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最近聴いているアルバム2021.07

Blur - Think Tank (2003)

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残された者が奮起して最高傑作を生むことはロック界において少ないことではない。本作もまたその一つである。Graham CoxonがBlurの魅力の半分を占めていたのは否定できない。それにも関わらず本作が最高傑作になっている理由は、Damon Albarnのリリシズムが過去最も花開いたからに他ならない。"Good Song", "Sweet Song"のあまりに美しいメロディをはじめ、彼のソングライティングが極致を超えた、静かなる狂気の傑作。


Stereophonics - You Gotta Go There To Come Back (2003)

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かなり久しぶりに聴いたが、これは驚くほど良い。"You Stole My Money Honey"の圧巻のボーカル。"Nothing Precious At All"の余裕に満ちた美しい雰囲気。声・音・曲が三位一体となり、90年代のアメリカ映画のような切なく淡い雰囲気を生んでいる。激しければロックでしょ、という輩を黙らせるのに十分な、肩の力が抜けた名作。いや、本当に素晴らしい。


Nothing - Tired Of Tomorrow (2016)

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明日を迎えることに疲れた。そんな厭世的な歌だが、しかしサウンドからは不思議と青空を感じる。世界はこれほど美しいのに、俺の心は何でこんなにどうしようもなく塞ぎ込んでいるんだろう。それをひたすらブツブツ繰り返すことこそが結局はシューゲイザーという表現のコアである。このアルバムはそのコアを最短距離で鷲掴みにする。MBVSlowdiveRideの良いところを全て合わせたと暴言を吐きたいくらい、頭を抱えたくなるほどの名盤。


The Neighbourhood - The Neighbourhood (2018)

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現代人が最も恐れるのは、「批判されること」かもしれない。予防線に次ぐ予防線で雁字搦め。そんな時代に我々は生きている。このJesse Rutherfordも同じだ。そこそこ売れたせいで強烈な自意識過剰に悩む男の歌。肥大化する自我と失われていく無垢な精神。その二極間でもがく。トラップや四つ打ちの上で、虚脱した歌がヘロヘロと宙を漂う。聴いていて悲しくなってくる、現代人へのレクイエム。(ストリーミング版は18曲入りだがCD版は12曲入り。後者の方がより地味で空虚なのでおすすめ)


Kamaal Williams - The Return (2018)

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ロンドンのジャズコレクティヴの中には、熱量と圧と社会性を持ち味とするShabaka Hatchings関連のグループが存在する。個人的にはかなり暑苦しく感じるので、特に今の季節は敬遠してしまう。それらより断然、Alfa MistKamaal周辺のクールな距離感とクラブ譲りの浮遊感が好きだ。
本作はテクニックに依拠する素材集のような趣があり、楽しんで聴くことができる。肉体性に訴えるイメージは次作『Wu Hen』よりも前作『Black Focus』に近いが、シンセの音色やエフェクトに関しては『Wu Hen』の試作品のような雰囲気がある。"Catch The Loop"がおすすめ。



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