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生活能力としての言葉 ~in the soopのBTSを例に

2年前に某所に書いた文章をリマインドされた。読み返すと雑然としてるけど、言いたいこと書いてるのでここにログを置きます。
こういう括り方に問題があるのは承知のうえで、やっぱり
男性には「私的なおしゃべり」の練習の場が必要、
女性には「ちょっとだけオフィシャルな場で」「ちょっとだけ聴衆を意識して、ちょっとだけ責任をもって」話す練習の場が必要だと、今も思ってる。

おしゃべりと発言とジェンダー問題

おじいちゃん(=森喜朗)がまたいらんこと言ったらしい。以前の失言について、「女の人はよくしゃべると言っただけだ」ですって。困ったおじいちゃんだねぇ😩

こんなツイートを見かけた。

「基本的には公の場所では男性の方がよく喋ると思いますよ。占める人数も多いし。マンスプレイニングという言葉もあるほど男性は女性の時間をよく奪いよく喋る。特に求められてもいないのにしゃべる男性もよくいます」

ほんと、それなー!
男性の話は「公的な、耳を傾けるべき発言」、女性の話は「私的なおしゃべり」として、下位レベルのものだと捉えられがちですよね。
地位や肩書のある男性は、それだけで話を聞いてもらえる立場にあり、話のクオリティを厳しく問われないから、おもしろくない話や長い話、ひどい話も駆逐されないことがある。
(もちろん、地位や肩書もあり、話がおもしろい男性もたくさんいますが。)

でもこれって、定年後や災害の避難所では殻に閉じこもりがちな男性が少なくないことともつながっているように思う。
地位や肩書をもたない「ひとりの個人」になったとき、何を話せばいいかわからないってやつ。

対して、女性は、雑談のような他愛ない話で接点を見つけて、コミュニケーションをとるのが比較的上手い傾向がある。
(これももちろん、人によりますが。。。)

一方で、特に女性には
「公的な場では男性/年長者の話を聞くものだ」
という刷り込みが強く、おしゃべりではなく「発言」を促されると尻込みする人が少なくない。また、経験値が少ないので「ちゃんとした発言をするのは苦手」だと思いこんでいたりする。

‥‥と、書いてきたけど、これって本当は個人の資質や経験値の問題なのに、社会的な状況でそうなっているという話だと思う。まさにジェンダー問題ですね。

私も人前で発言することに躊躇することはある。
「気が強く、出しゃばりで、付き合いにくい女だと思われるのではないか?」
「立派な仕事をしている人たちの前で、拙い発言をしたくない」

でもね、思うのは「話していいよ」「聞くよ」という場があって良い経験を重ねれば、多くの人が発言できるようになるということ。
これまで、日本の女性にとってそういう場所が少なかっただけ。

私は、他愛ない私的なおしゃべりも大好きだし大切だと思っているが、女性ほど
「ちょっとだけオフィシャルな場で」
「ちょっとだけ聴衆を意識して、ちょっとだけ責任をもって」
発言する練習ができる場所が必要だと思う。
しっかりした発言力って、それを積み重ねるしかないと思う。
私も練習してます。。。あまり機会がないが。。。😅

同様に、男性は「私的なおしゃべり」の練習の場が必要だと思う。
男性がぺらぺら喋るのは軽薄で好ましくないという昭和の価値観がある。
「私語=無駄口」だという感覚ね。高倉健的世界というか。
普段無駄口を叩かないからこそいざというときの発言に重みが出る、と。

でもこれって、考えてみたらものすごく支配者的な発想だ。
全然違うコミュニティに一人で入っていくとき、黙っていたら気づいてもらえないし怪しい奴だと思われるだろう。
また、言語化しなければ自分の思考や感情を自分で認識するのも難しいと思う。
男性は愚痴をこぼしたり弱音を吐いたりが苦手で、抱え込みがちだよね。

私的なおしゃべりは、無駄どころか、ある意味スキルでもある。
そのスキルを「無駄口」だとするのは、庶民にスキルを身につけさせないことにもなる。そりゃ、支配者層にはそのほうが都合がいいでしょうね。

家事雑事をやってきたBTS

今書いてて思ったけど、そこでBTSなんですよね。(はい、ARMY脳ですw)

スピーチがうまいのはよく知られるところだと思うが、彼らは同時にめちゃくちゃおしゃべり。「エゴマの葉」についてさえ延々しゃべる。
何人もかぶってしゃべるからうるさいし、字幕を追うのが大変なのよw

また、彼らの歌詞はデビュー以来ずっと彼らの「私的な言葉」だった。
怒りや葛藤や不安、自己受容までの道のり‥‥
今この社会を生きる生身の人間としての言葉を磨いて作品に昇華し、同時にSNSやタルバンで他愛ないおしゃべりも届けてきたのがBTS。
ファンを増やすにしたがって、私的な言葉が「公的な発言」として扱われ、求められるようになったという道のりなんだな。良くも悪くも‥‥

BTSがなぜ私的なおしゃべりがうまいか?(≒雑談が長く続くし、しかもその内容で人を不快にさせないか?)

というと、韓国の人は概してよくしゃべるとか、メンバー同士が家族のように長い時間を共にしてるというのもあるけど、
【家事雑事を自分たちでしてきたから】
ってのもあると思う。

めちゃくちゃ家事雑事するうちの夫が、「in the soop(という映像コンテンツ。2020年)」を見て「こいつら生活力あるな~!」と感心してた。

湖畔の別荘で休暇をとり、ゲームをしたり絵を描いたりボートに乗ったりして思い思いに遊ぶコンテンツだが、同時に、食材の開梱、仕分け、収納から始まって、料理、食べる、片付けまでを自分たちでやる。ゴミの仕分けもする。
夜ご飯を食べながら「明日の昼どうする?」「冷ごはんでキムチチャーハンしよう」と話しあってるw

7人いたら得手不得手があるのでお互いカバーしあう。
料理が得意な人、よく気がつくサポート役の人。
彼らはデビュー前から長いこと共同生活をしていたから、その様子に無理がない。

「大きいものは洗っといたから食べ終わったらお皿だけ洗えばいいよ」
「ちょっともの足りない気がするからリンゴ切ってきた」
「釜を洗うの面倒だから蓋でチャーハン作ろう」←(笑)

家事雑事って、たくさんの共通点や「小さな言葉」が生まれるんだよね。

男の人の飲み会のおしゃべりが、セクハラとか弄り、それとか仕事の話ばかりに偏りがちだとしたら、そういう話題しか知らないってのもあるんだろう。

私の周囲は、年齢の割に(40代)夫をはじめ家事雑事をする男性が比較的多く、彼らは男性同士でも食材の値段や家庭料理のレシピ、地域のお店の話をしたりしてる。
必要なのは料理スキルじゃなくて生活能力なのよね。
あるもので数日分の献立を考え、片付けまで念頭に作り、自分勝手に過ごさない。

歌も踊りもうまくて作詞作曲もできて、思いやりがあり、心理的安全性の高いチームビルディングをして、生活能力まであるBTS最強やな‥‥推しが尊い‥‥ハイいつもの結論。そして長いw

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