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小島芙美子 ソプラノ・リサイタル(2019/9/9)

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『小島芙美子 ソプラノ・リサイタル』に伺いました。(2019/9/9@東京文化会館 小ホール)

ソプラノ歌手の小島芙美子さんは、国立音楽大学大学院在学中に交換留学生としてウィーン国立音楽演劇大学リート・オラトリオ科で学んだあと、東京藝術大学大学院博士後期課程古楽研究領域(バロック声楽)を修了されました。第21回友愛ドイツ歌曲コンクールで第1位および文部科学大臣賞を受賞されています。今回が初めてのリサイタルになりました。

プログラムはカッチーニの「<新音楽>より 私の美しいアマリッリ」と、フレスコバルディの「そよ風が吹けば」からスタートしました。辛川太一さんによるチェンバロの調べが繊細に響き、小島さんの清潔で浸透力のある美しい歌声がホールに響きました。バッハの「カンタータ第199番<わが心は血の海を漂う>」は古楽器アンサンブルとの共演でした。オーボエが尾崎温子さん、ヴァイオリンは池田梨枝子さんと廣海史帆さん、ヴィオラが春木英恵さん、チェロは山本徹さんです。古楽器のオーボエと弦楽器による柔らかで高貴な響きに包まれて意志の強い歌声で充実した演奏でした。

前半は17世紀および18世紀始めの作品をチェンバロや古楽器にで演奏されましたが、後半は18世紀末から20世紀半ばにかけてのドイツ・リート作品が並びました。グランド・ピアノとの共演になり、前半から一転して現代的なプログラムを楽しみました。

ピアニストの梅本実さんは、東京藝術大学・大学院、ドイツ・デットモルト音楽大学を卒業され、ドイツ歌曲の共演ピアニストとして活躍しています。現在、国立音楽大学および大学院教授、副学長を務められています。

ウルマンの「ヘルダリーンの詩による歌曲」は梅本さんのクリアで美しいピアノが立ち上がり、小島さんの一層魅力を増した歌声によって深い感情を静かに表現され見事でした。シェーンベルクの「4つの歌曲 作品2」でも美しく雄弁なピアノとソプラノとの対話を楽しみました。カラフルな色彩感で情感たっぷりに歌われる楽章や、明るい喜びの表情、しっとりとした楽章など非常に魅力的な演奏でした。プログラム最後はヴォルフの「イタリア歌曲集」から6曲が演奏されました。様々な表情の楽曲が見事に描き分けられ、最後はとても晴れやかな歌声で締めました。アンコールでもたっぷりとした歌声を聴かせてくれ、詰めかけた聴衆のブラボーと大きな拍手に包まれました。

皆さんもぜひコンパスを使ってコンサートをお楽しみください!


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