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Doves - The Universal Want (2020)

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総評 : 8/10


Dovesには色々な魅力があるが、その中でもキャッチーで分かりやすい面が全開に出た決定的な傑作だと思う。

思い返せば2010年の『The Places Between』には数曲の新曲が収められており、いずれもポップで疾走感のある名曲だった。当時「その路線で新作が聴きたいな〜」と思っていたところ活動休止、、、久しぶりに復活した本作で、私のその願いを全面的に叶えてくれた。

過去最もアクティブで明るいアルバムに仕上がっている。分かりやすいボーカルメロディ。軽やかなアコースティックギターをメインに、クリーントーンからディストーションまで自由に飛び回るリードギター。躍動感溢れるけど無駄な主張はしないリズム隊。お得意のSEも織り交ぜ視覚的な深みもプラス。音質もクリアで淀みが無い。ビシバシ決まる采配(プロダクション)。完璧。

何より素晴らしいのは、これだけキャッチーでロックなのに、オールドロック・オヤジロックには決して堕しないモダンさ、同時代性だと思う。「新しいロックを聴いている」という満足感と興奮が本作には確実にある。

Biffy Cly*oやThe Kille*sの新作が、(頑張ってはいるけど結局)固定ファン向けでしかない退屈な作品だった中、彼らより年上のDovesが軽やかに彼らなりの最新形のロックを提示し、シーンの最先端バンドであることを堂々と見せつけた。それが本作の最大の達成だと思う。

そうやって出来上がっているこのアルバム。全体から揺るぎない自信を感じる。半端じゃなく漲る力強さ。特に前半4曲のアップテンポな畳み掛けは圧巻。キャリアで最も興奮させられる瞬間の一つと言っても過言ではない。まさに実力派の面目躍如、非の打ち所のない名作。

1 Carousels
20年4月に死去したトニーアレンのドラムプレイを爆音サンプリング。そしてキラキラ輝くギターとシンセ。大胆かつ繊細なこの曲を聴いて、そうそうこれこそDoves!と快哉を叫んだのは私だけではないはず。

2 I Will Not Hide
清冽なアコースティックギターの調べ。あくまでオーガニックなのにこれほどHi-fiでモダンなのは、緻密な音響とサンプリングの偏執的な作業以外の何物でもない。

3 Broken Eyes
メロディや演奏に「あの時代」のエモさを感じさせる名曲。ノエルギャラガー的手法。けど決して「懐メロ」には陥らないスタジオワークが素晴らしい。

4 For Tomorrow
緊迫感のあるイントロから始まるけど歌詞は暖かい。前曲と同じく安心して聴ける曲調。

5 Cathedrals Of The Mind
サイケデリックな曲構成だけど、ハープシコードのようなアコースティックギターのアルペジオや揺らめくコーラスワーク等が無上の洗練を与える。リズムの響きや挿入される金管楽器の調べからは、最近のインディジャズの洒脱も感じる。

6 Prisoners
名曲"Andalucia"を思い出させるアコースティックロック。なんて自信に満ち溢れた力強さなんだろう。この8ビート。"Hello, old friend. It's been a while. It's me again."は明らかにファンに向けたもの。あんまりこういうことしない彼らだけに、泣ける。

7 Cycle Of Hurt
ギターをここまで弾き倒したというのも彼らの中では珍しいのでは。特別上手くはないギタープレイも、シネマティックな音像とそれによる至上の高揚の中で展開されることで曲を引っ張る名プレイに変貌していく。

8 Mother Silverlake
ツインボーカル。ギタリストは久しぶりだけどこんな声だったっけ。めちゃくちゃタイトなドラムと跳ねるベースが聴きどころ。完成されきったバンドサウンドを聴くことができる。傑作。

9 Universal Want
ピアノをこういう形でメインに据えたのは初めてでは?"Friday's Dust"や"Someday Soon"を思い出させる凍てついたサイケデリア。後半では躍動感のある四つ打ちに変わっていく。

10 Fosest House
曲名はアルバムアートワークの家のことか?アコギを軸に据えたサイケデリックな曲。

1, 5, 6, 8は特に素晴らしい曲だと思う。






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