3作品)

千本松さんの講評記事から、一部引用させていただきます。

美しい文章ですよね。申し分ないです。この「性的嗜好」という言葉が出てきた時点で、これは大人向けの小説であることが分かります。まあ、そもそもサラリーマンが主人公であることで、普通の童話でないと分かるとは思いますが。作者がどこまでこの「性的嗜好」をテーマとして考えていたのか、それは不明です。日本語ではロリータ・コンプレックスといいますね。ご存じの通り『ロリータ』という有名な小説が語源となってます。ポルノグラフィだと糾弾されて発禁になったりした問題作です。

もし、作者がこの「性的嗜好」を実は一番大きなテーマとして考え、このように密かに行間の中にうずめたとしたら、天才的ですね。

 僕らは水辺に立った。
 僕は泉にそっと左手を浸した。
 魚は水に放たれ、しばらく水面を3匹で並んで泳いでいたが、やがて水中に消えていった。
 いつの間にか、少女の姿はなかった。
 僕は左手を太陽にかざし、感覚を確かめた。


 はじめからこうすればよかったことはわかっていたのに、僕は何故かそうすることを思いつけずにいたのだ。

この最後の一文、これを読んでくれている方々はどう解釈するでしょう? 作者はどんなつもりで我々にこのメッセージを投げたのでしょう? 皆様どうかこの小説を最初から読んでみてください。


千本松さんの講評記事から、一部引用させていただきます。

タイトルにもなっている「すきだった」という言葉ですが、これだけ繰り返して唱えるほどのパワーとオリジナリティーはないと思うんです。試しにこの言葉を全部取ってしまえば分かると思うのですが、詩はもっと意味を持って、魅力的になるはずです。『ダンシング・クイーン』で言えば、繰り返しの言葉はやっぱりタイトルになっている、「ダンシング・クイーン」ですが、歌詞の中で言っているのは4回くらいです。それに「ダンシング・クイーン」という言葉にはパワーとオリジナリティーがあります。

詩って小説なんかよりずっと短いですよね。それはどういうことかといえば、詩は例えば何十メートルもある深い水の、感情やテーマやストーリーやなんやらを煮詰めて沸騰しているその僅か1%の上澄みを取って言葉にしたようなものなんです。どうしても「すきだった」ということを言いたいのであれば、逆にそれを言ってはいけないのです。「すきだった」という言葉はその1%にはありません。それは何十メートルの水の中に沈んでいるものなのです。

詩人は詩のテーマを言ってはならない。最終的に読者の頭に小さな風を起こすように、「すきだった」というその言葉を悟らせる。

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第2回THE NEW COOL NOTER賞の応募期間は終了しました。
みなさま、たくさんの応募、ほんとうにありがとうございました。

引き続き、応募作品への講評と、授賞に向けた審査をお楽しみください。

よろしくお願いいたします。

参加者同士の交流の場所を設けてございます。
お気軽にご参加ください。

*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。


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