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料理本出版を夢見る人を応援中

本の編集者になって30年あまり。昨年からフリーになったので、ありがたいことに今は関わりたいと望む本だけに向き合わせていただいている。

さらには最近、「料理本をどうしても出したい!」という料理家さんの熱い思いを受けて、コンサルティングも始めた。

お手伝いしているのは料理教室を主宰されている方。
とても思いが深く、料理する人のためだけでなく、食べる側である家族のことまで思いを馳せて教えていて、毎月120席から140席を売るような規模の教室を運営されている。そう、成功者なのだ。
だからあえて何度も問いかけている。
誰もがネットでつながる時代になぜ料理本を? 料理教室という媒体ですでに成功をおさめているのになぜ? と。
しかし、そのたびにブレない答えが返ってくる。料理で成し遂げたい目標が明確だからだ。もちろん目標を達成するための道筋もメソッドもある。結果を出してきた実績もある。
ならば、うん、いける。
上手にポジショニングできていないだけだ。力はあるのにマーケットの外にいると思うと、こちらも応援に力が入る。直感だが、この人のゴールはそう遠くない未来にあるような気がしている。

そんな彼女とは、今はパズルを組み立てるためのピースを集める作業を重ねている。
料理本作りは雑誌作りに似ていて、雑誌が各種情報をあらゆる手段で見せていく…たとえば文章だったり写真だったり、表や図だったりイラストだったりといったパーツの中身が、料理本では料理の写真になり、シーンを伝えるのはスタイリングになり、工程や食材リストは図表の代わりになる。
つまりは1冊にまとめるためには、選び抜かれた各種のピースがたくさん必要になるのだ。

特に重要なのが、それらピースをまとめあげる言葉。
本の方向性を決定づけるキーワードとも言う。
●●料理とか、××ごはんとかではない。
食材とか調理法、調理器具とかでもない。
例えば、昨今流行った「作り置き」という言葉なんかがそれにあたる。
「作り置き」という言葉は本の方向性とともに「料理する」という行為の中にある「機能」にも言及した言葉だ。

また、InstagramのようなSNSを開けば、似たようなことを似たように発信する人はいっぱいいる。そんな中で隣の誰かとは明らかに違うその人だけの差別化ポイントをびしっと表すことも大切だ。
「出汁にこだわってます」「塩にこだわってます」「化学調味料は使いません」「3ステップでできます」等々はもはや差別化ポイントでもなんでもない。「他にはないことをやってます!」「このテーマの本は存在していません、だからいけます」と言う人もいる。が、本が出ていないのはマーケットがないからという可能性のほうが高いことを忘れてはならない。

では差別化ポイントとは何か。
これらはもっとも本人たちが気付きにくいところ…例えば、料理とは関係ない経歴だったり得意なことだったり、それまでの人間関係の中に見つかることが多い。
ヒントは、他者には見えているのに本人が気づかないこと、だ。
本人は何度もその話だったり同じ言葉を繰り返しているのに、それが強みだとは気づいていないことがほとんど。
「今、言ったよね?」「あ、また繰り返してるよ?」「そこいつも言うね?」ーーそんなふうに感じられる言葉にこそその人らしさが現れているものだ。
思考のクセとも言えるものの中の、とりわけスーパーポジティブな言葉、いや言葉にもなっていないもの……それを探して料理の言葉に置き換えて言語化していくのが今の私の役目。

だが、ちょっと業界歴が長い人ならこんなことを言うかもしれない。
本を出したいって? え、流行の先取りのような企画を考えればいいんじゃないの? まだ流行ってないけれどこれから流行る料理を提案すればいいんじゃ? っと。
それはね。
本は出せるかもしれない。一発屋さんでいいならいけるよ?
流行りそうな料理を上手にまとめあげてくれる器用な料理家さんを求める出版社は多いから、そっち方向を目指すのも一考だ。
レシピ200考えられる? ならそっち行く?
何事も考え方次第、まずは実績作りが大切だもんね。ええ、企画書作り、お手伝いしまっせ……。
もろもろ含めて、はい、もちろんお手伝いします。
ご連絡は→

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教えるにしろ、レシピを考えるにしろ調理だけをしているにしろ、料理というものを仕事にしているのであれば、料理本出版を夢見る人は多いと思う。
そんな人のために、若い頃よりはるかに知恵と経験を積んだ今の私は、静かだが確実なサポートが実現できるのではないかと自負している。今お手伝いしているこの方の場合はまだ具体的な企画書を作成するまでには至らないが、もしかしたらwithコロナ時代に輝く企画になるかもしれないとワクワクしている。
ワクワクはすべてのモチベーションの源だ。


ありがとうございます。新しい本の購入に使わせていただきます。夢の本屋さんに向けてGO! GO!