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すみだオペラ第9回公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』

すみだオペラ第9回公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』に伺いました。(2022/04/23@曳舟文化センターホール)
 
『墨田区民オペラ』は16年間に渡り区民手作りの総合芸術のイベントとして数々のオペラを制作してきました。2007年に惜しまれつつその活動を終止。 その後、区民オペラの再開を望む声が内外から多く寄せられ沢山の区民の賛同と協力を得て『すみだオペラ』を設立する運びとなりました。

演奏に先立ち、すみだオペラの磯部代表、墨田区の山本区長の挨拶があり、コロナ禍により延期されてきたの公演をやっと迎えることができる万感の思いが伝わってきました。

続いて、歌手や俳優で活躍している浅山裕志さんと、オペラやミュージカル で活躍している杉山裕美さんによる、オペラの紹介がありました。

『カヴァレリア・ルスティカーナ』はイタリアの作曲、マスカーニの代表的なオペラです。この「田舎の騎士道」という意味をもつシチリアを舞台とした1幕物のオペラは1890年に作曲されました。物語は村娘のサントゥッツァが夫トゥリッドゥに対していだく愛憎を中心に展開されます。
トゥリッドゥはかつてローラの恋人でした。しかしローラは彼の兵役中に馬車屋のアルフィオと結婚します。トゥリッドゥは、ローラを忘れるためにも、村娘サントゥッツァ(サンタ)と婚約します。しかし、ローラに誘惑され逢引を重ねるようになります。そのことを知ったサンタは怒り、アルフィオに密告します。しかしアルフィオが復讐を誓う姿に触れ、後悔します。二人は決闘を申し合わせ、トゥリッドゥはアルフィオに殺され幕を閉じます。

サントゥッツァ役の小林由佳さんは劇的な表現や内面の葛藤を歌唱に乗せ、迫真的な演技で胸に迫るものがありました。ホール全体に伸びやかに歌声が広がっていく様は圧巻。復讐に燃えるアルフィオを演じた志村文彦さんの底光りするようなバリトンの声、トゥリッドゥの性格描写が歌唱に乗り移ったような田代誠さんのテノール、魅惑的なローラを演じた日向由子さんの歌唱、全体のドラマに深みを与えたルチアの加納里美さんの安定感ある歌唱など、高い芸術表現の求心力でフィナーレまで一気に進んでいきます。

 すみだオペラ管弦楽団、すみだオペラ合唱団は誠実な演奏を繰り広げ、音楽つくりの素晴らしさが伝わってくる好演でした。合唱はバランスや歌声が美しく、舞台となるシチリアの情景が目に浮かぶようで、聴き惚れました。オーケストラもコンサートマスターのリードの下、積極的に舞台表現と融合する様が見えるよう。歌手、合唱、オーケストラの素晴らしい一体感を実現したのは指揮者の珠川秀夫の手腕によるところ。

区民が中心となり、プロフェッショナルな歌手と作り上げたこのプロダクションは、音楽の素晴らしのみならず、喜びや連帯感をも感じることができる素晴らしい体験を与えてくれました!
 
▼出演
小林由佳(サントゥッツァ)
日向由子(ローラ)
加納里美(ルチア)
田代 誠(トゥリッドゥ)
志村文彦(アルフィオ)

珠川秀夫(音楽監督・指揮)
粟飯原俊文(合唱指導)
すみだオペラ管弦楽団
すみだオペラ合唱団








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