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【読書記録#1】否定しない習慣

突然ですが、みなさんは日々のコミュニケーションで無意識のうちに相手を否定していませんか?
『良かれと思って』や『相手のためを思って』との言葉を免罪符として相手の考えを否定したり、責めたりしてないでしょうか?

かくいう私も、親切心から意見を述べていたつもりが、後になって『あれは相手からしたら否定だったんだ』と痛感し後悔した経験が多々あります。というかストレートに言ってしまう性格なので、そんな経験ばかりです。

そんな僕のコミュニケーションの取り方を考えさせられるきっかけをくれたのが、林健太郎著『否定しない習慣』です。本書を読んで今までのコミュニケーションの取り方を大反省したとともに、否定しない習慣を身につけるためのマインドや技術についても学ぶことができた、僕にとっての良書です。

今回の投稿ではこの『否定しない習慣』を紹介しつつ、良い人間関係を築いていくためのコミュニケーションの取り方について考察していけたらと思います。


否定するコミュニケーションのデメリット

『相手のためを思って』という言葉を使って、相手の意見を否定して、自分の考えを押し付けてはいないでしょうか?もしくは相手の話を途中で遮ったり、相手の考えを認めなかったり•••。

自分自身は相手を否定する意図はないけれども、相手の心理面から見れば『否定された』と感じさせてしまう言動を無意識にしてしまう人が多いようで、著者の林さんも『無意識の否定の習慣』と呼び、警鐘を鳴らしています。

このような”相手を否定するコミュニケーション”をとり続けるとどうなるのでしょうか?そのデメリットとして著者は以下の点を挙げています。

否定ばかりされると、怒りが生まれる
否定ばかりされると、オープンに話せなくなる
否定ばかりされると、信頼関係が生まれにくくなる
否定ばかりされると、自己肯定感が低下し、自信を持てなくなる

『否定しない習慣』より

否定しないコミュニケーションのメリット

一方で、否定をしないコミュニケーションをとるメリットは以下の通りです。

否定されないと、ポジティブな感情になる。
否定されないと、もっとコミュニケーションを取りたくなる
否定されないコミュニケーションでは、信頼関係が生まれる
否定されないコミュニケーションでは、自己肯定感が高まり、自信が持てる

『否定しない習慣』より

否定しないコミュニケーションをする上でのメリットは想像しやすいと思います。相手との間でどんな意見を言っても否定されないという”心理的安全性”を構築することにより、人間関係が改善していくことは想像に難しくないでしょう。

【必読!】あなたは本当に相手を否定していないですか?

”いやいやいや、僕は/私は、相手を否定するような言動なんてしてないですよ”と思ったそこのあなたにこそ、この本を読んでもらいたい‼️
否定するコミュニケーションは無自覚で行なっていることが多いのです。

あなたは無意識のうちに以下のような言動をとっていませんか?

・相手が話している途中で遮って、話し出してしまう
・相手が意見を述べたときに、「それもいいけどさ」と自分の意見を言ってしまう
・相手の話を聞くとき、目を合わせないで、別のことをしながら聞いている

『否定しない習慣』より

確かに”言葉では”相手を否定していないかもしれません。しかし相手の話に真剣に向き合わずに自分の意見を伝えたり、空返事をすることも立派な『否定』になると筆者は述べています。言葉のみならず態度でも相手に『否定された』と感じさせてしまうことがある点には留意が必要ですね。気づかないうちに相手を否定していないかと気に留める習慣を身につけたいものですね。

『否定しないマインド』の作り方

無意識に相手を否定して、意図しない結果をもたらす前に、「相手を否定しない意識」を持つことを筆者は勧めています。そのような『否定しないマインド』を作るために、以下の3つのポイントが挙げられています。

1. 「事実だから否定してもいい」という思考はしない
2. 「自分は正しい」という思考はしない
3. 「過剰な期待」はしない

『否定しない習慣』より

第一のポイント:「事実だから否定してもいい」という思考はしない
筆者は、この「事実を伝えているだけ」という思考が一番危ないと述べています。なぜならこの思考は、相手を否定して責めたりすることを正当化することになりかねないからです。ここで考えるべきなのは、「言われた相手がどう思うのか?」です。相手の態度をよく観察し相手の態度がネガティブに見える(ムッとしていたり、うつむいて黙っていたりする)のであれば、それはあなたが相手を否定してしまった証拠です。「言葉を受け取る相手の立場になって考える」のは、ある種当たり前な考え方ですが、僕自身これを蔑ろにしてきたように思います…。反省しないとですね。

第二のポイント:「自分は正しい」という思考はしない
著者は「正しさ対決」は決着がつかないと述べています。そもそも人間関係における問題は「たった一つの正解」がないことが多いため、そもそもどちらが正しいと決着をつけることは不可能です。そこで大事なのは「意見の違いを多様性として認められるかどうか」です。意見の違いを理解した上で、「共有する目的を見つけること」を通じて、両者の意見の良いところを合わせた折衷案を探る方向に軌道修正することが望ましいとのことです。
昨今、”論破”することが話題になっていますが、日常生活で真に大事なのは自分の意見の正しさを示すことではなく、共通の目的のために互いに寄り添い合って解決策を模索していくことなんだなと痛感しますね。

第三のポイント:「過剰な期待」はしない
「期待する」こと自体はポジティブな言動ですが、この期待が裏切られた時に人は相手を否定しがちになると筆者は述べています。例えば仕事を任せた部下のパフォーマンスがこちらが”期待”していたものよりもはるかに低かった場合。勝手に”裏切られた”と感じて相手を責め立てたりしていないでしょうか?ここで筆者はある魔法の言葉を紹介してくれています。それは『その人はその人なりに精一杯やっている』というもの。仮に相手の成果が期待値よりも低かったとしても、精一杯やっているという事実は認められるような心の余裕は欲しいものですね。

総じて、相手を否定して責めることはただの自己満足であるような気がします。相手を責め立てて萎縮させたり、これ以上の意思疎通を図る気を削ぐことは本意ではないでしょう。大事なのは相手との良好な関係性を築いて目的を達成すること。自分の感情に任せて言いたいことを言うのではなく、本来の目的を忘れずにコミュニケーションをとっていきたいものですね。

否定しない技術

否定しないコミュニケーションの効果や必要なマインドについて書いてきましたが、実生活で活用できる具体的な技術はどのようなものがあるのでしょうか?ここでは筆者が紹介している手法をいくつか簡単に挙げていこうと思います。

イエス・エモーション話法
これは筆者が開発したもので、肯定の言葉に加えて、ポジティブな感情を伝えるという話法です。例えば「仕事頑張っているんだね。頼もしいと感じたよ」「テストの点が良かったんだね、すごく嬉しいよ」などのように、相手の行動を肯定した上で、自分自身のポジティブな感情を付け加えると言うものです。その結果として相手の承認欲求を満たし、良い関係性に繋がるとしています。

「能動的に黙る」ことを覚える
否定しないためにも、反射的に言葉を返すのではなく、意識的にブレーキを踏む、すなわち黙ることが大切です。多くのコミュニケーションのトラブルは相手を受け入れることなく、脊椎反応的に言葉を返すことから始まります。否定したいからすぐに否定するのではなく、一旦黙って、自身の感情を抑える時間を取ることです。「否定して嫌われる」よりも「沈黙して平和な関係性を保つ」ほうが賢い選択であると筆者は述べています。

「承認する」技術
「否定しない=相手の提案を全て受け入れる」ではありません。否定しないとは、相手の考えや行動を頭から否定しないと言うことです。相手が間違っていることを伝えるためには、まずは相手の言ったことそのものだけを承認することが大切であると述べています。まずは「〜と言うことを考えているんだね」のように、相手の意見を一度受け止める。この一手間が大切です。

ここで大切なのは、相手の意見に同意する必要はなく、相手がそう言っているという事実を承認することです。まずは相手の思いや考えを受け止めること。その上で否定を感じさせない伝え方で意見を伝えると良いでしょう。

否定を感じさせない伝え方とは?

本書で筆者は相手に否定を感じさせない伝え方として以下の3つを挙げています。

その1:面白おかしくする
相手が否定と感じないように、面白く楽しい雰囲気で軽やかに否定する工夫です。

その2:逃げ道を残す
頭から否定せずに、逃げ道を残してあげるような伝え方をすると、相手を追い詰めなくて済む可能性があります。

その3:期待をほのめかす
相手のポテンシャルを認めながらさらなる挑戦をしてほしいとのメッセージを伝えると、現在の案を肯定しながら、改善のメッセージを伝えることができます。

以上のような相手に否定を感じさせない伝え方を意識して行うことで、より良好な関係性が築けていくはずです。

読了後の感想

本書は僕自身の今までのコミュニケーションのあり方について深い反省を促すものであったとともに、多くの示唆に富んだものでした。

日本語はよく"high context culture(高文脈文化)"を持っていると言われます。すなわち、状況や背景を汲み取りながらコミュニケーションを取るために、言葉で直接言わなくてもなんとなく伝わる文化です。「空気を読む」「以心伝心」などの言葉にこの特徴が良く表れていると思います。

一方の英語は日本語に比べて"low context culture(低分脈文化)"であり、言葉によるコミュニケーションを重要視します。僕自身、英語を勉強し、英語を使って授業を受けるようになるにつれて、”言わなくてもわかる”と言う感覚から、”きちんと言葉で伝えなくては”との感覚を持つようになったと思います。その一方で何を履き違えたか、「言葉できちんと伝える=思っていることをそのままストレートに伝える」と勘違いをして生きてきたような気もします。

本書を読んで、受け取る相手の立場に立った建設的なコミュニケーションの重要性を認識しました。相手の意見を受け入れ、相手が不快にならないようなコミュニケーションを取ることを意識していきたいですね。

まとめ

今回は林健太郎著『否定しない習慣』について紹介しました。初めての読書記録ということもあり、どこまで本の要約を行うべきかを迷って少し長めの投稿になってしまいましたが如何だったでしょうか?後半少し端折ってしまった部分もあるので、気になった方はこの本を購入して読んでいただくことを強くお勧めします。文章も読みやすく3時間くらいで読了できるかなと思います!

また次回の投稿でお会いしましょう👋


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