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アングロサクソン金融の終焉|ドルが紙屑になる

written by Genji Himuro

9月21日、FRB(米連邦準備制度理事会)は、3回連続となる0.75%の利上げを決定しました。

ジェローム・パウエル議長は、

「(食品など生活必需品や家賃の高騰で)賃金が上がってもインフレに追いついていない。低所得者層の国民にはとんでもない痛みだ。」と、

市場相場を維持する目的のためだけに継続されてきた過去の良識を逸脱した金融緩和の異常性を指摘して、早期にインフレを抑制するための金融引締め継続の考えを表明しました。

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ジェローム・パウエル(Jerome Hayden "Jay" Powell)
 1953.2.4 - 69歳 2018.2 第16代FRB議長就任 

6月、7月に続く3回連続の0.75%の利上げによって、政策金利は3%~3.25%となり14年半ぶり2008年3月の水準となり3%を超えます。早期インフレ抑制に向けて今後も利上げが継続されると思われます。

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今より200年前、19世紀初期、世界最大の国際金融閨閥であるロスチャイルド閨閥の祖、初代ロスチャイルド、アムシェル・ロスチャイルドの五人の息子の中フランクフルトの銀行本店を継いだ長男のアムシェルの他の四人は、次男サロモンがウィーン支店(1820年オーストリアへ)、三男のネイサンがロンドン支店(1804年イギリスへ)、四男カールがナポリ支店(1821年イタリアへ)、五男ジェームズがパリ支店(1817年フランスへ)を設けて、初期アングロサクソン金融システムの構築が始まりました。

彼らが躍進できたのは伝書鳩や高速船や馬車を使った独自の情報網を構築したことです。当時、誰よりも早く情報を収集共有できる金融ネットワークを構築して利益を得ました。

中でも、ロスチャイルド財閥台頭のもとになった巨利を得たのが三男ネイサン・ロスチャイルドで、1815年に始まったワーテルローの戦いを利用して巨万の富を得た有名な話はご存じの通りです。

このネイサン・ロスチャイルドがロンドンに築いたシティが現在に至るアングロサクソン金融の原型でした。

アングロサクソン型資本主義(米英型資本主義)という言葉があります。

アングロサクソン金融をマネー源泉とした形態の資本主義がアングロサクソン型資本主義で米英における資本主義の典型です。

企業は金融市場から資金を調達して資本家(株主)利益の最大化を最優先します。企業業績が悪化した場合は、企業の市場価値を維持するために積極的にリストラ(人員・従業員削減)を行い、賃金制度は自己責任を重視する成果主義のため雇用が不安定になり所得が減り貧富の格差がどんどん拡大します。

戦後、ライン型資本主義(欧州型資本主義)下、大きな政府によって経済が高度成長した日本に脅威を感じた米英は、1996年、第二次橋本政権に命じて「金融ビッグバン」のキャッチフレーズを掲げ、強制的に日本における資本主義形態をライン型からアングロサクソン型に変えました。

その結果が今の日本の惨憺たる状況です。アングロサクソン型資本主義によって米英の資本家は肥え太る一方で日本の労働者の雇用は不安定になり所得は減り実体経済は停滞し、アングロサクソン型の金融市場だけが歪に膨張し、前例のない格差社会になっています。

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現在、世界の主要先進国の金融経済はアングロサクソン金融システムによって成立しています。

主要先進国の通貨発行が、BIS(Bank for International Settlements;国際決済銀行)が総括する各国中央銀行による管理通貨制度に基づいて行われ、金融市場において、他人資本を借りて利益を最大化しようとするレバレッジが通常化したため金融経済は実体経済と大きく乖離して異常歪に膨張しました。

実体のない金融経済が膨張したために実体経済が不必要に大きくなってしまいました。米国のインフレーション、日本のインフレーション、中国のバブル崩壊などです。

200年続いたアングロサクソン金融システム、アングロサクソン型資本主義経済。その弊害が露呈されています。

既にアングロサクソン型資本主義経済は崩壊に向かっています。

ジェローム・パウエル議長の金融引締めによって、レバレッジを容認するアングロサクソン金融システムも崩壊する方向に向かっています。

もはやロスチャイルドにはFRBを支配する力が無いことを示唆するサインではないでしょうか?

FRB(米連邦準備制度理事会)が崩壊すればドルは紙屑になります。アングロサクソン金融システムの終焉です。そして、アメリカの独立です。

1913年、FRB連邦準備理事会が設立され、市中銀行で発行していた通貨は、全国に設置された連邦準備銀行で発行されることになり、アングロサクソン金融権力集団によって、アメリカ建国後三度目の経済支配が始まりました。

それから100年以上の間、アメリカはアングロサクソン国際金融権力集団に通貨発行権を奪われていました。

しかし、今、目覚めたアメリカ国民によってアメリカが独立しようとしています。


エムケイコンサルティング情報室 氷室玄司