小人テーマパークと障害者エンタメ


低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

先月、abema primeで中国にある小人テーマパークについての特集があり、拝見しました。個人的にもちょうどいいタイミングで調べていたテーマとも重なる部分があったので、興味を持って拝見しました。

後藤仁美さんやかんばらけんたさんなど知り合いも知り合いが出演されていたのもあって。

後日、動画が配信されていましたので、未見の方はこちらからどうぞ。

【障害者の表現】障害を生かす表現は差別を助長?そもそも障害者だからと括るのが間違い?車いすダンサー&低身長の女優と議論【かんばらけんた】【障害者雇用】【小人テーマパーク】#アベプラアベマで放送中

さて小人テーマパーク、正式名称は「小矮人王国」で中国雲南省昆明市西山区にあり、2009年に創設されました。

私はこの「小人テーマパーク」は障害のある人のエンターテインメントとして語るのは無理があるように思います。
私自身は見世物うんぬんよりも「そもそもこの人たちは本当に楽しんでこれをやっているのか?」という点が気になりました。
まず、このテーマパークが中国であること。国によって障害のある人の環境は違っているので、私の想像の及ばない部分もあるのですが、障害のある人が社会の中で働いて生活することがまだまだ難しい面が多いと考えられます。

実際にこの場に行かれた方のブログで、このテーマパークで働いている人から「ここだと仕事があるから」といった声があると書かれている文章を読みました。

特にこの「小矮人王国」は同じような境遇の人が生活する空間であり、コロニーのような、もしかしたらそれは彼らたちにとって、安心できる、とても住みやすい場所なのかもしれません。
そして働くことが出来て、賃金がもらえる。つまり、彼らはエンターテインメント、および表現をしたいからこのテーマパークで働いているのか、いうとその辺りは疑問に感じてしまいます。


「見世物かどうか」を議論するときには、「誰が誰を見世物にしているのか」「誰が誰を見て見世物と捉えるのか」という関連したふたつの考えがあると思うのです。
見世物小屋をイメージしていただくとわかりやすいですが、あれは健常の興行師が障害者に芸をさせて見世物にしている、という図式。(諸説ありますが)障害のある人がやりたくないのに興行師に売られたりして、お金のためにやらされている。あと小人プロレスのように、やっている本人たちはプライドを持ってやっているのに、見る人が人権侵害だ、見世物だ、と捉える。

「小矮人王国」は2009年、中国の実業家である陳明京氏によって設立されたそうなので(参考引用↓)

「健常の興行師が障害者に芸をさせて見世物にしている」という捉え方はあながち間違いではないように思うのですが、それが慈善事業の一環のように扱われたのでしょうか。
そう考えると障害者雇用の文脈で話すべき問題なのでしょうね。

あと、この小人テーマパーク、日本だと考えられないな、と思ったのも事実。中国の障害のある人の舞台での表現作品は片手で数えるくらいしか見たことがありませんが、「障害を克服し感動を呼ぶ」もしくは「健常者にできない超人技的な表現」といった表現が多い印象です。
社会が障害者をどう扱っているか、障害のある人の社会的地位を表しています。障害のある人の表現活動を考える中でも、その社会的な背景を読み取ることはとても大切だと最近感じています。


余談ですが、私2015年に、庭劇団ペニノの「タニノとドワーフ達によるカントールに捧げるオマージュ」という舞台に出演しました。

タニノドワーフ

この舞台の出演者は全て140センチ以下、つまりドワーフ(小人)でした。
この舞台においてはドワーフであることが必要条件の舞台演出であり、小人である身体の強度は健常者の俳優には出せないものだったのかもしれません。もちろんそれだけではなくて、マメ山田さんのように優れた俳優がいるのも事実なのですが。


「障害者とエンタメ」に関しては、また違う機会に書こうかと。

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