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兵庫県委託事業リカレント教育推進事業「リカレントフォーラム~学び直しとリカレント教育 〜大学開放の新しい展開〜」

2024年3月1日、兵庫県委託事業「リカレント教育推進事業」(委託期間:令和5年4月1日~令和6年3月31日)における取組の一つとして、大学コンソーシアムひょうご神戸のネットワークを活用し、大学教職員や企業担当者等にリカレント教育に関する理解や取り組みの促推を目的とした「リカレントフォーラム」を行いました。近年、リカレント教育の提唱が進む中、新たな大学開放案の一つとしての「リカレント教育」のあり方について、大学の現状からの課題の整理と今後の展望を探る機会を設けました。オンラインでの本フォーラムには、大学コンソーシアムひょうご神戸加盟校をはじめ、全国各地から37校49名の大学教職員と行政・企業・団体など11社14名の計63名にご参加いただきました。リカレント教育に関心を持つ多様な大学の教職員が、本フォーラムに参加することで、自学におけるリカレント教育の展開の可能性や課題の検討・改善を行い、大学が地域社会に開かれた学び場として機能するきっかけとなることも目指しました。

意見交換会の様子(左上:田端和彦氏 中央:出相泰裕氏 右上:合田隆史氏 
左下:吉田浩司氏 右下:高森良明氏)

当日のプログラム
14:00~14:10:挨拶:兵庫県 総務部教育課 連携教育推進班長 太田稔 氏
14:10~15:00:第1部:基調講演「リカレント教育の理念と社会人の学び直しの現状と課題」
講師:大阪教育大学 教育学部 教育協働学科 教授 出相泰裕先生

15:00~16:30:第2部「意見交換会」
話題提供①「基調講演を受けてー政策と学びの現場からー」
講師:関西国際大学 客員教授 合田隆史氏
話題提供②「兵庫大学エクステンション・カレッジ リカレント(生涯学習)事業について」
講師:兵庫大学 エクステンション・カレッジ事務次長    吉田浩司氏
パネリスト:神戸商工会議所  会員事業部人材開発チーム長 高森良明氏
ファシリテーター:兵庫大学 副学長            田端和彦氏

■第1部「基調講演」
まず、フォーラムは、「リカレント教育の理念と社会人の学び直しの現状と課題」と題して、大阪教育大学 教育学部 教育協働学科 教授 出相泰裕先生の基調講演からスタート。大学の社会貢献は改正教育基本法において、大学の機能の一つとして位置付けられていることから、これ踏まえたうえで、「大学開放」という新たな観点としてのリカレント教育の可能性と現状についてのお話いただきました。現在は、政策の影響や産業界の要請もあり、リカレント教育が推進されています。そのため、今回の内容は今後の大学教育の可能性について考えるよい機会となりました。
 
■第2部「意見交換会」
1部の基調講演者・出相泰裕先生を交えて、話題提供者として、政策と大学運営の観点から、合田隆史先生、大学のリカレント(生涯学習)の現状に関して吉田浩司氏より、話題が提供されました。経済団体からは、神戸商工会議所・高森良明氏を迎えて産官学連携で取り組むリカレント教育のニーズやあり方について率直に意見を交わしました。大学におけるリカレント教育の展開の可能性や課題の検討・改善を認識する機会となりました。リカレント教育におけるマネージメントについての議論が不十分である点や、「社会が変わらないと教育も変わらない」といった観点が示唆されたことから、リカレント教育の対象(受益者)を受講生や活用する企業だけではなく、「社会全体」を受益者とみなす視点の重要性についても指摘されました。

参加者の感想と考察
参加者からは、「自学においてのミッションとは何か、大学開放とは何なのかの位置づけが重要であるということに、ハッとする思いでした。」「今まで考えていなかった視点での話が聴けた。」と、リカレント教育を自学の課題として認識いただくという、会の目的が達成されました。大学におけるリカレント教育普及は、促進に向けて多くの大学が課題と模索を続けているのが現状です。今回はそこに、各大学が長年にわたって実績を積み重ねてきた生涯学習についても取り上げることによって、これからの大学教育・リカレント教育の在り方を具体的に整理し、考える機会の提供を実現しました。

(以下、参加者アンケート抜粋)
1.フォーラム全体について
■産学官の関係者から理論的なものから現場の動きなど現状を知ることができた。
■本学もリカレント・公開鋼材を実施しており、様々な課題がある中で他大学様の意見を聞くことができた。
■日本でリカレント教育が進まない理由について理解できた。

2.基調講演について
■本学では、お話にあったような本当の意味でのリカレント教育(社会人の学び直し)には取り組めていない。
■リカレント教育における大学の役割について、よく理解ができました。
3.意見交換会について
■企業サイドの実際が知れた。現状はよく理解できるが、それを打開しようとする視点からの話が欲しかった。
■意見交換会において、付け加えられる情報やコメントが的確であった。
4.今後のテーマ・期待すること。
■大学開放の経営論を、戦略レベル・個別実践レベル全体がわかるようにして構築していくのが良いかと思います。
■学外向けの公開講座等を含むリカレント教育に対する教員のモチベーション向上、積極的に取り組める仕掛けづくり。
■キャリアアップ等を目的とした実用的なリカレント教育の事例を多く紹介してほしい。
■企業の人材流動性・質の高い博士人材の育成に関連するテーマ。

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