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ドキュメンタリー「キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性」が、僕のハリウッド感を変える。

WOWOWで放映していた「キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性」を観る。2022年に日本公開されたが、製作自体は2012年。なので、インタビューを受ける面々に物故者が多いのがちょっと悲しい。あと、パージされる前のウッディ・アレンがすごく元気に語ってる。

原題は“Casting By”だ。タイトル表示時にCasting Directorと表記して、わざわざ訂正するところに、本作のテーマがあるのがわかる。

配役という仕事。その先駆者(というか革命的行動力の)マリオン・ドハティを中心に、あまり評価されてこなかったキャスティングというお仕事と歴史にフォーカス。取り上げられる数々の名作で、煌びやかなスターたちが“いかにオファーされたか”のエピソードが並ぶ。映画好きにはもうこれだけでもため息の出るくらい伝説が次々と語られるのである。

本編に於けるスタッフクレジット、重要な仕事だと誰もがわかってるのにアカデミー賞では対象にならない件、微妙な白人優位視点やマンスプレイニングなどの問題提起の側面と、70年~90年くらいのハリウッド映画隆盛が、このスターたちがいかに支えられてきたかが浮かび上がる。

そして2000年以降、デジタルやスピーディな編集などによって、俳優の演技の重要性がブレてきて、マネーメイキングスターがもてはやされるようになったとき、こだわりの強いキャスティングディレクターはその役割を終えてしまうのか……の悲哀が問題提起されていく。

驚くほどの過小評価と、「ディレクター」と呼称させない本編監督(ディレクターは俺だけでいいの傲慢)、映画芸術アカデミーの対応…などのエピソードが記憶に残るな。

これは見てよかった。昔の映画がまた観たくなるよね。

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