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2021年上期 好きなアルバム

上半期のお気に入りをまとめておこうと思う。順位には特に拘りは無いが、付けといた方が後々色々思い出せるため。


10位 Crumb - Ice Melt

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謎、薄気味悪さ、神秘性。情報が全てネット上に開陳される現代においては、それらはなかなか身に付くものではない。それをこのバンドは持っている。Portisheadのインディロック版のような存在になっていくのかもしれない。その佇まいが好きだが、やや曲が弱いのと、フワフワしたミックスが好みではないためこの順位。


9位 Japanese Breakfast - Jubilee

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「理想的なインディポップ」というイメージに自ら収まるようなスケールの小ささがあるが、それが良い方向に作用している。良い意味でオタサーの姫のような存在感。10年代のUSインディブームが好きだった人にはたまらない作品だろう。究極の佳作。


8位 Steven Wilson - The Future Bites

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アルバムトータルアート性に凝りすぎたあまり、勢いやエネルギーが削がれ、こじんまりとした作品になってしまった気がする。ただ、シンセポップ/ダークウェイヴ/ファンクなサウンドは大好き。もう少しラフで大仰な作品だったらもっと気に入っていたかもしれない。


7位 Alfa Mist - Bring Backs

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完璧な完成度だった前作とは違い、自由なヴァイヴに満ちた傑作。やや粗さや実験性が強く出ているため取っ付きにくさはあるけど、それこそが彼の真髄でもあるような気がする。シトシト降る雨の心地良さ。


6位 Wolf Alice - Blue Weekend

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何らかのキャッチーなフレーズやアピールポイントが無いとバズらない現代において、これほど曖昧で漠然とした音にも関わらず、王道のオーラと気概を纏わせているところが好きだ。ラベリングを必要としない無地のバンドが一番強いのである。今年のUKロック作品としてNo.1の出来。


5位 Pino Palladino & Blake Mills - Notes With Attachments

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ジャンルを抜きにして、単純な音の面白さを味わえる贅沢な一枚。Pinoの抽象的で複雑なベースプレイ、Blakeの奇天烈で繊細なギタープレイ、Samの前衛的で再現不可能のサックス。そして音の鳴り(ミックス)の面白さは、既存ジャンルでは語り得ない。これだけ感情移入の隙も無いプロフェッショナルの音楽を聴くとやっぱり圧倒される。


4位 Daniel Aged - You Are Protected By Silent Love

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ネオ・バレアリックでリゾーティなアンビエント。でもどこか寂しげ。心象風景の見事な具現化。この人に期待する音の半分が完璧な形で現れた。ただし趣味性が強いので、Inc. No Worldの新作には全方位に圧倒的なものを期待したい。


3位 Iceage - Seek Shelter

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スラッカーコミュニティの美しさ、気高さ、火花を感じる。イメージと実存が完璧に調和した見事なロックアルバム。ロックアルバムとしては今年これ以上のものは出ないと思う。あと思ってるのは、これはどう聴いてもポストパンクではない。


2位 Floating Points, Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra - Promises

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うまく良さを表現できないためレビューしていないが、とにかくお気に入り。彼のサウンド構築の妙が今回ファラオのプレイすら完全に食っている方に驚かされる。いくらファラオが雄弁なソロを聴かせようとも、その後の静寂の方が強く脳を揺さぶるのは何故だろう。ここ数年に聴いた作品の中でも最も静寂の攻撃性を感じた一枚。


1位 Puma Blue - In Praise Of Shadows

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私の中ではこれは揺るぎない一位。聴いていてこれほど胸を締め付けられる別世界に連れて行ってくれるアルバムは他に無い。それゆえ聴く前には覚悟が要る。ここ5年に聴いたアルバムの中でも3本の指に入る。


所感

何回も聴きたいと思わせるアルバムが例年より少なく、実際に全曲覚えられるほど聴いたのは20枚くらい。私にとって凶作の年なのか、それとも飽食を強要するSpotifyの罠にまんまと陥っているのか。

それでも1位と2位は私の中でクラシックアルバムと言える素晴らしい作品であった。下期もそんなアルバムに一枚でもいいから出会いたい。さしあたりJohn Mayerの80'sな新作と、Deafheavenのクリーンな新作が楽しみ。あとSam GendelSam Wilkesのコラボ作(7/21)にDaniel Agedが参加してるのも楽しみ。




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