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冬のはこびやさん

冬が大好きです
春、夏、秋、冬。おひとつどうぞと言われたら
真っ先に冬を選びます

そんな大好きな冬を待つ、日常の1ページです


普段よりちょっとだけはやめにセットしたアラームが朝だ起きろと耳元で騒ぎ出す

気持ちよく寝ている主人に対してその起こし方は如何なものかと思ったが相手は電子機器の王と言っても過言では無い、スマートフォン様だ

今となっては世界中で名を馳せ絶賛大活躍の電子の王にはきっと大谷翔平でさえ太刀打ちできないし、某ヒーローアニメで例えるなら"個性"の複数持ちで間違いないと思う。かっこいい。勝ち目ない。
現に自分も毎日大変お世話になっている

舐めた口きいて申し訳ございません
無礼をお許しください。

かわりに耳元に置いて寝たやつに渾身のビンタをお見舞いしてあげる事にした

何故か頬が痛くなった。

カーテンの隙間から薄暗い外をこっそり覗いて
なんだか刑事になった気分。
静かな空気に包まれて冷えた外を眺めると
まるで世界に自分だけが取り残されたような
或いは自分だけが生き残ったような  
アニメの主人公になった気持ち

今年はあと何回、取り残してくれるのかな

わくわくした感情に もう少し閉じていたいと必死の抵抗をみせる瞼をこすりながら外に出る

寒い!!!!

もこもこのパジャマを無に帰すように冷たい空気が体を撫でていく
とっても寒い!好き!
重たかった瞼もぱちっと開いて誰も居ない静かな
世界をひとり占めする  
ひとりぼっちの、特別な時間。

新しくて冷たい空気を全身で吸い込むように大きく伸びして深呼吸する
口から漏れる真っ白な煙と、庭に咲いた金木犀をみて、今年は二度咲できたのかい、なんて話しかけちゃったりして

ゆっくり過ぎていく時間の中に、スピード違反は明白であろう加速するトラックの音が鳴ってきて現実へと引き戻される

ああ、ひとりぼっちじゃなかったのか  

ちょっぴり残念な気持ちと安心する気持ちがまざりあう  不思議な感情。

こんな早朝からお勤めご苦労様ですと生徒の登校を眺める校長先生のような気分でどこの誰とも分からないドライバーにぺこりと一礼して
冷えた体をさすりながら小走りで家に戻る

静寂の朝に微かに香る金木犀とスピード違反のトラック。
冬のあし音が1歩。近づいてくるのを感じた

今年はどんな冬になるかな、楽しくなってきた。
玄関前に伏せる早起きな愛犬に問いかけて
仕事の準備に取りかかる

おはよう、それじゃあ 行ってきます。



会社までは凡そ30〜40分くらい
わかり易く言うと、
福島県南相馬市南相馬変電所から
福島県鹿島区八巻瓦店くらいの距離。

ピピッと音がして鍵の空いた事を確認し車に乗り込む
運転席側のフロントガラス隅には  守護神のように愛車を護らんとするモルカーの姿  プイプイッ

今日もよろしくね、相棒

この相棒とも長い付き合いだ
返事は聞こえてこなくても背中で語っているのが分かる。
だって長いもん、多分2年くらいは経ってるもん。相棒だもん

家を出てすぐのカーブミラーは結露に覆われて
なにも見せてはくれなかった。
そんなに見られるのが恥ずかしいのかね
まったくもう。と少し前屈みになって右、左、右と車がきてない事しっかり確認しゆっくり前進する。


            ピーーーッッ


めっちゃ来てました。ごめんなさい。

しょうがないでしょ、目が悪いのよこっちは

それもこれもシャイなカーブミラーのせいだ
いや、目が悪いのは間違いなく己のせいだ
開発者のお偉いさん、冬のカーブミラー、どうにかなりませんか?結露しないやつをつくってください、お願いします。

危うく事故に遭い相棒に怪我をさせるとこだったぜ…

一難乗り越え、離合のできない踏切の前で止まる。 The 田舎。
対向車に、お先にどうぞ。のジェスチャーで道を譲る

すれ違いざまに小さく手をあげお礼をしてくれた
対向車の運転手。
1つ徳を積んだ気持ちになりほっこりする  

日本人の良いところでもあり、悪いところとも言える譲り合いの精神
きっと良いところの方が多いだろう。
これからも大事にしていきたい
お礼をしてくれたあなたの今日に いい事がありますように。

踏切を抜けて、細道をゆっくり進んでいくと
見慣れた「急カーブ注意」の文字
こんな細道に予告通りの急カーブ、初見さんは間違いなくおっとっと、と口からこぼれてしまうだろう。

急カーブを抜けるとあとはひたすらにまっすぐ。
霧がかった道を案内してくれるかのように
朝焼けが広がっていた

きらきらした朝焼けに思わず目を細め
窓を少し開けると車内を通り抜けていく風に
前髪も踊りだした

少しすると小学生が元気よく通学路を歩いていた
朝焼けも相まってか、楽しそうにお喋りしながら登校する子供たちの目がとてもきらきらして見える
どんな話をしているのかな  少し気になった
自分が小学生の頃も、こんなに楽しそうに
学校へ行っていただろうか

信号で車を止めると横断歩道を渡る恐らく低学年であろう女の子と目が合った
首元には顔下半分を覆うようにくるくると巻かれた真っ赤なマフラー。少しはやくないかな…?

子供は風の子とは言っても やっぱり寒いものは寒いよね。
それともお父さんお母さんにおねだりして買ってもらって お友達にはやくみせたかったのかな

女の子は笑いながらなぜか手を振ってくれた
あらあら可愛いじゃない。お兄さんに見惚れちゃったのかいなどと自惚れた事を考えながら笑顔で振り返す

赤のマフラーが風になびかれフワッとして
冬のあし音がまた1歩  近づいた気がした

今日もしっかり学んで、楽しい学校生活を送るんだぞ。笑顔の素敵なこの子の今日に いい事がありますように。


……………もしかして踊り疲れて乱れた前髪を笑われてた?

ふと思ったのは会社についてからの話。


始業のチャイムまであと20分。
そろそろ行くかと車を降りると自転車に乗って
続々とやってくるベトナムからの研修生。
なぜか皆ポケットから大音量で音楽を流している

聴いているのは洋楽だろうか?

複数人がまとめて流してるもんだからひとつも聴きとることができなかった
恐らく本人たちでさえ自分のポケットから流れている音楽がなんなのか分かってないのではなかろうか  そうであってほしい。
夏の夜に田んぼから鳴り響くカエルの大合唱を思い出した。

社内に入り着替えて事務所に向かう
なぜだか自分の席には毎日誰かが座っていて
モニターとご対面している
なにをしている。多分仕事。僕のデスクだけどね

いつもの事だから、いつの間にか気にしなくなっていたけれど  なんでですか???

神に聞いても分からないよ。

昨日だって、今日とは別の人が座っていた
なにをしている。お喋り。僕のデスクだけどね

シャーロック・ホームズだって解けっこないよこの謎は。

始業5分前。社内にはラジオ体操が流れはじめる
社会人になった今でも、唯一学生気分を味わえる貴重な時間

ちゃんと体操しているのは5割ほどだろうか
せっかくの貴重な時間を。

そんな自分も、ちゃんと体操していない5割の中に居た  せっかくの貴重な時間を。

全然仕事、はじめてます。致し方なし。
いいのよ、元気な声で いちっ にっ さんっ しっ
とリズムに乗りながら歌うこのお兄さん(?)の
陽気な声に、懐かしさを感じているのだから

キーンコーンカーンコーン。

貴重な時間が終わると同時に始業のチャイムが鳴る
ここにもありました。懐い時間。
寧ろこちらが本命でした。盲点

放送で全体朝礼がはじまる
本日の社内スケジュール案内だ。
凡そ自分には関係のない放送を一応聞いて
課内の朝礼へ移る  こちらは重要。
課長から本日の課内スケジュールが展開され
自分がやるべき事を再確認する

やる気は出ないが、やるべき事はしっかりやる
何も無いことを祈って

今日も1日よろしくお願いします。



縁くん
選手
縁さん

    え、、、なに、、、

4人から同時に声をかけられた。PM16時30分。
(選手呼びやめてね)
ここまで何事も無かったのに、、ほんと何も無さすぎたのに、書くことも。


いや、なんとなく察してはいた。
幹部の方々が集まって井戸端会議開いてるんですもの。そりゃなにかあったに違いないですよ

誰の話から聞いたらいいのか分からずあたふたする自分をみて人気者だね〜ワハハと笑い声が広がる。
なにわろてんねん…嬉しくないねん…

聖徳太子様、あなた本当に10人の声、聞き分けてたのですか。

4人から同時に名前を呼ばれるだけで慌ててしまう自分に令和の聖徳太子は務まらないと確信した。恐れ入りました。

こんな時、あなたなら誰の話から聞きますか…?
是非参考にさせてください

結局誰から聞けばいいのか決めきれないでいると
低く野太い声の人が私からだと言わんばかりに
要件を話はじめた   部長だ。

できればあなたの要件を1番聞きたくありませんでした。なんて言おうものなら1発KO
タオルがいくつあっても足りない。
真剣な表情で相槌をうった

聞いてみると思ったほど大したことはない要件で
明日には解決できそうだった
明日までには対応できますと活きた返事をして
ほっとする

よかったよかった。さあ仕事の続きを


選手
縁さん

     まだでしたと。

そうでしたまだあと3人居ました
(あと選手呼びやめてね)

順に要件を聞いていくとどれも些細なことで
その場ですぐ解決できるものだった
安心!解散!

キーンコーンカーンコーン  

PM17時30分。
幸せのチャイムが鳴り響く  定時だ
この鐘の音を聴くために、仕事してると言っても過言ではある。

特に何事もなく。8割型何事もなく無事終える

今日一の元気で「お疲れ様でした!」と吐いて
意気揚々とロッカールームへ向かう

帰ったらなにをしようかな

本日もお疲れ様でした。


帰り道。日が落ちるのも随分はやくなって
遠くの方で沈む夕日に雲が綺麗な橙色に染まっていた

夜の運転、好きです。

夜を照らす月明かり
暗がりでチカチカと光る信号機。
コンビニのポール看板。
車のライトにきらきら呼応するガードレール。

まだ帰りたくない気持ちが、アクセルを緩ませてしまう。

どうして帰り道って 短く感じるのでしょうね。

自宅に帰り玄関を開けるとしっぽをブンブンと
ふりながら嬉しそうにかけよってくる愛犬
あまりにも可愛い。撫でくりまわしちゃう。

今日はどこに散歩にいってきたの

ぴょんぴょん飛び跳ね走り回る愛犬のあし音と台所から聞こえてくる家族の声に自然と口角があがる

ただいま。


帰宅したらまずは手洗い。

いいから黙って手洗いうがい。大事。

夕飯を済ませ、食器を洗う
明日の仕事の用意。洗濯予約をポチ。
最後にお風呂へザバーン。

スッキリ!

やる事を済ませ 2階の自室へ向かう

窓を開け、YouTubeのお気に入りリストをシャッフル再生で流し夜風にあたり目を瞑る

お風呂上がりの火照った体を、優しい風が冷ましてくれる。
この時間が本当に心地よくて
是非皆さんにもやってみてほしいです

お気に入りリストを1曲だけ、載せておきます

ここにきてまさかの文字数になっていて困惑してます。本当に簡潔にまとめるのが下手

なので紹介ではなく、おすすめとしておきます

是非聴いてみてください


お気に入りの音楽と心地の良い風。
外からうっすら聞こえてくる話し声に近所の犬の鳴き声。
風に揺れてサーっと鳴る草木の音。
LINEの通知音。

全部が心地よくて、幸せな時間。

LINEを開くと、好きな人からだった

「冬にしたいことたくさん考えなきゃ」

なんてことない、日常会話。

冬のあし音がまた1歩、近づいてきた

ああいつか、あなたとこの幸せな時間も
同じ場所で、共にできますように。

おやすみなさい。


読んでくれた方はありがとうございます

あなたにとって、すてきな縁がありますように。

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