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リュートってどんな楽器?【1】

リュートは、かつてヨーロッパで広く愛された楽器でした。

特に15世紀の終わりごろから、16世紀を経て17世紀の半ばまでの期間、人々にとってリュートが最も身近な存在の楽器の一つであったことは、まず間違いないでしょう。

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身近とはいっても、リュートはとても華奢で、繊細な構造を持った楽器
楽器を手に入れるのはもちろん、その先のメンテナンスにも、そこそこお金がかかりますから、一般庶民たちがすぐに手が出せるようなものではなかったはず。

一方で、中流階級かそれ以上の人々が「たしなみ」としての音楽の手ほどきの道具として、リュートを手にすることがしばしばありました。
現代の私たちが、ピアノのお稽古で楽譜の読み方を習うのと、似たような感覚でしょうか。

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一国の長に君臨した人物、例えば英国のエリザベス一世も、リュートの演奏をたしなんだとされ、当時のこんな肖像画が残されています。

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​女王の腕前のほどは、今となっては分かりませんけども・・さらに、ほぼ同じ時代にロンドンで上演されたシェイクスピア劇の舞台では、楽師たちによってリュートが弾かれていたことも知られています。

一般にリュートの全盛時代は、16世紀から17世紀の前半にかけてであると言われます。こうして絵画にもたくさん描かれていますね。
そして私が普段演奏している音楽も、この時代のものが圧倒的に多いです。

この時代、リュートの名手と呼ばれる人々が、各地にたくさん現れました。
当時のプロのリュート奏者のレベルは、相当に高かったようです。
演奏技術だけでなく、社会的ステータスの面でも。
ある君主の「お抱え」リュート奏者が、その宮廷に属する音楽家たちの中で、一番の高給取りであった、なんてこともあったくらいで、リュートが弾けると高貴な人のお供をして、時にはかなり近い関係になったりも・・

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いやはや、この時代に生きてみたかったですね!
まあ、それはそれで同業者同士での競争が凄そうで、やっぱり今のほうがいいかも(笑)。

リュートの音楽、いやリュートを使って弾ける曲の数は、とにかく厖大です!無尽蔵といってもいいほど。
たぶんこれから自分がどんなに長生きしても、17世紀までに作られて残っている作品を、全て音にすることなんて不可能でしょう。

西洋琵琶法師」と自己紹介をした手前、次回はその琵琶と、リュートの関係について書いてみたいと思います。

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