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大衆和牛酒場コンロ家 渋谷店

渋谷駅から
①<徒歩>…6分
②<全力疾走>…3分
③<596m まず人の多さに驚いた。迷う時間などない。そう言いたげな足取りで、皆が私を邪魔そうに避ける。著名な交差点の真ん中に立ち、今一度マップで現在置を確認する。目的地は遠い。

435m この土地のシンボルであろう、近代化された34階建ての商業ビルは壁の大半がガラス張りで、洒落た造りになっている。2ヶ月前故郷にオープンした大型ショッピングセンターを古めかしく感じ、少しだけ劣等感を感じた。

380m 坂を登り、歩道橋を渡る。同じ年頃の人とよくすれ違った。近くには大学があるらしい。自分は、彼らの目にどう映るのだろうか。夢もなく、自信もなく、しかし憧れがだけが募り、私は18年暮らした家を後にした。歩道橋の上、行き交う車を横目に、ふと母を思い出した。

292m 環境が変われば何かが劇的に変わる。そう思っていた。初めての一人暮らし。6畳のアパートに荷を下ろしたとき、強烈な高揚と期待が私を包んだ。見るものすべてが鮮やかに見えた。しかし、間もなくそれはモノクロとなり、やがて独りの不安と恐怖を覚えるようになった。帰りたい。そう、何度も思った。

151m 引き留めたのは母への「感謝」だった。炊事、掃除、洗濯。一人になって初めて知ることがあった。女手一つで私と姉の二人を育ててくれた。進学、上京、一人暮らし。私の選択を尊重し、それら全てを滞りなく叶えてくれた。それが決して容易くないことも私なりに理解していた。
私は、私を大切にしてくれた人に、恥じないような人になりたいと思った。そしてその日、私は駅前にあった無料冊子を手に取った。

98m 憧れのスターバックスを曲がる。東京に来たらいつか行こう、そう決めていた。そのいつかはまだ来ていない。少し先に大きな提灯が見えた。鼓動が、早くなる。

0m 提灯が淡く揺れ、軒先の電球はオレンジを道路に映していた。握る手に力がこもる。深く息を吸い、アルミ製の引き戸をゆっくりと開けた。
「いらっしゃいませ」
「えと…き、今日面接をお願いした齊藤です」

変わりたいと思う。
願わくば母のように、強く、優しい人になりたいと思う。
故郷から1000㎞離れたこの場所で、私は今日、初めて一歩を踏み出せたような気がした>…約10分

渋谷駅から595m


名 称:大衆和牛酒場コンロ家 渋谷店
所在地:150-0002 東京都渋谷区渋谷2-6−8 ST青山 1F
電 話: 03-6427-2718

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