飲食店の顧客はどこにいる?初期採用者か後期追随者か?


■流行に反応する人たちの分布
イノベーター理論とは1962年に米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論で、商品購入の態度を新商品購入の早い順に五つに分類したものです。
イノベーター(Innovators:革新者):
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。
アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用層):
流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。
アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随層):
比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随層):
比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
ラガード(Laggards:遅滞層):
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。

■どの層をターゲットにするか
イノベーターは飲食店を作る側というよりも自分で飲食物を作る層だと思います。アーリーアダプターは初期採用者でイメージはつきますが、あとのアーリーマジョリティ、レイトマジョリティは早いか遅いかだけであまり大きな差がないような感じです。であればターゲットは初期採用者であるアーリーアダプターか後期追随者であるレイトマジョリティにすると施策の違いが明確になると思います。それではこの二つの層について考えていきましょう。

アーリーアダプター

■アーリーアダプターの行動様式
アーリーアダプターは流行に敏感で積極的に情報を取りに行く傾向があります。そしてその感性にマッチすれば素早く受け入れ、回りの友人などにすすめていきます。またその情報を積極的に取りに行く行動様式からから行動エリアが広い傾向があります。

■アーリーアダプターを狙うメリット
アーリーアダプターは反応が早いため、受け入れやすいものであれば早期に効果を検証することができます。またオピニオンリーダー、インフルエンサーに属する人も多いため、情報が一気に拡散される可能性があります。

■アーリーアダプターの攻略方法
このアーリーアダプターは新しいサービスなどに対しての抵抗がありません。そのためインターネットでの検索、SNSを積極的に活用しています。このような層にはインターネット上での告知、snsが適しているでしょう。

レイトマジョリティ

■レイトマジョリティの行動様式
レイトマジョリティは情報を積極的に取りに行く姿勢はなく、情報には受動的です。商品選択に際しては、回りの意見に左右されやすい傾向があります。また限定された行動様式のため、行動エリアは狭い傾向にあります。


■レイトマジョリティを狙うメリット

このレイトマジョリティは比較的保守的な人が多いため、すぐに効果が出るような施策はあまりありません。半面、くりかえして時間をかけることでで効果が出るため、情報発信する際の質が問われにくい傾向があります。

■レイトマジョリティの攻略方法
このレイトマジョリティは複数回接することで商品に対して親和性を感じ、導入というプロセスを踏みます。そのためくりかえして告知するということが重要です。また自分で積極的に情報を取りにい傾向が少ないので、こちらからプッシュするタイプのポスティングなどが効果的でしょう。

飲食業に適しているのはどっちか?


アーリーアダプターを狙うのであれば流行りもの、オリジナルの商品食いつきがいいでしょう。タピオカなどは10年前は市場規模がわずかだったのに、この1年でかなり大きくなりました。十分な資本を入れることができるのであれば、積極的な広告戦略などによってさらに効果が得られるでしょう。

しかし十分に資本を入れられなければどうでしょう?おそらく効果はあまり期待できないと思います。立地、内装、広告費で劣ってしまうと人気の商品を扱っていたとしてもそのマーケットのおこぼれしかあずかれないと思われます。

ではレイトマジョリティをターゲットにするとどうでしょうか。彼らの行動様式を考えると
立地については彼らの生活圏にあればいいだけなので、必然的に安い物件を選択することができます。
内装については彼らはアンテナ感度が高いわけではないので内装にそれほど求めていないはずです。
広告については店舗が生活圏にある層にだけ届けばいいので費用が大してかからないポスティングなどが有効になります。

あとは店に親和性を感じてもらって、来店してくれれば経営は成り立ちそうです。ただそこに行くまでどのくらいの期間が必要なんでしょう。

昔から言われている言葉で「飲食3年」というものがあります。
飲食業は最初お客さんが来なくて大変だけれど、3年継続してやればお客さんが安定してくるようになるのでそこまでがんばれ、
みたいな意味です。

これこそ過去からの経験に基づいた数字なのではないかと思います。この言葉こそレイトマジョリティを適切に表したものではないでしょうか。
飲食店の経営の本などでアーリーアダプターを意識したものは多く出ております。他社との圧倒的な差別化をしろ、独自の商品を作れ、みたいな感じのものです。

しかしそれに対してこのレイトマジョリティを意識した本などは見かけたことがありません。あったとしてもなんか論点がずれて、ひたすら根性論になっていたりします。そういった根性ではなく、マーケティングを活用するのが重要です。

レイトマジョリティの狭い生活圏に着目し、そこに効果的に告知をする。そしてこのレイトマジョリティは接する回数が多くないと認知できず、そして親和性を感じることもありません。だからこそ繰り返し告知する必要があります。

このようにレイトマジョリティに注目し、そこに対して戦略を立てて行動していくことができれば小資本飲食店を成功に導けるのではないかと思います。


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