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Rhye - Home (2021)

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総評 : 7/10


東京では今日、雪予報もあったが、結局雪ではなく雨が降っている。Rhyeの新作『Home』を聴くなら、雪の方が雰囲気が出たかもしれない。窓外の雪を眺めながら、暖かい部屋で春を待つ。そこに流れる本作。そんなイメージが湧く。

これまで以上に、生ドラム、弦楽器、ピアノ、アナログシンセ、それらによる有機的なサウンドの構築にこだわったようだ。"Safeword"で聴けるアコースティックギターとフルートの華やかな絡み合いは、その最大の成果ではないか。

またそれらの要素を用いた、多彩なジャンルの結合もテーマであったそう。その姿勢自体は、インディR&Bにネオアコやクラシックの要素を取り入れた1st『Woman』の頃から変わっていないように思えるが、嫌味のないストリングス、精密なアナログシンセ、そして80年代プログレアートポップのようなギタープレイが見事に混ざり合う"Hold You Down"を聴くと、その洗練がこれ以上無い高みに達していることを感じさせてくれる。

そんな本作から受けるのは、ポジティブで、リラックスしたイメージ。迫力、緊張といった言葉でも形容できそうな前作『Blood』のモードも良かったが、本作からはまた違った魅力を感じる。

方向性としては昨年のHonneの佳作『No Song Without You』に近いものがあると感じる。もしくは、Roxy Music『Flesh And Blood』の思慮深い華やかさ、The Blue Nile『Peace At Last』の宗教的な静けさとオーガニックなサウンド、それらの中間に位置すると言えるかもしれない。

驚きや突き抜けた良さは無いが、タイトル通り家の中でゆったり聴けるアルバムとして愛聴盤になりそうだ。


お気に入り
02 Come In Closer
04 Safeword
07 Helpless

Bandcampは1411kbps, 44.1khz, 16bitで、非ハイレゾ。

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