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2022年12月の記事一覧

いかさん『ボクらの最終定理』 大人への懐疑心や対抗心をこじらせた少年少女が、自分たちの「定理」によって「この世界の余白」を埋める決意を表明する。 一方「自爆」「狂ってしまいそう」等の表現に、大人になっていく恐怖、焦燥、諦念も滲む。 思春期の危うさが存分に表現されている。

ichica feat. IA『ゴーストロケット』 「平行線 向こう側で花が咲いていたって知らずに夏が終わる」の詞に、パラレルワールドを想起させられる。「向こう側」はありえた別の未来か。こちら側では花が咲かずに(これも想像を掻き立てる美しい比喩だ)夏が終わってしまったのだろう。

Rin音『Blue Diary』 「歩く野良猫の歌」「窓際の花と焼けた肌」など想像力を掻き立てるモチーフが時折、スケッチのように単語だけで出てくる。 「僕」は「あなた」の前で泣いているようだが、澄んだサウンドや落ち着いた歌唱も相まって神聖な場面に思える。 繊細で精巧な曲。

DECO*27 feat. 初音ミク『二息歩行』 前半では哺乳類の分化、二足歩行の開始といった進化の過程を少年の成長に仮託して描く。やがて少年は他者を求め、しかし傷つけて戸惑う。 傷つけられても動じずに「相対のチュー 」で迎え撃つ少女は、少年を完成させる最後のピースとなった。

とくP feat. 初音ミク『SPiCa』 メインテーマの天体(流れ星、神話など)とサブテーマの音楽(五線、ピアノなど)を駆使し、切実な愛を表現する。軌道、角度、歳差といった理数っぽい言葉が効いている。 曲そのものが神話のようだ。作中主体(=女神?)の祈りはピアノに託される。

40㍍P feat. 可不『社会距離』 愛を「ポイントカードに還元」したり「600Wで3分間温め直」したり、便利で合理的な現代に育った少女は孤独を募らせていく。もはや無償の愛は存在しないのか? 現代に適応している(と思い込んでいる)彼女だが、不意に孤独が溢れてくる。共感必至。

あたらよ『交差点』 「あの交差点で吐いた文字が今も横断歩道に散らばってる」 「見えない靴を履いて(略)君は高く空を飛んだ」 といった超自然的な描写が妙なリアリティをもつ。 「閃光して」という造語も違和感がない。 「君」を失う痛みが鋭く伝わってくる。 澄み切った、透き通った曲。

綾瀬はるか『マーガレット』 穏やかな実景描写(江ノ電、海、雲など)に紛れて「触れ合った指から(略)花が咲き乱れて」「無重力で墜ちる星」といった不思議な記述が出てくる。 恋愛の(or 花の)可憐な面を主に描きつつも、恋愛の(or 花の)危うさ・強さ・耽美性などを織り込んでいる。

sasakure.UK feat. 初音ミク, KAITO『ÅMARA(大未来電脳)』 人類滅亡後の文明を舞台にした曲で、内容は人間に理解できないためサビの歌詞は聞き取れない。 人間が感受できないものを表現する挑戦作。三次元空間に住みながら四次元空間を想像するようなものか。

ヨルシカ『ノーチラス』 夜が明けず空が晴れないうちは「靴を捨てた」ことも忘れて引きこもっている作中主体。 「丘の前には君がいて…」からの美しい描写は記憶か妄想か分からないが、今の現実でないことは確かだ。 最後は、ついに「君」を忘れることで作中主体は救済されるらしい。

BUMP OF CHICKEN『ray』 形のない、証明できない記憶に希望を求めることを「透明な彗星」を探すという比喩で表現する。夜空の暗さと先の見えない人生を重ねつつも前を向く。 時間が経って別れを受け入れつつも、相手が自分の人生に重大な影響を与えたことを示唆している。

こんにちは谷田さん feat. 初音ミク『波に名前をつけること、僕らの呼吸に終わりがあること。』 「他愛ない嘘が染みた積み木」「生まれては消えていくだけの青白い波」など、比喩に具体性と信念がある。 高度に抽象化された言葉の世界で、ナイーブな青年の内面を描写する。配色も巧みだ。