「今ここを共有する」そんな授業の雰囲気を

本日の授業で学生が2名欠席するということで,ハイフレックス(対面の学生と遠隔の学生が共存する状態)の授業をしてみました.

遠隔授業ではカメラ動画ではなくpdfに書き込みをしていくような画面共有ですが,今日はiPadのカメラで僕自身と黒板の動画を配信.(内容は「試験範囲の確認」と「各自の試験対策」なので冒頭の20分程度しかハイフレックスの意味を成しませんでしたけれども)

演習プリントを解く動画の配布にYouTubeを用い始めたタイミングでもあるので,受信者側の気持ちをあらためて想像してみました.

「はい皆さんご機嫌いかが?松崎です.今日は合成速度の解説をするよ!」

などとテキパキとしたYouTuber語は「情報を効率的に送受信するための言語」だということ.communicateは意思や情報を互いに伝達し合うという意味らしいです.

com-「ともに」mun「変わる」-ate「する」
→お互いの認識を変える
→【動】やりとりする
http://gogengo.me/words/1708

Gogengo!英単語は語源で楽しく 

でも,僕は

僕は君と時間・空間を共にしたい.
物理学における先輩として君に物理的な世界の見方を伝えたい.
君からの質問は真剣に受け止めて返答する覚悟がある.
で,君は物理に興味を持ってくれますか?
興味を持てないとしても,そんな君とも「今ここ」を共有させて欲しい.

という心情を伝えたい.分かってもらいたい.

iPadの画面に演習プリントのpdfを写しながら,いつもの口調でブツクサ言いながら解答していく僕の脳内にはいつもの学生たちが居たのです.
落語等のように洗練された話芸ではなく,目の前の学生に想いを伝えるように語っていたのです.
(この辺は,昔話がどのように語られてきたのか?ということを想像し続けて見えてきた事)

「全国No.1に選ばれた授業」の動画だったとしても,それが万民にとってベストでは無い.「ここが分からない」「何でこうなるの?」を安心して伝えられるような「僕と君の関係性」を必要とする場合の方が多いのではないだろうか?

という事に気が付き,「デジタル教材の共有化」という時流に対して,あえて逆説的な主張をしないと大切なものが失われてしまう!という想いに至りました.

*市場・バザールでは「人と人との対等な関係」が前提にあって交渉が行われる.一方,スーパーでは値札が貼られて定価が存在する近代的なシステム.そんなスーパーでも,ついつい「今日は」「ありがとう」「どうも」などと人間らしい言葉を発してしまう.「お前の思いはどうでもいい.情報・モノをよこせ!」という社会でいいのかしら?

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