ダウンロード販売と定額ストリーミングの狭間で
最初にちょっと興味を惹きそうなことを書いておきます。これは自分の楽曲が日本ではまだサービス展開していないSpotifyで聴かれていた、という話です。
多くのボカロPは自分の作品を動画投稿サイトで発表し、自主制作CDを比較的安価な価格で頒布するということをしていますし、iTunes Storeなどのダウンロード販売を通じて曲単体あるいはアルバム単位でリリースしている人もいます。
しかし、僕自身は自分の楽曲を有償で購入していただくという方法をとることに積極的ではありませんでした(今でもそうですが)。それにはいくつか理由がありますが、簡単にいえば次の二つになるでしょう。
1. どうせ売れるわけがない
2. コストがかかる
もう少し体裁の良いコトを言えば、いわゆる職業音楽家でもない自分の楽曲が商業作品のレベルに達していないと考えており、制作環境を整えたりスキルを磨いて作品の質を高めている発展途上だから、同じ楽曲でもより良いトラックができたら差し替えたい。だから無償で公開して聴いてもらっている、というような理屈もあったりはしますが、結局のところはこの二点に集約されていると言っていいでしょう。
そうは言っても、実は今まで自分の楽曲を有償で配信したことがないわけではありません。
昨年、VOCALOTRACKSというボーカロイド音楽専門レーベルのコンテストで優秀作品に選ばれた"After The Rain"という楽曲を200円で配信していただいています。
個人的には知名度もない自分の曲を200円払ってダウンロードしてくれるような人はほとんどいないだろうと思っていましたが、それでもやはり、もしかしたら・・・という気持ちを捨てることはできませんでした。
VOCALOTRACKSは国内のみならず、海外でも複数の販売チャンネルで配信してくれるということを聞いていましたし、SoundCloudで公開していた自分の楽曲の中で、海外のユーザーから比較的評価が高かった曲でもあったので、多少期待していた部分もありました。
その"After The Rain"ですが、昨年10月から12月までの利用状況に関する資料が3月末に送られてきました。
(※一般に「印税支払報告書」と呼ばれるものですが・・・額が少ないので、契約に定めるところにより一定額に達するまで支払いは保留ですw)
海外でも配信されることは予め知っていたのですが、内訳を見るとiTunesなどダウンロード販売のサービスだけでなく、複数のストリーミング定額聴き放題サービスでも利用されていることが分かりました。
で、やはり回数はSpotifyが断トツで、もうケタが違うわけです。
アーティストの取り分が少ないことでいろいろと批判されることの多いSpotifyですが、やはり定額聴き放題なればこそ、知らない曲でも聴いてみようという気にもなろうというもの。これが1曲いくらの単価販売であれば、いくら試聴用音源があるとはいえ、なかなか手は出しにくい。それは容易に想像できることです。
「ひとりでも多くの人に聴いてもらう」ということを第一義に考えるならば、クリエイターの側にとっても、この定額聴き放題のシステムは避けては通れないものなのではないか、と改めて思わざるを得ません。
ついこの間まで、そんなことをつらつらと考えていたわけですが、ここに来て「note」の存在を知り、この新しい課金システムの中で自分の楽曲がどう評価されるのか、試してみたいという気持ちに抗しきれなくなった(→イマココ)。
というわけです。
期待しないように心がけてはいるものの、ノーリスクで博打が打てるというのは大きいです。普通ならダウンロード販売のシステムを利用するだけで、売れる売れないに関わらずなにがしかの手数料を負担しなければなりませんから。
冷静に考えれば自分の場合、「iTunes Storeで配信中!」とプロフに書きたいという虚栄心のために、身銭を切りつづけることになるわけで、さすがにそれは自制心が働きます。
何かの間違いでこの「note」で自分の楽曲が予想以上に売れたとしても、生活費の足しとかそういうレベルの金額にはならないでしょう。ですが、もしそんなことがあれば、他のクリエイターさんたちの魅力あるコンテンツを積極的に購入して、この新しいSNSを中心に今後何が起こるのかを今しばらく見守って行きたいと思っています。
#ボカロ #ボーカロイド
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