いよいよ本日発売!!デザイン制作の苦悩と葛藤|書籍化までの道のり⑤
2年前、自称「料理ができない男性」を集めて始まった料理教室で偶然生まれた「図解レシピ」ですが、この度、なんと飛鳥新社さんから書籍化されることが決定しました!
前回の記事では、スタイリングや撮影時の秘話をご紹介しました。
そして、ついに本日発売を迎えました👏ありがとうございます!!手に取ってくださる皆さんの反応がとても楽しみです。
さて、これまで書籍化までの道のりを①〜④で振り返ってまいりましたが、今回は撮影を経て各ページのイメージが具体化されたあと、図解レシピの要である図解のページデザインがどのように決まっていったのか、天地幅など制約の多い誌面でどのように図解レシピの情報を収めていったのか、編集・デザインのアイディアや苦労したポイントなどをご紹介していきます。
担当デザイナーさんはどうやって決まったの?
写真やレシピのレイウトやフォントなどを決めるデザイナーさんは、飛鳥新社の内田さんが適任のデザイナーさんを探してくださいました。
今回依頼したのは、藤井恵さんの「藤井弁当-お弁当はワンパターンでいい!」(学研プラス)や、mizukiさんの「15分でいただきます! Mizukiの2品献立」(マガジンハウス)などのデザインを手がけるパーマネントイエローオレンジのアートディレクター・野澤享子さんです。
売れ筋のレシピ本のデザインを数多く手がけた実績があり、かつ料理初心者向けの見せ方も心得ていらっしゃるので、今までにないレシピ本を作ろうとしている図解レシピのデザインをお願いするのにぴったりのデザイナーさんということで、我々メンバーも興奮が高まったことを鮮明に覚えています。
特に今回のレシピ本の中で、図解レシピの表現方法には、デザイナーさんの柔軟な発想とテクニックが必要と考えていました。
今までのオリジナルの図解レシピは、ホワイトボードに手書きしたものや電子データでの作成だったため時系列を忠実に図解化できていましたが、誌面となるとそうはいきません。
限られたスペースにどうやって全ての工程をわかりやすく、そして直感的に見やすく入れられるか。また書籍化する上では補足が必要な工程もあります。この難問について、前回に引き続き、担当編集の加藤さんと改めて振り返りました。
どうやって誌面に収めるか、それが問題だ…
デザイン時の最大の難関は、図解レシピ最大の特徴である、作業手順のフローチャートをどのように誌面に収めるのか。手順を時系列にすると本の天地の幅がどうしても足りず悪戦苦闘が続きました。
また、調理作業をわかりやすくするためのアイコンは、加藤さんがこれまで見てきた膨大なレシピ本の中から、イメージに近いアイコン使いをしているデザインを参考にしながら、オリジナルの図解レシピにはなかった「ゆでるマーク」「混ぜるマーク」「予熱のマーク」などのアイコンを追加してよりパワーアップさせました。
さらにオリジナルの図解レシピでは、5つのステップに作業を分けて表記していましたが、書籍版では調味料の準備と下ごしらえを1つのステップにまとめて、ステップを4つに減らしました。限られたスペースに補足説明をどの程度、どの大きさで入れるのか、デザイナーさんとは相当やり取りを重ねました。
左:オリジナルの図解レシピ
右:書籍版図解レシピ
工程が多いレシピでは、2つの工程を1つの工程にまとめたり、辛うじてなんとか収めたページもあります。他にも、”一度、炒めた鶏肉を鍋から出しておく”というような、本当はやった方がより美味しく仕上がる工程でも、完成品の味にさほど影響しない工程に関しては、レシピ作成した小竹さんと相談して削除した項目もあります。それは誌面に収めるためだけの目的ではなく、工程を省くことで、より作りやすいレシピになるように変更しているという意味もあります。
このように制約が多い中でもオリジナルの図解レシピをこれだけ忠実に表現できたのはやはり編集者さん、デザイナーさんの実力あってのこと。ギリギリまで調整してくださり、感謝です。
前代未聞、図解レシピらしくていいじゃない
今回は、レシピ本では通常あまり見かけない色味になっていることにお気付きの方もいるかと思うのですが、実はレシピのページに地色が付いています。
通常、レシピ本のレシピ部分は文字が見やすいように白地にすることがスタンダードなのですが、今回の図解レシピ本では、白ではなく色を、しかもパステルカラーやグレートーンでもなく、ビビッドな色や寒色を使用しているんです。寒色は食欲を減らす色味なので、レシピ本ではあまり使われることがありません。
加藤さんも当初驚いたとのことでしたが、飛鳥新社の内田さんも「今までにないレシピ本ということで、これも図解レシピらしくて良いのではないか」と、結果的に個性のある色味になり、我々メンバーも皆とても気に入っています。
最初に決まったメインカラーの黄緑色を一番ボリュームのあるステップ2の色に決め、そこをベースにバランスよく暖色→寒色と構成し、全体の色使いが決まりました。
難航した表紙と帯のデザイン
レシピ本にとって表紙の写真とデザインは一番重要な要素なわけですが、決定案と、実はもう一つ別案がありました。両方ともそれぞれに良さがあるデザインで、どちらにするかなかなか決めるのが難しかったのですが、飛鳥新社さんの販売部の方々(どのようなレシピ本が売れるのか分析するスペシャリスト)の意見も伺って、やっとこの表紙に決まりました。
あえて表紙には図解レシピのデザインは挿入せず、「Flow Cooking」という英語のコピーや、帯の「2品献立が図解レシピなら同時調理でカンタンにできる!」などで引きつけ、ページをめくってみると「なるほど、図解レシピってこういうことね!」と思わせる、より多くの人に興味を持って手に取ってもらえる表紙になったのではないかと思います。
表紙やデザインはレシピ本の要だけあって、相当な試行錯誤と苦労がありましたが、その甲斐あって、自信を持って皆様にお届け出来る書籍版図解レシピが完成しました。加藤さん、内田さん、そして図解レシピの書籍化に関わってくださった皆さんに心からお礼申し上げます。
次回は、「書籍化への道のり」シリーズ最終回です。発売後の感想や実際に書籍版図解レシピを手に取ってくださった方々の反応などをお届けしたいと思います。どうぞお楽しみに!
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