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真冬に「これ着とき」と言った後の出来事。

ふと思い出したことがある。

昔付き合っていた恋人と真冬に神戸でデートをしていた。

そして夜に食事の後に海が近くにあるから食後の散歩のような感じで少し歩いていた。

ついさっきまで室内で美味しい料理を食べていたし、暖房がしっかり目だったので、ほどよく俺の体はあたたまっていた。

防波堤は景色が綺麗な場所だった。

しかし海から風が吹いていた。

恋人はきちんとアウターを着て暖かい服装をしていたけど、俺は自分のアウターを脱いで彼女の肩に「これ着ときー」と言ってかけてあげた。

その時は寒さなんて大丈夫だと感じていた。

だから10分くらいはそのままの状態でいけるつもりだった。

でもね、真冬の防波堤で風が吹くとものすごく寒い。

アウター無しの俺はわずかな時間で冷えてしまった。

もう、寒い。

彼女もそれにすぐに気づいてくれて「寒そうやん。風邪引くでー。これ着とき」と逆に笑ってさっき俺が肩からかけてあげたアウターを俺に着せてくれた。

ああ、着せられる側にすぐに戻るとはポトスタイルではない。

だが、こんなことが楽しい思い出になるそうだ。

その時のことを後から彼女は「あの時は嬉しかったで。でも5分で寒がるなんておもろいなぁ」と思い出しては何度もからかわれた。

俺でもそんなことがあったのさ。

昔のことだ。

人間は色んなことを経験して成長し、2022年の5月を生きている。

では、また。

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