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最近聴いているアルバム2022.10


Steve Hiett 『Down On The Road By The Beach』(1983)

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AOR的なジャケットに騙されてはいけない。かなり趣味的でつかみどころのないアルバム。曲によってはブルースだし、サイケデリックだし、Frank Oceanっぽさもある。Pacific ColiseumやDaniel Agedに通ずるリゾートアンビエント感もある。いろいろな文脈で捉えられる面白いアルバム。サブスクに無いのでCDでどうぞ。
"In The Shade"


The Chameleons 『What Does Anything Mean ? Basically』(1984)

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High Visを聴いていて思い出した。昔好んで聴いていた時はもっとネオサイケで幽遠な印象があったが、今聴くとU2やエコバニにも劣らないエネルギッシュな王道ロックでびっくりした。とことん感傷的なのが何ともこの時代のUK特有。20年代のポストパンクバンドはエキセントリックさを売りにしているが、こっち方面の音、つまり壮大な歌モノを儚げに演る新バンドも聴いてみたい。


George Michael 『Faith』(1987)

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小さい頃、クリスマスに母が突然買ってきた。その時は意味不明だった(てか"I Want Your Sex"みたいな曲の入ってるアルバムを小学生に買い与える親もぶっ飛んでる)けど、今思えばあれが私の洋楽入門だったのかもしれない。

改めて聴くと、どうにかしてアメリカ市場をものにしようと腐心した跡がそこかしこに聴いて取れる。中途半端な実験性は無く、時代を存分に感じられる音が楽しい。曲もめちゃくちゃ良い。まあでも同じ『Faith』なら自分は完全にThe Cure派。お母さんごめん。


Prefab Sprout 『The Gunman & Other Stories』 (2001)

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カントリーに大接近とか言われているが、『Andromeda Heights』同様、あくまでPaddy節の極上のポップソングが揃っているので何の心配もいらない。この二作はPaddyのソングライティングが円熟を迎えたAOR的名盤だが、いつまでも『Steve McQueen』を取り上げるファンばかりで、全くスポットライトが当たらない。もったいない。サブスクには無いので中古CDで。


Bruno Major 『To Let A Good Thing Die』(2020)

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コロナ初期に家でよく聴いていた懐かしのアルバム。聴けば聴くほどUKモダンインディソウルの真髄が滲み出てくる。オーソドックスなソウルではなく、一回プロダクションの卓を通しミニマムに構成することでモダンな響きが増している。親密だがあざとさは無い。オシャレだが自己陶酔は無い。Tom Misch, Puma Blue, Jamie Isaac, Oscar Jeromeと並び、最も信頼できるソングライター。


Mansur Brown 『NAQI, Vol.1』(2022)

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2nd『Heiwa』の魅力は結局理解しきれなかった。あのアルバムは実験を途中でリリースしたものであったとすれば、本EPは実験の成果だろう。不穏なアンビエントの中で動き回るファンクなベースと打ち込み、そしてテクニカルなエレキギター。唯一無二。ハードボイルドで痺れるほどクール。


その他

Grazer, Thus Love, The Oriells, Sorry, Dry Cleaningなどを聴いていた。どれもそれなりに良いアルバムだが、インディロックの枠を飛び越えるような衝撃は無く。2018年から続いてきたインディロックの活況も、そろそろ袋小路/マンネリに入りつつある印象。




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