公演は私たちを解放する場所~SUGA Agust D TOUR ‘D-DAY’ 最後の日
自分のために泣くってきっと大事なことだね。
BTSシュガのワールドツアー、今日が本当の千秋楽だから泣くかもなと思ってはいたものの、想像の10倍くらい泣き始めたから見ていてちょっと動揺しちゃった。
でも、途中からなんかすごく良いなと思ったんだよね。
30歳の彼が、デビュー前から10数年も苦労し続けがんばり続けた結果、今日こうやって歌う場所があるんだもん。そりゃ泣くよ、泣くよね。
本当にいろんな思いがこみあげたんだろうけど、なんか、Love Myselfの涙だなと思った。
かつて、メンバーの末っ子に「泣いていいよ。一人で泣かなけりゃ」と言ったユンギ。
今日は会場の1万5千人+オンラインビューイングの何十万人かがあなたの涙と一緒にいたよ。우리 함께 한 친구야.
BTSは、過去の公演や動画でもいろんなメンバーがたくさん泣いてるし、カメラのないところでもたくさん泣いてきて、メンバーみずからそんなエピソードをいろいろ話す。
それを見ていて思うのは、涙がこみあげてくるって人間としてすごく自然。そしてユンギが言ったとおり、その場面を誰かと共有できることで、慰められるし前に進みやすくなると思う。
うれし涙、悔し涙、悲しい涙‥‥いろんな涙があるが、今日のユンギはきっと言葉にならない万感がこみあげての涙だろう。
もしかしたら、口にすることのない後悔や、この先への不安も混じってるかもしれない。
それらも含めて、自分の経験や感情のすべてを認めることができた涙じゃないかなと思った。
セルフネグレクトの対極にある涙だと思ったよ。
自分の感情を認識するのは大事だよね。
年齢を重ねると
「こんなの大したことない」「いい年して」「私はそんなに弱くない」
と思いがち。
確かに、たくさんの仕事をしてきた手の皮が分厚くなって熱さに耐えられるように、経験とともに人間強くなるけど、「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせているうちに、自分の状態に気づかず無理を重ねて心や身体を壊したり、周囲にも強さを求め寛容さを失ってしまうのもよくあることで‥‥。
「きっとすべて大丈夫だよ」と16回も繰り返す『Snooze』は、成功を夢見て歯を食いしばりがんばっている後輩に向けた曲で、昨秋、対面した際にこの曲を聞いた晩年の坂本龍一が「後輩に”大丈夫”と伝える歌というけど、まるで自分に言い聞かせているみたいだね」のようにとコメントしたのが印象的だったけど、今夜のユンギは泣いて泣いて、その「きっとすべて大丈夫だよ(다 괜찮아질 거야)」を歌えなかった。
でもいいんだよ。会場のみんなが代わりに歌ってたから。
ジンとj-hopeも、軍のお休みで客席に見に来ていた。
みんなで涙をわかちあっていたよ。
「大丈夫じゃなくても大丈夫」ってこういうことだ。
7人の中で一番クールで老成しているように見えて、実は号泣エピソードが少なくないユンギ。
今日泣きじゃくる姿を見ていて、長男ジンくんが「ユンギの泣き顔はかわいい」と言った意味が少しわかった。
なんたって、3曲分ずーっと泣き続けてたもん。
映画やドラマのイメージから、韓国の人はばりばり泣くと思ってるかもしれないけど、現代の有名人がこういう公衆の面前でとなると、特に他国と変わらんからね。「パラサイト」が米アカデミー賞をとったときも、ポン・ジュノもソン・ガンホも泣いてなかったでしょ?
「Snooze」でめちゃめちゃ泣いたあと「どうでしたか?」と客席に聞いて、「(こんなに泣くの見せちゃって)どうでしたか?って聞かれてもねw(困るよね)」って自分でツッコんで苦笑してたのすごいかわいかったし、
そのあと「Dear my friend」に入る前、「俺この曲歌えるんかいな、みなさんの声が必要です」みたいに言ってたのもめちゃくちゃ良かった。
泣いて泣いて泣きながら、力強く生きてきた人なんだなと思った。
練りに練られた初めてのソロコンサート、
長く続いたワールドツアー
(※BTSはメンバーが順に兵役についているので、現在ソロ活動をしています)
ユンギの涙を見てたら、ナムジュン(RM)もまたいつか、ファンの前で泣きじゃくれる日が来るといいなとすら思ってしまった。
今日、ゲストとして2曲、ステージでパフォーマンスした彼。
とてもかっこよかったけど、とてもこらえているように見えた。
兵役のことまた考えてしまう‥‥。
でもきっと、ナムはナムのタイミングで、きっといろんなこと話してくれるね。
終盤のコメントで「今回のツアーでたくさんのことを学んだ」と話したユンギだけど、それは私たちファンも同じ。本当にありがとうと言いたい。
あの3曲で涙する姿
「AMYGDALA」のMVで開かなかったあのドアを開けて出ていく姿
すっきりした笑顔
公演はやっぱり、私たちの「解放」の場所
2023.8.6
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