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旧正月映画「这个杀手不太冷静」は三谷幸喜「ザ・マジックアワー」のリメイク。

旧正月映画「这个杀手不太冷静」(Too Cool To Kill)を観る。
大ヒットである。公開2週間で21.5億元(390億円)を超えたっていうんだもん。びっくりだ。興収が1億元超えるたびにキービジュアルが更新されるえげつないプロモーションもやってる。(添付参照)。このアイデアは真似してもいいんじゃないか?
今年の正月映画は、もう1本うわ手があり、戦記物「长津湖之水门桥」(朝鮮戦争が舞台)は35億元(630億円)の特大ヒットだ。こっちはまだ見れてないや。

で、今回の「这个杀手不太冷静」(落ち着かない殺し屋)は、三谷幸喜「ザ・マジックアワー」を原作としている。本編エンドロール手前に原作注釈が入るが、「日本の映画が原作」とは大きく紹介はされていない。邪推しちゃうけどな。余談だが、今年の大河ドラマは面白いよ。いつもヘイトしてるわけじゃないです。

三谷嫌いの僕からすると、「あの愚作を中国に置き換えてもさ…」と観る前は萎えていたのだけれど、全然ノリとスピードが違っててちょっと驚いた。「売れない役者が殺し屋になりすましてギャングに取り入る」というベースと、オープンセットで作られた架空の街というルックだけ引き継いで、大幅な変更がされているのだ。ホンモノの殺し屋の登場方法だったり、ボスとヒロイン、監督の関係だったり、三谷版では寺島進がやってたギャングの扱いだったり、ジーン・ケリー「雨に唄えば」のそのまんま再現があったり…クライマックスなんてまったく別の展開w。
さらに驚くべきは「マジックアワー」が136分もあるのに、「这个杀手不太冷静」は109分なのである。テンポが速いのでサクサク話が進む。しかも場内は爆笑の渦だった。みんな、手を叩いて笑ってる。これがすごい。

主演の魏翔は、下積みからの無名俳優。エンドロールで撮了挨拶をしているときに感極まって大泣きしているのが印象的。ヒロインは深津絵里とは程遠い、コメディで有名な人気者おばちゃんだ。

日中の違いがどうこうではなく、あくまで素材として日本映画を中国料理味に改変するしたたかさに驚く。と同時に、結局おいしければいいんだよ、と心うたれた。

帰宅して確認するために「ザ・マジックアワー」をU-NEXT(ありがとう)で観たんだが、やっぱり小指の先ほども笑えないのであった。話を進めるための展開が甘えている。で、それを客が許してしまうんだね、日本の映画って。
綾瀬はるか(当時22歳)の使い方が、明らかに間違ってたりすることがわかって、まぁよかったんですが、それはまた別の話。

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