「おうちで深夜食堂」を巡る料理家談義

料理家３人のトークライブ
 SNSで見つけた「おうちで深夜食堂　〜今日は私がマスター〜」というイベントに参加してきました。『おうちで深夜食堂』の発刊を記念したトークイベントです。深夜食堂とはもちろん、人気コミックでテレビ化もされている「深夜食堂」です。のれんには「めしや」と書かれていますが、深夜12時に店を開けるので深夜食堂、ということはご存知でしょう。『おうちで深夜食堂』は、料理家が深夜食堂のメニューを考案したレシピ集。その料理家は小堀紀代美、坂田阿希子、重信初江、ツレヅレハナコの4人です。
イベントの「おうちで深夜食堂　〜今日は私がマスター〜」は小堀紀代美さん、坂田阿希子さん、重信初江さんの3人が登壇してのトークショーで、MCは本の編集者の佐々木礼子さん。会場はトークライブハウス「LOFT9 Shibuya」で食事しながらトークを楽しめるスペース。イベントのスペシャルメニューとして、本に掲載されている「梅きゅう」「冬の豚汁」「たっぷり麻婆なす」が提供されました。

糸こんにゃくでなければいけない
トークショーでは、まずは『おうちで深夜食堂』に掲載されているメニューの話題です。それぞれが考案したレシピのエピソードを話してくれます。面白かったのは坂田阿希子さんの「肉じゃが」。レシピには「糸こんにゃく（太めのもの）」が材料にあります。編集担当の佐々木さんが校正のとき、上司から「これはしらたきではだめなのか。同じじゃないのか？」ときかれ、坂田さんに問い合わせしました。これに対して、坂田さんから「なぜ糸こんにゃくでなければいけないか」を長文で書いたファックスが送られてきたそうです。
また坂田さんのレシピで「かにクリームコロッケ」がありますが、小堀さん、重信さんからは、「よくこんな手の込んだ料理をつくるね」と感心され、編集者の佐々木さんからは「坂田さんのレシピは手の込んだ料理が多く、撮影にいちばん時間がかかった」と言われていました。

水が切れていないサラダ
3人の料理家さんは、それぞれの思いで料理の道を選んでいます。忘れられない料理を問われた小堀さんが、「母がつくってくれたサラダは皿に水が溜まっているほどいつもびしゃびしゃだった」と。「友だちの家へいってお母さんがレタスについた水を拭いているのに驚いた」というエピソードを披露。料理好きの母親だから料理研究家になる、というわけでもないのですね。これ、反面教師というのかな。
坂田さんは子供の頃からよくいっていた故郷長岡の洋食屋「フロリダキッチン」のことを話してくれました。「ここのコンビネーションサラダがほんとうに美味しかった」といいます。今月、代官山に「洋食KUCHIBUE」をオープンしている坂田さんは「コンビネーションサラダを始め、KUCHIBUEのメニューはフロリダキッチンへのオマージュなんです」と話してくれました。
最後にコミック「深夜食堂」で好きなメニューを問われた3人。小堀さんは「ニラ玉」、坂田さんは「バターライス」、重信さんは「豚キムチ」をあげていました。
同い年（申年）だという3人の料理家さんの美味しいトークを楽しみました。