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皮パリ中ふわ「チキンソテー」、焼き方のコツをシェフに聞いた

イタリアンレストランRistorante QUINDIの料理長・安藤曜磁さんが、チキンソテーの作り方を生徒のJunさんに伝授します。レッスンの様子を覗いてみましょう!


皮パリパリでふっくらジューシーなチキンソテーをつくりたい!

安藤コーチ
チキンソテーってふだん、どのように作っていますか?

Junさん
えーっと…温めたフライパンに皮目を下にして鶏もも肉を入れ、その上に鍋を乗せるなど重石をして焼いています。
そうすると焼きムラがあまりできず、皮がパリパリになると前に見たレシピに書かれていたので。おいしいけれどお店みたいにジューシーではないというか、お肉が少しパサついてかたい気も。
お店で食べるのとはなんか違うんですよね。どうしてだろう? チキンソテーの理想形ってどんなものなんですか?

安藤コーチ
「皮パリパリ」と「身はふっくらジューシー」を両立させるのが、チキンソテーの本当の完成形。

Junさんの焼き方だとギュッと押さえられて肉の水分(肉汁)が流出し、身がかたくなってしまいませんか?ということで、今回は焼き方を一緒に学びましょう。

Junさん
家にある普通のフライパンでも上手にできるのか不安ですが、大丈夫ですか?

最初は、チキンをつまみながら焼く??

折りたたむように中央でトングでつまみます

安藤コーチ
大丈夫ですよ。おうちにある、テフロン加工のフライパンなら焼き油は不要。 最初に皮目を下にして焼き始めるのはJunさんといっしょですが、肉を入れるときにフライパンの火はまだつけません。
鶏皮の融点は30℃くらいなので、一気に加熱するとすぐに縮むため、焼きムラの要因になるんですね。
まず皮目を下にして肉をおき、折りたたむようにして中央をトングでつまみます。
そこでようやく着火。強めの中火くらいが目安です。中央部分が焼けて皮が透き通ってきたら、つまんだまま交互にひっくり返して皮目全体を焼いていきましょう。

交互に皮目を焼いていきます。

Junさん
つまむって驚きです! そこにどんな理由が?

安藤コーチ
皮は加熱すると水分が抜けて少し収縮します。
皮目に波ができたり、ぼこっとしたり、ムラができるのはそのせい。
それを防ぐためにみんな重石のせて、押さえつけているんですね。
でもそれでは肉にも圧力がかかって肉汁が抜け、ふっくら仕上がりません。
押さえつけるのではなくつまんで皮の面を中央と両側面に分け、中央が焼けて透き通ってきたら(つまんだまま)返し、側面を交互に焼いていきます。
こうすれば、肉汁は閉じ込められたまま!

Junさん
パリパリとジューシーの両立の理由ですね。つまむときの注意点はありますか?

安藤コーチ
常に皮を引っ張りながら焼くこと。引っ張ることで焼きムラもできにくく、平たい均一の面になっていきます。

Junさん
皮の面がきれいに焼けてきました。でもどこが仕上がりのサインでしょうか。

フライパンの鍋肌を使って焼き上げる

安藤コーチ
皮の面がある程度焼けてきたら広げて身も焼いていきます。こまめに返して皮目の状態を確認。香ばしいきつね色ではなく肌色に近い部分があったら、まだパリパリまで至っていないサイン。見つけたら返してその部分を熱くなっているフライパンの鍋肌につけて集中的に焼きつけます。

フライパンの鍋肌につけて

Junさん
一度フライパンにのせたら、あまり触らないほうがいいということを過去に教わりました。

安藤コーチ
いえいえ、こまめに返してください。
皮目が均一にパリパリになり、肉に火が通ったら完成です。
一度も押さえつけてないから、身がふっくらジューシーですよ。

Junさん
こんがりして、見た目にも食欲をそそります。
皮はきれいなきつね色でハリとツヤがあってレストランみたい。同じテフロンフライパンなのにプロの仕上がりです。何と言ってもつまみながら焼くのが目からウロコ!
食べたときの、パリパリとした音。こんなお料理が自分でできるとは感動ものです。ありがとうございました。

この技、魚のソテーにも使えます

調理のときに、ここは弱火、中火といった火加減だけを意識していると、うまく焼けないことがあります。それは肉を冷蔵庫から出したばかりとか、魚の場合は身がくずれやすいなど、ものによって食材の状態や質が違うから。ソテーの場合は比較的強めの中火で食材の状態を見ながら焼き上げていくことが大事。いずれも最初は身を折り曲げてつまみ、皮目の中央部分から焼き付けていくと皮がそり返りません。皮目が香ばしく焼けたら広げて身側も交互に返しながら焼いていく、このコツは魚にも応用がきくので、鶏肉のおいしさを味わったら好みの白身魚などで試してみてください。

教えてくれたコーチ:安藤曜磁(Ristorante QUINDI料理長)
大阪の調理師学校で学び、京都のリストランテ「イルギオットーネ」に9年間勤務。
その後、都内数店で料理長としてキャリアを積む。2018年より、「Ristorante QUINDI(クインディ)」の料理長を務める。一般社団法人Japan Food Frontierの理事も務め、こどもに向けての料理教室も行っている。

テキスト:須永久美

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