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BTSジンくんが元気になったきっかけは

みなさんご存じの通り、アイドルもメンタルヘルスの問題で悩まされることがあります。「Dynamite」が大ヒットした後のBTSジンくんもそうでした(あ、私の最推しです😚ジンくん)。

世界各国の音楽番組や授賞式、そしてYouTubeでの独自コンテンツなど露出の多い彼らなので、目を皿にして見ているファンは気づいてしまいます。ダンスのキックが少しだけおざなりになっていること。食欲が旺盛でゲームが大好きな彼の、「食べることにもゲームにも最近あまり興味がなくて」「よく寝ています」というコメント etc‥‥。

昨年秋に放送された、アメリカの人気番組「ジミー・ファロン tonight show」のインタビュー。
「学生時代はどんな子だった?」と質問されたとき、他のメンバーが楽しいエピソードを話す中で、

「僕は‥‥静かで存在感がなくて、ただ学校に通って友だちとふざけているような子でした。特別な思い出はありません」

と答え、「BTSみたいになりたいと夢見てる子にメッセージを」と言われると

「僕の場合は、まわりがみんな良い人たちだったので‥‥。良い人に出会ってください(くらいしか言えませんね、というニュアンス)」

と答えるジンくんに胸を衝かれました。
オープニングやエンディングでは明るいリアクションをしていても、自分に質問をされると伏し目がちになり、表情も声色も沈んでいるように見えました。

この約3か月後
28歳の誕生日(韓国では誕生日に年をとるという考え方はしないのですが‥‥)に、彼はソロ曲とコメントを発表。

ビルボードHOT100で1位になって、たくさんの祝福をいただきましたが、「僕がこんな栄誉を得ていいのか? もっと音楽を愛し、才能ある人がたくさんいるのに」と考えずにいられなくて、つらくなって、すべてを手放したくなってしまいました

うすうす気づいていたものの、本人のオフィシャルなコメントに、ファンには衝撃が走りました。
心身ともに酷使せざるを得ないアイドルという職業にあって、ジンくんは、BTSの中でも心の不調とはもっともかけ離れている‥‥というのが、ファンやメンバーの共通認識だったからです。

BTSのリーダーでありスポークスマンもつとめるが、実は芸術家肌で内省の人、RM。ごく若いころからうつに悩んだ経験をカミングアウトしているSUGA。そして、幼い時期に故郷と家族から離れ、デビューを目指して大都会ソウルで合宿生活をしてきた若いメンバーたちに比べ、裕福で幸福な家庭に育ち、「一般の学生」としての年月が長かったジンくんは、もっとも情緒が安定しているし、料理や生活力に優れていて、長年、やんちゃでナーバスな弟たちの面倒を見るポジションにありました。

スタッフやプロデューサーからは
「スターになっても、ジンだけは変わらない」
「長男がジンだから、このチームは良識的でいられる」
と言われ、メンバーたちも
「あのポジティブさがうらやましい」
と口をそろえて言う。それがバンタンの長男ジンくんという人なのです。

もちろん、むやみに能天気で楽観的なのではなく、彼はスカウトされてからダンスや歌を始めた唯一のメンバーであり、「なのに、年だけは一番上」(←韓国は年齢の序列が厳しい)というのもあって、劣等感や焦燥感もたくさん味わってきたのではないかと想像します。
それでも「ジンヒョン(兄)だけはいつもメンタルが安定している」というのは、彼が自分で自分の面倒をみられる、自律できる人間だということを示しています。

みなさんには、明るく楽しい姿だけを見せていたい。苦労は自分だけがわかっていればいい

というのも、彼がこれまで口にしてきたプロ意識でした。

そんな彼が、こんなにもバーンアウトするなんて‥‥
おのれ Dynamite め、なんでこんなに売れたんだ。
‥‥と、私自身すでに500回くらい聴いてヒットに貢献していた「Dynamite」を呪いそうになりましたが
2021年、年が明けたあたりから、少しずつスッキリした顔を見せてくれるようになったジンくんにホッとした私たちです。

4月初めに行われたローリング・ストーン誌の個人インタビューでは、BTSの産みの親ともいえるプロデューサー(PD)、バン・シヒョク氏の才能について聞かれ

彼の才能は運の強さです。僕たちと出会ったことで、自分の才能に気づけたんですから。彼はラッキーな人。僕たち抜きでここまで来ることはできなかったでしょう

と答えています。バンPDって、嵐にとってのジャニー喜多川、NiziUにとってのJ.Y.パークですよ? どんだけ上からなん(笑)

『人は、良い出会いによって開花する』
半年前、アメリカの番組で彼が語ったことと意味合いは同じです。
けれど、4月のインタビューの文面からは、明るい笑顔でぺらぺらとユーモラスに話すいつもの調子の彼が思い浮かびました。

BTSは2017年ごろから「Love myself」つまり自己肯定をメッセージとして掲げ、これが世界中で支持される大きな要因のひとつとなっているのですが、自己肯定ってそう簡単じゃないなと彼らを見ていても思います。

「自分を愛そう」とやみくもに言い聞かせるとか
「自分にごほうびをあげる」とかそんな表面的なことではなくて、
自分と深く向き合うことが必要なんだなと。

ジンくんの場合、浮上のきっかけは、誕生日に発表したソロ曲がとても大きかったようです。
抑うつ気分の告白と同時に発表されたもので、タイトルは「Abyss」。「深淵」という意味で、まさに自分自身の内面を暗い海にたとえ、深く潜っていく歌でした。

ジンくん本人のコメントによると

・抑うつ気分になり、カウンセリングを受けたり、バンPDと話し合ったり
 ↓
・PDに「今このときの感情を楽曲にしてみたら?」と言われる
 ↓
・「うまく作る自信がない。もう失敗できない立場になってるのに」とジンくん
 ↓
・PD「そんなことは気にするな。でも君はうまくやると思うよ」
 ↓
・作曲家、PD、そしてリーダーRMなどと話し合いながら楽曲制作
 ↓
・誕生日に発表
という流れだったとのことで、事務所のケアとバックアップのまともさに泣けてきます。


つまり ジンくんの浮上のきっかけになったのは
【自己探求】と【自己開示】。

【自己探求】とは、楽曲制作のプロセス。
カウンセリングも受け、プロデューサーを始め、仕事上の上司やチームメイトなど、信頼できる人々と自分の状況を共有し、受け入れられ、
曲をつくる過程で、感情を言葉やメロディーに落とし込み、歌うことで自己表現をした。この時点で、かなり癒やされたのではないかと想像します。

そして【自己開示】は、楽曲とコメントの発表。
納得ずくでオープンにすることで、仮面を外せてホッとできた部分もあろうし、疲れて何もかも手放したい、という正直な述懐には多くの共感も集まり、「話してくれてありがとう」という声も多く、
そして何よりとてもすばらしい楽曲で、彼のボーカルがまた上達していて
ランキングや再生回数も含め、高い支持を得ました。
開示することで、良いフィードバックがたくさん得られたのです。

自己探求としての創作
自己表現
専門家のカウンセリング
信頼できるチームメイト
自己開示
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ジンくんの半年ほどのプロセスに、大切なエッセンスが詰まっているように思います。

サムネ写真は、2020年秋、きっと苦しかったころのジンくん。元気になってくれてありがとう。話してくれてありがとう。Abyssが本当に大好きです。



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