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人生は、長い目で、今この時を生きること。

2021/5/31 読書記録no.37「日日是好日 
ーお茶が教えてくれた15の幸せー」森下典子

昨日、映画版をまとめたので、
今日は、小説版を書いていきたいと思います。
やはり2時間にまとめた映画よりも、小説の方が内容が濃く、
刺さる言葉が沢山ありました。
私たちが日本人として生きるために、
何か大切なことを教えてくれるような、そんな本でした。

昨日、この作品の素晴らしさは十分に語ったと思っているので、
今回は、刺さる言葉を中心にまとめていきます。

ぜひ、お時間のある方はじっくり読んで欲しいな。


グサグサと刺さる、言葉。(めちゃくちゃ沢山あります)

P5 世の中には「すぐ分かるもの」と「すぐには分からないもの」の
2種類がある。すぐ分かるものは、一度通り過ぎればそれでいい。
けれど、すぐには分からないものは、何度か行ったり来たりするうちに、
後になって少しずつじわじわと分かりだし、「別もの」に変わっていく
そして、分かるたびに、自分が見ていたのは、
全体の中のほんの断片に過ぎなかったことに気づく。
P8 人は時間の流れの中で目を開き、
自分の成長を折々に発見していくのだ。だけど、余分なものを削ぎ落とし、「自分では見えない自分の成長」を実感させてくれるのが「お茶」だ。
最初は自分が何をしているのかさっぱり訳がわからなかった。
ある日を境に突然、視野が広がるところが、人生と重なるのだ。
P48 ものを習うということは、
相手の前に何も知らない「ゼロ」の自分を開くことなのだ。
それなのに、私はなんて邪魔なものを持ってここにいるのだろう。
つまらないプライドなど、邪魔なお荷物でしかない。荷物を捨て、
空っぽになることだ。空っぽにならなければ、何も入ってこない。
P59 一つ一つの小さな仕事を正確に繰り返すことで、沢山の点を持つ。「点」と「点」が一杯より集まって段々「線」になる
私たちのお点前は、ところどころに「線」ができ始めていった。
P70 決して、立ち止まらせてくれなかった。
過ぎた過去にしがみつくことは、許されなかった。
「さあ、気持ちを切り替えるのよ。今目の前にあることをしなさい。
”いま”に気持ちを集中するの
P134 遠い昔に嗅いだ、風や水、雨の匂いが、
その時の感情と1つになって、ふっと立ち現れ、煙のように消えていく。
過去の沢山の自分が、今の自分の中で一緒に生きている気がした
P148 掛け軸は、今の季節を表現する。
けれど、季節は春夏秋冬だけではなかった。人生にも季節があるのだった。
P156 「節分」「立春」「雨水」と指折り数えて、自分自身を励まし、
何度も冬への揺り戻しに試されながら、辛抱強く、
人生のある季節を乗り越えようとした
ことだろう。
だから、茶人はお節句や季節の行事を一つ一つ大事に祝うのかもしれない。季節とは、そういうものなのだ。
P181 様々なことが、ストンと腑に落ちた。
全てのことに理由があり、何一つ無駄はなかった
P185 「やめる」「やめない」なんてどうでもいいのだ。
それは「イエス」か「ノー」か、とは違う。
ただ、「やめるまでやめないでいる」それでいいのだ。
背負っていた荷物を私は放り出した。ふっと、肩の力が抜けて、
身軽になった。私は身体一つでそこに座っていた。
P195 人生に起こる出来事は、いつでも突然だった。昔も今も。
もしも、前もって分かっていたとしても、人は本当に、そうなるまで、
何も心の準備なんかできないのだ。
結局は、初めての感情に触れて狼狽え、悲しむことしかできない。
そして、そうなって初めて自分が失ったものは何だったのかに気づくのだ。でも一体、他のどんな生き方ができるだろう。
いつだって、本当にそうなるまで、心の準備なんかできず、
そして後は時間をかけて少しずつ、
その悲しみに慣れていくしかない人間に…だからこそ、私は強く強く思う。
P196 会いたいと思ったら、会わなければならない。
好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら祝おう。恋をしたら溺れよう。嬉しかったら分かち合おう。
幸せな時は、その幸せを抱きしめて、100パーセント噛みしめる。
それが多分、人間にできる、あらん限りのことなのだ。
だから、大事な人に会えたら、共に食べ、共に生き、団欒を噛みしめる。
一期一会とは、そういうことなんだ。
P201 世の中は、前向きで明るいことばかりに価値を置く。
けれど、そもそも反対のことがなければ、「明るさ」も存在しない。
どちらも存在して初めて、奥行きが生まれるのだ。
どちらがよく、どちらが悪いというわけではなく、それぞれが良い。
人間には、その両方が必要なのだ。
P216 「雨の日は、雨を聴きなさい。心も体も、ここにいなさい。
あなたの五感を使って、今を一心に味わいなさい。
そうすれば分かるはずだ。自由になる道は、いつでも、今、ここにある
P217 私たちはいつでも、過去を悔やんだり、
まだ来てもない未来を思い悩んでいる。
どんなに悩んだところで所詮、過ぎ去ってしまった日々へ駆け戻ることも、未来に先回りして準備することも決してできないのに。
過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない。
道は一つしかない。今を味わうことだ。
過去も未来もなく、ただこの一瞬に没頭できた時、
人間は、自分が遮るもののない自由の中で生きていることに気づく
のだ。
P219 「目を覚ましなさい。人間はどんな日だって楽しむことができる。
そして、人間はそのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている
。あなたが今、そのことに気づいたようにね」
P225 お茶は、季節のサイクルに沿った日本人の暮らしの美学と哲学を、
自分の体に経験させながら知ることだった。
本当に知るには、時間がかかる。
けれど「あ、そっか!」と分かった瞬間、それは私の血や肉になった
P230 この世には、学校で習ったのとは全く別の「勉強」がある。
それは、教えられた答えを出すことでも、優劣を競争することでもなく、
自分で一つ一つ気づきながら、答えを掴み取ることだ。
自分の方法で、あるがままの自分の成長の道を作ることだ。気づくこと。
一生涯、自分の成長に気づき、続けること。
「学び」とはそうやって、自分を育てること
なのだ。
P237 いろんなことがあるけれど、気長に生きていきなさい。
じっくり自分を作っていきなさい。
人生は、長い目で、今この時を生きることだよ


まとめ。

いやー、多かった。長すぎた。
名言がありすぎて、タイピングする手が痛くなりました。笑

この作品の素晴らしさを要約して、
なるべく簡潔に言葉にできたらいいのにな、と思うのですが、
1つ1つの言葉に重みがありすぎて、
その言葉の塊を壊してしまうのは何か違う気がして、
だから、小説の中に書かれていた言葉を一言一句まとめさせて頂きました。

「お茶」を通して、自分の長い人生を見つめ続ける典子、
その等身大の姿は、今の自分と重なることも多くて、
読んでいて、うわ…、と心臓がギュッと掴まれるような、
そんな感覚に、何度も陥りました。

過去とか未来に、どうしても固着してしまうことがあります。
もしあの時こうしていれば、
なんて「タラレバ」を考えることなんて日常茶飯事。笑
また、未来のことを考えて、逆算して、こうしておこう、なんて、
そんな風に考えるのも癖のようになっていて、
私はこれを善と考えていたのですが、違ったようですね。

完全に考えない!ことは、多分到底無理なので、
どうなるかも分からない未来のことを考える時間よりも、
「今」を考える時間を増やしていこうと思いました。

上の言葉を読んで、皆さんがどういう解釈をするのか分かりませんが、
今の日常に対して何かヒントになるものがあれば、嬉しいです。

もっと気になる方がいらっしゃったら、
ぜひ小説を手にとって、読んでみてください。
この作品は、多分、私、ずっと持ち続けると思います。
そのくらい大切な本になりました。


おりょう☺︎

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