過去の私へ、読書感想文はこう書け!

子供のころの私は、国語で出される「ある課題」が非常に苦手だった。タイトルにもある通り、読書感想文である。

そもそも私は、感想を書くという行為が嫌いだった。社会科見学でどこに行こうが、国語でどんな文章を読まされようが、「おもしろかった」以上のことが書けなかった。同級生の女子が自由記述式の感想欄に、細かい文字でびっしりと書き込んでいるのが、不思議でたまらなかった。なにをそんなに書く必要があるのか、それは今でも謎である。

中学生になると趣味で小説を書き始めたが、感想を書くのは相変わらず苦手だった。まあ趣味の小説自体も、かなりの割合で未完成なまま放置していたのだから、無理もないのだが。

でも大人になった今では、「おもしろかった」という一文を膨らませるノウハウがわかる。今回はそれを書いていこうと思う。

読書して出てきた「おもしろかった」という感想、これは間違いない自分の言葉だ。ではこれを掘り下げてみてはどうか。具体的に言えば、自分がその本のどの部分を面白いと思ったのか、そして「おもしろかった」以外の感想が本当に出てこないのか、こうしたことを再度確認してみるのだ。子供だった私は言語化が苦手だったが、こういう視点で見ればいろいろ出てきたのではないかと、今では悔やまれる。

「おもしろかった」の深堀をしやすくするために、読書中にメモを取っておくのもいいだろう。こうすればメモを取った個所を引用して、文字数を稼ぐというテクニックも使える。「(例)隣の浪人しているお兄さんが言った、『学歴なんて本当は大人になったらなんでもないのに、僕もほかの大人たちもなぜかそれがすべてだと思っちゃうんだよね』というセリフには、大人の奥深さを垣間見ることができた」などと書けば、いかにも上級者による感想文に見えるかもしれない。

あと文字数を稼ぐテクニックとして、自分の経験に寄せて書くというものがある。推薦図書の多くには、主人公やほかの登場人物が、わかりやすく挫折したり失敗したりする描写があるはずだ。だからその描写を引き合いに出して、「(例)実は私にも似たような経験がある。以前友達を励まそうとして、逆に傷つけてしまったことがあるのだ」などと書けばいい。「自分事」としてストーリーを受け止めていると先生に思われて、印象は悪くはならないだろう。

最後に文章の始め方と終え方の話をして、締めくくろうと思う。まず文章の始めの1/3~1/4は、文章全体のストーリーを自分なりにまとめて書けばいい。読書感想文なのだから、本のあらすじを書いておいた方が読み手に対して親切だ。最後の1/4はその本を読んだ結果、自分のためになったことや自分がどう変われそうかという内容を書くといいだろう。

とまあいろいろ書いてみたが、このテクニックを小学生のときに編み出せていたらなあと、私は月並みな感想を抱くのだった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?