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ステーキの焼き方ー詳細ー

前回、ざっくりと記載したステーキの焼き方の詳細です。

旨いステーキを自宅で食うために色々と試行錯誤しましたが、明らかに効果があるものとそうでないものがありますので、◎○△×の評価を添えつつ記載します。

<肉の選び方>

前回記載した通り、穀物で育った牛をお薦めします。一定金額以上だと分かりませんが、100グラム数百円程度の海外産のものであれば穀物牛の方が安定して美味しいです。(○)

部位としてはヒレ・サーロイン・リブアイロース・ランプぐらいをお勧めします。和牛だとモモでも美味しい場合があります。ミスジがよくステーキ用として売られていますが、真ん中にかなり固い筋があるため、切り方にコツが必要です。何れにしても塊感がなくなってしまうので、あまりお勧めしません。

<肉の準備>

魚や鳥だと早めに塩をして、臭みの元となる水を出すこともあります。あまり美味しくない牛だとこれもアリかもしれません。ただ、上記の肉の選び方を守りつつ、100グラム500円以上の肉であれば、おそらくそれは不要です。むしろ、肉汁をいかに封じ込めるかということに苦心する必要があります。

そこで、時々やるのがプチ・ドライエイジングです。肉を網に乗せて冷蔵庫のできるだけ上段部分で1日放置するのです。正直、アミノ酸が増えるエイジングはしないと思いますが、表面がかなり乾きます。表面の水分が出てしまえば、肉を焼いた時に水が出ない。つまり旨味が逃げないということになります。ただ、水分が少々飛んでいる分、表面だけ若干固くなる懸念はあります。しかし、旨味を残して水分だけが飛ぶメリットの方が大きいと考えています。なお、衛生面が心配なので特に賞味期限を過ぎてしまう場合は自己責任で。(△)

<油の準備>

最終的には低温調理をしますが、とはいえ油を用意します。お勧めはごま油で色が薄く癖のないものです。ごま油は酸化しづらく高温加熱に向いています。これで4−5等分に切ったニンニク1−2片を低温から加熱します。ニンニクがきつね色に変わったら火を止めて油とフライパンの温度が下がるのを待ってください。なお、フライパンを斜めに傾けたときにニンニクがある程度浸かる程度の量を使います。(○)

炭化を意味する焦げと茶色く変色するメイラード反応というのは似て非なる変化です。加熱すると肉は茶色く変色します。これがメイラード反応です。さらに温度を上げると黒く炭化してしまいます。メイラード反応はアミノ酸と糖質が熱によって様々な化学反応を起こし、主にはメラノイジンという物質を生み出す変化です。このメラノイジンは旨みや香りの成分と言われています。そこで、溶けにくいのですが油にごく少量の蜂蜜を混ぜると理論的にはメイラード反応が誘発されるはずなのです。ただ、甘くなってしまっては元も子もないので、1滴程度にしましょう。理論的には合っているはずなんですが、正直効果は体感できるほどじゃないですけど。(×)

<低温調理*ガスコンロの場合>

肉は60度を超えると固くなります。そこで肉の中心温度が55度ぐらいになるのが理想的なのです。そのためにはいわゆる低温調理をする必要があります。

しかし自分は低温調理器を持ってません。ですのでガスコンロで焼いています。ガスコンロで低温調理するのは手間はかかりますが概ね可能です。方法は次の通り。まずは肉を室温に戻す。その後、五徳を重ねてその上にフライパンを置いて最弱火で焼くのです。この状態で放置するとウチの場合、最終的には70度ぐらいまで上がるようです。ですので上がりきる前にひっくり返します。調理温度計で測りながらひっくり返すのが理想的です。調理温度計も無ければ、最初は5分程度、その後はおよそ1分でひっくり返せば大体問題ないはずです。これで肉の厚みによりますが10−30分返し続けます。肉の厚みが2センチ以下なら10分で十分、4センチ以上なら30分ぐらいのイメージです。(◎)

<低温調理*IHの場合>

IHには五徳が無いので上記の方法が使えません。実家がIHなので一度だけやりましたが、取っ手のないフライパンに水を張りその上にさらにフライパンを乗せるのです。なんとなくですが、この方法だと温度上昇が五徳を使うより緩やかなので、ガスコンロでもこの方法の方が良いかもしれません。(◎)

<表面の加熱と味付け>

さて、上記が完了したら、最後の仕上げに入ります。表面を軽く焼きメイラード反応による香りづけと加熱殺菌をするのです。

ガスコンロであれば、一旦火をとめて五徳を戻し通常の状態にします。ここでニンニクを捨てます。ニンニクを加熱すると焦げて苦くなりますので。温度管理を守っていれば肉からほとんど水分は出ていないはずですが、余計な水分や油分をクッキングシートで拭き取ります。テフロン加工なら全ての油を拭き取っても構いません。準備ができたら火を中火にします。中火で1分程度焼いたらひっくり返して10−20秒で火を止めます。余熱で1分程度焼き、お皿に引き上げます。なお、見た目で、表裏それぞれ表面がうっすら焦げているのが目安となります。

肉を一旦引き上げて、フライパンの温度をある程度上げてから片面30秒程度加熱した方が、表面ギリギリまで赤い状態を保てます。ですが、レアすぎるのと衛生面のリスクもありますし、自分はそこまでやらないですね。

後、ローストビーフの調理なんかで、最初に焦がした方が肉汁が出ない、などと聞きますが、どうもこれは怪しいらしいです。最初に焦がしても後で焦がしても出る肉汁の量は一緒だという実験結果があるというのです。それであれば、調理後にすぐ食べるステーキの場合は香ばしさを取った方が得策です。(○)

皿に引き上げた後で塩・胡椒・ガーリックパウダーをかなり多めにかけます。表面が焦げているので中に入っていきませんが、後でかけるのは面倒くさいので先にかけてしまいます。ガーリックパウダーはもちろんお好みですが、安い肉ほど、これが無いと臭みを感じやすいように思います。

<盛り付け>

表面の加熱を始めたぐらいのタイミングで、皿を何も乗せない状態でオーブンで軽く温めます。触って若干熱いと思うぐらいの温度が理想的です。つまりここでも55度ぐらいを狙うのです。

低温調理なので、肉が冷めても美味しいですが、急激に冷やす必要はありません。(○)

長文・駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。書いてたら肉喰いたくなったので、今日はエイジングなしで肉焼きます。なお、写真はスペインで食べたアビラ牛という地牛?のステーキで本文とは無関係です。

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