これだから、日本人って・・・

ほんの10分ほど前に、今日の授業、2コマを終えた。Zoomでのオンライン授業。(書き始めのタイミング。)

1時限目は、大学院の授業。基本英語で、ただ、日本語が母国語でない学生は二人だけで、彼らも日本語を理解しているために、ポイントとなる部分は英語で説明した後で、同じ内容を日本語でも説明した。

途中、留学生が「挙手」アイコンを表示させた。「手が挙がった。」感じ。
これかな?noteで無事表示できるかな?✋

"What?" と聞いたら、"Cannot see the screen what you explain."みたいなことを言っていたので、ふとみたら、一つ前の話題で説明に使った画面を「画面共有」したまま、切り替えずに話し続けていたために、話題となる教材資料が全く画面に表示されていないままだった。

"Sorry, sorry... Thank you for pointing out..."みたいな感じで、すぐに画面を切り替えて続けた。

2時限目は、1年生のプログラミングの授業。
(こう書いてしまうと、せっかく匿名でnoteを書いているのに、私が誰か、かなり特定する材料になってしまうような... まぁ、いいかな...)

一通り時間いっぱい授業を行った後で、最後に2分残して「これで、今日の授業の説明は全部ですが、何か質問とか、あそこの説明がわからなかった、とか、ありますか?チャットで、個人宛に書き込んでくれてもいいです。」と伝えると、
「今日の授業教材が、pdfでなかったので開けません。」という個人モードのチャット書き込みがあった。

え?え?え?改めて見ると、授業教材が、pdfではなくて、元の原稿、mdのファイルがアップロードされていた。
md(MarkDown記法)は、プログラマには多少馴染みがあると思うけれど、自分で書く機会はあまりないかも知れない。一般の方の場合には、ほとんど接する機会がないと思う。これが、MicrosoftのWORDのdocxとか、Excelのxlsx, あるいは、PowerPointのpptxなどのファイル様式だったなら、まだ学生も開けただろうと思うけれど、さすがに、mdを開ける環境を持っている学生はいなかったみたいだ。

これは、完全に私のうっかりミス。授業で開く時に、私のローカルの講義用のフォルダではなくて、ネットの授業環境のリンクからブラウザで開いて授業していたならば、このミスは自分で気付けたに違いない。(次からは、その手順で徹底しようと思った。)本当に、粗忽で申し訳ない。そう言いながら、慌ててpdfをアップロードしなおした。

ただ、ふと思った。「力技で、mdを開けるエディタをダウンロードして、開いたっていう人、いる?いたら手を挙げてくれる?」と聞いたら、いた!嬉しい!5人くらい手が挙がった。
やっぱり、情報系で、プログラミングを覚えようっていう学生には、そのくらいの逞しさが欲しい。自力でガシガシと問題を解決していく、この数名の学生は、そういうタイプの人たちだとも言えるのかな?なんてこともふと思った。(自分のミスは棚に上げて・・・)

大学の1年生。ヒヨコが親鳥に餌をねだるように、口を開けてピーピーと鳴いて、親鳥はせっせとヒヨコに餌を運ぶ。無論、そうした授業が展開できるように、こちらもかなり細かく準備をして、課題提出の都度フィードバックをかけるように心がけている。(これ、年によって仕事の都合で、できる時とできない時とのギャップが激しくて、学生には申し訳ないのだけれど。)特に、大学でもFD(Faculty Development)みたいな「先生の教え方は、きちんとしてますか?」的な流れがあるから、口を開けて待ってるヒヨコを相手に授業展開するのが基本形、なのかも知れない。

ただ、仕事を請け負って、様々な現場に納入するプログラムを書くことも、メインの仕事の一つとしている私にしてみれば、こうした「トラブル」に直面しても、びくともせずに解決策を見出して(今だったら、「md 開く」と検索すると、ザクザクと検索結果が出てくるし)平然と対応できる人材が、何よりも欲しい。やはり、「口を開けてピーピー騒げば、色々と教えてくれるのが学校」っていうのが、日本のスタンダードなのかな、なんて思うと、ちょっと心細い気がした。
実際、お客様(顧客)の業界では常識となっている内容は、いちいちシステムエンジニアに「こういう時は、こうする」という内容を伝えずに、システムの仕様を説明してくる方々が大半で、それを知らないでいるとシステムがコケる場合もある。ほんのちょっとした違和感から、その業界での、世間と違う「常識」を探り当てて、「すみませんが、この○×はどういうことでしょうか?」と質問を投げる、そのセンスがないと、システムエンジニアの仕事は失敗が多いとも思う。(もっと早く、20代、30代で、それに気づきたかった・・・)黙っていたら、何も教えてもらえない。

なんて書いているけれども、こちらの pdf ではなく md をアップしちゃったミスは、100%私のミスなので、「再発防止策」を自分の中で徹底するしかない、その反省が大前提にあることは言うまでもない。ただ、そんなことも思った、という話題である。そして、このpdf問題がこのページのメインの話題ではない。

一番気になったのは、(特にzoomでは、共有画面の切り替えを忘れるケースが、特に話題に入り込んで話していると、私の場合にはとても多いので、)「何か気になることがあったら、すぐに、声を出してもいいし、チャットでプライベートでもいいから、指摘して下さいね。」と伝えた上で授業をやっている、それなのに、授業がほとんど一通り終わって、「何か質問がありますか?」と最後に聞いた時に、「教材がpdfじゃない」と指摘してきた、ということだろうか。

直前の大学院の授業では、共有画面の切り替えを忘れて、授業を続けて、数分も経たないうちに、留学生から「画面が切り替わっていない」と指摘を受けた。それなのに、全員が日本人の授業では、ほとんど終わってから、というのがショックだった。もしかして、「何か質問がありますか?」と聞かなければ、終わった後も、pdfではなくmdがアップロードされていたことに気づかずにいた、かも知れない。

大学院での授業経験から、海外からの留学生などが、授業中などでも遠慮なく「先生、そこはこうじゃないですか?こういうこともあるんじゃないですか?」と平気で手をあげて発言してくるのを経験して、こういう授業って、いいな、核心に入って行きやすいと実感して、日本人だけの授業でも、「私の授業では、何か気になることがあったら、いつでも手を挙げて質問とか意見を投げていいからね。」と伝えている。ただ、随分と長いこと非常勤の授業をやっていても、そうして「遠慮なく」意見を言ってくる学生は、おそらく過去数千人の学生と接点を持ったにも関わらず、十人にも満たない、もしかしたら、思い出せる範囲でも5人程度だったような気がする。
留学生での「スタンダード」が、日本人では「超例外的」な人数でしかない。

この差は、一体、どこから来るんだろうか?

大学生、あるいは専門学校生も、小学校、中学校、高校と、既に12年以上は「児童、生徒」の経験を積んでいて、その「学習成果」が体に染み込んだ後に大学に入ってくる。

おそらく、小学校などで先生が聞いてもいないのに、いきなり手を挙げたりしたら、「誰それちゃん、いいかい、今先生が話をしているんだから、最後まで聞きなさい」などと、たしなめられたりするんだろうな、と思う。
この間ラジオで聞いていた番組では、高校での校則の話が出ていた。「髪の毛を染めてはいけません。」という校則で、地毛の色が薄かったり、地毛に天然パーマがかかっている学生は、「これは地毛です」という「地毛証明書」を持ち歩かなければならない、とか、それが鬱陶しい生徒は、逆に黒く染めて、ストレートパーマをかけなければならない、とか、そうした校則のある学校が話題になっていた。まさかね・・・と思いつつ、「多様性」ってなんなのさ、看板だけ?と思った。

文部科学省の「指針」では、その「指針」を踏み外した「学習指導」は、もしかしたら「摘発」までされるのかな?先生方による独自裁量というのは、私立は別にして、国公立などではかなり絞り込まれるのかも知れない。
わからん。突っ込みたくもない。

どこに原因があるのか、調べたいとも思わないけれども(今、本業はシステムエンジニアなので・・・)、結果において、今日も改めて感じたのは、やっぱり日本人の学生には、
● 学習とは、かなり学年が上に上がっても、ヒヨコが、口を開けてピーピー騒ぐような感じ
● 何かおかしいと思っても、すぐに挙手したり、授業のような「公式」の場で、自分から意見を言う学生は、滅多にいない
ということがあるような気がする。

特に、後者は、不文律ともいうべき「掟」のようなものを社会から課せられてしまって、普通に自分の意見を言えば、「わがまま」だとか「問題行動」だとかとして扱われることも多いような気がする。学校という社会では、そこから「いじめ」につながったり、場合によっては、先生が「いじめ」の口実を作ったり、してしまうのかも知れない。

これは、学生ばかりじゃない。ネットでの匿名での悪口が多い、などは、公の場で実名で意見を述べる、ことができないことの裏返しで、「公の場で実名で意見を述べている人」人に対しては、匿名の人たちからのバッシングが半端ない、そうした現象にもつながっている気がする。
「常識ある大人」たちも、個人の意見を述べることなどは「控えるべきだ」と考えている人が多いかも知れない。

表面的には、私が授業でミスをした、だけの話だけれど、案外、起きていたことについては、根深い問題の根があるような気もした。

確かに、実名で書いてもいい話題なんだけれども、システムエンジニアの側の仕事で、「お客様」に「余計なことをしている」と思われたくないので、匿名の場で書きました。匿名にしている理由は、それだけです。

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