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緊急特別企画:『CONTINUE』リニューアルの真相とは?

――(『CONTINUE』Vol.81の5ページを見て)思いっきりオフコース的な「ひまわり」の写真を使ってるじゃないですか? 直前のニュースでも「リニューアルします」とか書いてますけど、それって、まさか……。

 いや、休刊はしないですよ。“CONTINUE”だけに。雑誌廃刊あるあるで、編集後記で「また会いましょう!」って書いて永遠に次号が出ないとか、そんなことはないです。次号は1ヶ月だけお休みして、4月には出す予定ですから。ただ、まあ、いろいろと見直そうかなあ、とは思ってるんですよ。ぶっちゃけ、飽きたんで。

――飽きちゃったんですか!?

 いや、ウソですけど(笑)。飽きてはないです。飽きてはないんだけど……なんていうか、さすがに同じ人間がワントップで80冊以上、同じ雑誌を作り続けるのって限界がありますよ。しかも20年以上……(ここで唐突に)僕、昔、下北の「SLITS」で女の子に「ピチカート(・ファイブ)の小西(康陽)さんに似てますね」って言われたことあるんですよ。

――心底どうでもいい話ですね(苦笑)。

 ピチカートって『CONTINUE』が創刊した2001年に解散してるんですけど、最後に発表した「東京の合唱」ってシングルのPVを久しぶりに観て、ムチャクチャ感動したんです。「そうか! やっぱり俺は小西さんに似てたんだ!」って。

――あははは、意味わかんない(笑)。

 「東京の合唱」にはゲストボーカルとして松崎しげるさんとYOU THE ROCK★さんが参加してるんです。それで野宮真貴さんと3人で、浅草の雷門から仲見世通りを歩いて、最後は屋形船で乾杯。途中、人力車に乗ったYOUさんがラップしてるのとか、もう最高なんですよ。

――林さんは、それを観て感動したんですか?

 2001年って渋谷系の時代も完全に終わって、サブカル的には、ある種のドン詰まりの時代なんです。そこでピチカートは解散して、『CONTINUE』は創刊した。そんなとき発表された「東京の合唱」は、明らかに「死」をテーマにしてる曲なんです。緩やかだけど確実な「死」に向かっている僕たちに対して「どうする?」ってことを歌ってる。その結論は「それは誰にもわからない」。

東京の屋根の下 どこかで流れる いかした sweet soul music
口笛吹いて歩いて行こう 何にもなくて構わないよ
君といる限り 世界でいちばん 東京っていい街かも

今はふたりは幸せ だけどこれからどうする
明日のことはわからない それは誰にもわからない
だからきょうがとても大事 恋をしようよ

東京の屋根の下 誰かが歌う いかした sweet soul music
東京の空の下 ふたりは出会って そして年をとって
愛しあってそしてふたり おじいさんとおばあさんに

誰だっていつかは死ぬけど もしもふたりが死んだら
天国にいけるかな それは誰にもわからない
だからきょうを楽しまなきゃ 恋をしようよ

誰だっていつかは死ぬけど なんにも怖くはないけど
天国にいけるかな ときどき嘘はついたけど
悪いことはしてないし きみにいった嘘なら
いつだってすぐにバレてたよね
天国にいけるかな 幸せに死ねるかな
そいつは誰にもわからない 本当に誰にもわからない
だからきょうも だからきょうも 恋をしようよ

(PIZZICATO FIVE 「東京の合唱」より)

――身も蓋もない歌詞ですね。

 でも、むしろ誠実だな、と思って。だから「東京の合唱」って「サブカルの鎮魂歌」として完璧なんです。その境地に至ってしまったら、もう、小西さんは“ファイブ”ではいられない。だからピチカートを解散させて、いまは「ピチカート・ワン」を名乗ってるんですよね。

 それと同じように『CONTINUE』も、僕ひとりになろうかな、と思って。

――ひとり編集部になっちゃうんですか!?

 はい。次号からは特集も連載も、全部、僕と外部スタッフで作る雑誌にしようと思ってます。だから、僕の手に負えない企画はやらない。そうなると、ひとりで年間6冊も作れないですから、刊行ペースを落とそうかなって。まあ、そういうことですね。

――単純に、雑誌って、ひとりで作れるんですか?

 作れますよ。このインタビューだって、僕が独りで書いてるんだから(笑)。いや、もっともっと面白い雑誌になる気はしますよ。じゃないと、リニューアルする意味がないですからね。期待しててください。

(『CONTINUE』Vol.81より/取材・文=編集長・林)

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