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【方程式】 〈7〉 ベクトル方程式

 数学では、2次方程式、円の方程式、ベクトル方程式など、様々な「方程式」が登場しますよね。どう違うのでしょうか? 同じなのでしょうか? 実は、意味合いの違う3種類が混在しているのです!
 前半は、初歩とも言える「1⃣ 解く方程式」について解説しました。中盤は、高校数学でも難解な、でも、よく出題される「2⃣ 図形を表す方程式」の分野について、きちんと整理・解説していきますので、「そうだったのか!」「Methodを理解!」という領域まで到達していきましょう。


「方程式」は3種類

高校数学で学習する方程式は、大きく分けて次の3種類です。
 1⃣ 未知数を求める=解く(2次方程式、3次方程式など)
 2⃣ 図形を表す(直線の方程式、円の方程式、ベクトル方程式など)
 3⃣ 関数を求める(積分を含んだ式、微分方程式など)「直線」は3種類


[Method] ベクトルで表された図形

 「ベクトル方程式」って、ほぼ捨て問にされてしまう悲しい問題です!
ベクトルでさえ、すでに難しいので、さらに方程式となる、、、しかも、ベクトル分野の最後に学習することが多いので、、、、

  まず、 基本的に「ベクトル方程式」は図形を表しているのですから、表す図形をターゲットとして覚えていきましょう。


(ⅰ) 円を表すベクトル方程式

円のベクトル方程式

 円上の点をP(x、y)とします。 中心A(a、b)、半径 r の円の方程式は、
  AP=r
が成り立ちますよね。距離の公式から、

これより、以下のように変形されて「円の方程式」が導かれます。

円の方程式

距離の公式ではなくて、ベクトルを用いると、

円のベクトル方程式

円上の点:P(x、y)=位置ベクトルp→=円上を動く点(動点)
中心:A(a、b)=位置ベクトルa→
と考えます。

 ですから、絶対値が含まれていて苦手っぽいですが、この形を見たら、Aが中心の円に見えてほしいのです。
 さらには、ベクトルで表された式を変形したり、条件をベクトルで表現したりして、この形を導いて円を表すことができるようになれば上級です!

[Method] 位置ベクトルは“座標”と考えよう

 位置ベクトル=“座標“
  
・位置ベクトルp→=円上を動く点
  ・位置ベクトルa→=中心を表す点


(ⅱ) 平行な直線を表すベクトル方程式

平行な直線を表すベクトル方程式

 傾きと通る点が分かれば、直線の方程式が導かれます。
 p→が動く点(位置ベクトル)
 a→が通る点(位置ベクトル)
 d→が方向ベクトル
 tは媒介変数=いろいろな値(すべての実数)
位置ベクトル、長さのある普通のベクトル、媒介変数が混在する複雑な式です。

このとき、
 p→、a→が位置ベクトル(座標と考えてよい)
 d→が長さのある普通のベクトル
です。ベクトルの見た目は同じですが、意味合いが全く違うので、区別できるようにしていきましょう。ややこしいよね。
このあたりは、もちろん、間違った記述ではないのですが、混同して当然です。見た目が同じで意味合いが違う文字式が同じ方程式上にあるのですから。
(私は、「数学表記上のミス?」と考えています。高校数学では、いくつかあるのです!)

 媒介変数tも難しいです。tが出てきたらいろいろな値をとる数の代表だと思ってほしいのですが、これが難しいです!
 いくつか数を代入してみるのも一方かもしれません。


(ⅲ) 垂直な直線を表すベクトル方程式

垂直な直線を表すベクトル方程式

 傾きと通る点が分かれば、直線の方程式が導かれます。
 p→が動く点
 a→が通る点
 n→が法線ベクトル

このとき、
 p→、a→が位置ベクトル(座標と考えてよい)
 n→が長さのある普通のベクトル
です。これも、(ⅱ)と同様です。
 ただし、媒介変数がないので、こちらの方が覚えやすい式かもしれません。


以上は、高校数学で扱う典型的な例です。

[Method] 答えの形に慣れよう。

ベクトル方程式は、答えの形に慣れる必要があります。
以下は、図を描いて考えていけば理解できるレベルのベクトル方程式で、式の形を覚える必要はありません。「こんな形のベクトル方程式もあるんだなぁ」くらいで十分ですなので、結果を見ておいてください。


(ⅳ) 垂線のベクトル方程式

 点Aから、直線BCへの垂線のベクトル方程式は、AP⊥BCであるから、
 p→が動く点
 a→が通る点
 b→、c→が通る点
とすると、


(Ⅴ) 垂直二等分線のベクトル方程式

線分BCの垂直二等分線のベクトル方程式は、中点Mを使って、MP⊥BCとなるので、
 p→が動く点
 b→、c→が通る点
とすると、


(Ⅵ) 角の二等分線のベクトル方程式

OA→/|OA→|、OB→/|OB→|が単位ベクトルであることを用いて、


〈例題1〉円のベクトル方程式

「円のベクトル方程式」の典型的な問題です。通常の「円の方程式」が解になるので、何を求めているか、よくわかるのではないでしょうか。
 中心:a→=(a、b)  =座標と考えても問題ない
 動点:p→=(x、y)  =軌跡と考えても問題ない
 半径:AP=r
と考えて円をイメージします。

〈例題解答例1〉

(1)
(2)

 〈例題2〉方向ベクトル=傾き

平行な直線の典型的な問題です。
方向ベクトルが、d→=(1、2)ですから、
傾き=(yの増加量)/(xの増加量)=2/1=2
の直線をイメージします。
 何を求めようとしているのか、直線を描いて考えてみましょう。

〈例題解答例2〉


〈例題3〉

〈例題解答例3〉


〈例題4〉

〈例題解答例4〉


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