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「新しい自分に出会える! 演技と撮影ワークショップ」開催レポート

2024年最初のコンビビワークショップは演技と撮影です。昨年のショート映画を撮るワークショップの時にも、子どもたちには演技をしてもらっていますが、その時の様子や感想を聞くと「演技は子どもたちにとってかなり貴重な体験になりそうだ」と感じました。というわけで、今回は演技をする、つまりふだんの自分とは違う人になる、という体験を中心にワークショップをデザインしました。違う人を演じることでみえてくる「新しい自分」を、撮影した動画を確認しながら客観的にみる、そんな時間が子供たちとともに実現できました。
1/14と1/28の2回行ったワークショップについて、まとめてレポートします。

●動物になる

今回は梅ヶ丘に昨年オープンした"小さなカルチャーセンター"パブリコを会場に、近隣の羽根木公園も使ってワークショップを開催しました。パブリコは世田谷で子育てをしている人にはよく知られたNPO法人子育て支援グループamigoさんが運営している場所です(カフェもあり、子連れでもハートフルな場所なので機会があればぜひご利用ください)。

まずは集合後、名作人気カードゲームの『はぁ?っていうゲーム』でアイスブレイク。演技のワークということで、肩慣らしに演技のゲームからスタートします。言葉一つにもいろんな表現があることを学びつつ、気づけば芝居の練習にもなっていました。
それからみんなでわいわいおしゃべりをしながら羽根木公園に移動し、日当たりのいい広場で「動物になる」ワークショップを行いました。これは1月14日に見学にいらしていた女優の佐藤みゆきさんが、劇団でお芝居をするときにしばしば行っていたワークということで教えてもらいました。

今日のポイントは「聞く」「感じる」ということ。


まず、子どももオトナも、それぞれが好きな動物を思い浮かべ、自分がなりりきる動物をみんなに伝えます。トラ、キリン、サル、ネコ、ワニなどになりきってしばらく過ごしたあと、合図をしたらお互いの存在に気づき、その動物ならどうするかを考えながら、なりきりって動き回りました。トラになった子はどっしりと他の動物をにらみ、ネコやサルは警戒モード、離れたところでネコ同士がまったりしたり、スズメは好奇心と身軽さで自由に、といった各々が演技の時間になりました。動物になるというのは芝居のワークショップでは定番ですが、セリフが無いことや人間ではないものになるという気楽さ(自由さ)があり、あらためておもしろいワークだなと思いました。子どもたちもゲーム的に楽しんでいて、演技の導入としてもいいウォーミングアップになりました。

続いて即興のワークです。2人ペアになり、間に「扉」を挟むというシチュエーションで、それぞれがセリフを考え演技をします。最初の人は、扉を前にどんな行動をして声を発するか、しばらく考えてスタートします。

「開けてくれ!警察です」

などのシチュエーションとセリフを考え、役を演じます。それを受けたもうひとりはどんな対応をするかしばらく考え、自分なりにまとまったら、架空の扉の前に進み

「もうちょっと待って!」
「留守です」

など自分なりのセリフと演技をして対応する、というワークです。このワークでは、相手の様子をしっかり「観て」、言っていることを「聞く」、ということを大事にし、何回も演技を重ねました。

●違うひとになる自由さ

演技へのハードルが下がり、気分も上がったところでパブリコに移動。
今度のワークは2人ペアになって、

A「おはよう」
B「おはよう」
A「調子どう?」
B「あんまり」
A「だいじょうぶ?」
B「だめかも」

という6つのセリフで演技をします。このワークの面白いところは、6つのセリフは同じで、最初は「テストの朝」という設定、続いて「結婚式の朝」という別の設定で演じる、というところです(1/28日のワークショップでは、セリフ、シチュエーションともすこし変更をしました)。
演じる自分がどういう人で、どんな気持ちなのか、セリフはいっしょでも設定が違えば、表現も違う、ということを何度も演じながら体験していきます。

テスト前の朝という設定で。二人は男子生徒と男の先生という設定でお芝居にチャレンジ。


女優の佐藤さんもご好意で参加してくださって、子どもたちの視線やアクションを引き出したり、ちゃんと待ってくれたり、あとはちょっとサプライズな展開を持ち込んだりと、たくさんの引き出しを開けて、ふところ深く対応してくれました。
子どもたちは、最初は椅子しか使わずに、小道具などは使わず想像で演技していましたが、佐藤さんは、机を即席で用意したり、お菓子や湯呑などの本物の小道具を入れることをすすめてくれました。するとたしかに、実際のモノを使用することによって子どもたちの演技は安定し、気持ちも入っていきます。小道具や衣装など、芝居をする上で「その気になる」要素の大事さを子どもたちもよく理解できたとおもいます。
演技はカメラで撮影し、最後にお迎えにきた親御さんを前にして上映会。子どもたちからはこんな感想が出ました。

「男子の演技をしたのがおもしろかった」(小6女子)
「ネコ同士で会話したことが楽しかった」(小6女子)
「ものを使って演技するのが好き。あとは動物になりきるのも楽しかった」(小6女子)
(扉のワークで)シーンを自分で考えるところが面白かった(小4男子)

今回のワークショップは「新しい自分をみつける、出会う」ということをテーマにしていました。どれくらいそれが子どもたちの実感として心に残ったか?スタッフ目線から感じたのは、「演技をすることで逆に自由になる感覚があるんだなあ」ということでした。
動物になりきるワークでは、もっと恥ずかしがったり遠慮したりするかなとすこし心配をしていました。しかし、子どもたちはそんな気配もなく思いっきり動物になりきって楽しんでいて、「あ、けっこう自由にやってるな、解放されてるな」と感じることができました。
また、感想にもありましたが、「ふだんとは違うわたし」になること、たとえば女子が男子になる、小6が結婚式当日の花嫁になったりお母さんになることで、日常のわたしから離れられる楽しさがある、そういう自由な感覚をこのワークショップではみんなが味わっていたように感じました。
また撮影された自分の演技をスクリーンで観ることで、その感覚を再確認できていたことも、このワークショップの面白さであり可能性だなと感じました。

演技のワークショップは、子どもたちにとってもおもしろい体験になるし、いろいろな新しい展開・ワークが考えられるので、引き続き日を改めて開催予定です。
最後までお読みいただいてありがとうございました。

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