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コンサートレポート

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コンパスをご利用いただいたコンサートの開催レポートです。
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記事一覧

繊細さと情熱の調和―若林里紗さんが紡ぐピアノの世界

『若林里紗ピアノリサイタル 【東京公演】』に伺いました。(2024.11.22@すみだトリフォニー 小ホール) 若林里紗さんは、兵庫県出身のピアニスト。国内外の数々のコンクールで高い評価を得ており、神戸女学院大学や京都市立芸術大学大学院で研鑽を積まれました。モーツァルテウム音楽大学での夏期国際アカデミーにてディプロマを取得し、ソロや室内楽、伴奏など幅広い演奏活動を展開しています。コンサート企画にも力を注ぎ、地域文化の発展にも貢献する多才なアーティストです。 プログラムはド

昼下がりの響きと情熱 〜 Trio Misterioが紡ぐタンゴとクラシックの世界へ

「Trio Misterio タンゴ×クラシック〜悲しみの三重奏〜」に伺いました。(2024.11.09@加賀町ホール) Trio Misterioのメンバーは国内外で輝かしい実績を持つ演奏家たちです。ヴァイオリンの服部佐知子さんは「高嶋ちさ子12人のヴァイオリニスト」元メンバーとして活躍し、近年はヴィオラ奏者としても活動の幅を広げています。チェロの清水唯史さんはサントリーホール室内楽アカデミー出身で、国際室内楽コンクールでも受賞歴を持つ実力派。ピアノの藤原新治さんは、リス

マエストロ三石精一と新星の邂逅

「ミュージック・エトワール特別公演「絆」〜三石精一を迎えて〜」に伺いました。 (2024/01/31@かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール) 卒寿を迎えた巨匠、指揮者の三石精一さんと、中学生トランペット奏者、児玉隼人さんが出演するエトワール・スペシャルオーケストラのコンサートは新星と巨匠の邂逅、巨匠の若々しさが感じられる特別な雰囲気の演奏会でした。 オーケストラは三石精一さんに所縁のあるプロ奏者プロフェッショナルなメンバーで構成され、コンサートマスターには名古屋

注目のハーピスト、佐藤杏樹の主催コンサート。

2024年6月2日(日)、早稲田にあるトーキョーコンサーツ・ラボにてハープ奏者の佐藤杏樹さんが企画するコンサートが開催されます。今回のコンサートの聴きどころ、ハープの奥深さについて佐藤杏樹さん(以下「杏樹」さんと表記させていただきます)にお話を伺いました! コンパス 改めて伺いますが、ハープはピアノやその他の楽器に比べて、なかなか身近な出会いが無いように思いますが、きっかけはどのようなものでしたか? 杏樹 地元の企業が倉庫の広いスペースを使って、毎年、近隣住民を招いた無料

豪華出演者による刺激的な饗宴!

『対話、そして共感へ・・・日本とユーラシアをつなぐデュオの夕べ』に伺いました。(2023/11/30@すみだトリフォニーホール小ホール) ウクライナ、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、そして日本の作品も加わえた、近現代の作品を豪華な演奏家のデュオで披露されました。 それぞれの国の民族色が絶妙にちりばめられつつ、精緻な響きが融合した刺激的な作品群を一気に体験できるとても貴重なコンサートでした! 主催の「日本・ロシア音楽家協会」(https://japan-russia-

新感覚「体験型コンサート」!

『ようこそ!クラシック〜新感覚で味わう体験型コンサート〜』に伺いました。(2023/12/21@としま区民センター8F 多目的ホール) “新感覚で味わう体験型コンサート”と銘打ったこのコンサートは、まさに言葉通り新感覚でした!奏者は客席全体を囲むように円形に位置し、聴衆はその中心で聴いたり、奏者の真横で聴いたり、そして、時に移動も許されたりと、未体験の音響空間を楽しむことができました。そしてこのコンサートの特徴はまだ小さな子供も積極的に会場に来てもらっていることです。束縛が

気鋭のトリオ、ホレミーロの魅力が全開!

『トリオホレミーロ リサイタル』に伺いました。(2024/01/10@ノナカ・アンナホール)   ホレミーロ(Horamiro)はクラリネットの三浦こと美さん、ヴァイオリンの堀内響子さん、ピアノのロドリゲスありさ さんのメンバーで15年にわたり活動しているアンサンブルです。すでに国内外のコンクールで最高位を獲得してきた実力派です。この日のコンサートではドイツの作曲家バウスネルンのセレナーデ、メノッティの三重奏曲、そしてバーンスタインのウエストサイドストーリーから3曲が演奏され

ハープ奏者 佐藤杏樹プロデュースの20世紀初頭パリのハープ音楽を聴く

佐藤杏樹プロデュース ハープ・レクチャーコンサート×リサイタル 第1回ピックアップハーピスト「ミシュリーヌ・カーン」(2023/10/29@同仁キリスト教会)に伺いました。 日曜日の夜、東京文京区にある同仁キリスト教会にて行われたハープ奏者の佐藤杏樹さんがプロデュースしたコンサートは、アカデミックな雰囲気とサロン的なリラックスした気分に浸れる素敵なひと時を与えてくれました。ハープの歴史は楽器がもつ機能性の向上と、それを効果的に発揮できる曲、そしてそれを表現できる演奏家の密接

創意工夫に満ちたVivid Opera Tokyoの舞台

家族で観よう!『ヘンゼルとグレーテル』(B公演)に伺いました。(2023.05.04@府中の森芸術劇場ウィーンホール) このコンサートはフンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」全3幕を1時間程度に凝縮した Vivid Opera Tokyo 主催による創意工夫に満ちたプロダクションです。 フンパーディンク(Humperdinck)はワーグナーの知己をえたドイツの作曲家です。グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』をもとに3幕のオペラを作り上げました。現在ではこのオペラが彼の

浜匡子・響きのさらにその先へ

『浜匡子ヴァイオリンリサイタル』に伺いました。(2023.04.28@杉並公会堂小ホール) プログラム前半はJ.S.バッハ「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 BWV1016」、モーツァルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第29番 K.305」。会場となった杉並公会堂は荻窪駅から徒歩5分程度の好立地にあり、小ホールは建物の地下2階にあります。地下2階には中庭があり、外光が入る落ち着いた空間です。前半の演奏はこういった環境での落ち着いた気持ちに寄り添うような

ヒナステラの祭典!

『ヒナステラの祭典 Vol.1 〜第1回ヒナステラオンライン音楽コンクール入賞者×日本ヒナステラ協会会員による饗宴〜』に伺いました。(2023.04.25@としま区民センター小ホール) このコンサートは日本ヒナステラ協会初の記念的な公演になりました。第1回目となるこのコンサートでは協会会員とオンライン企画入賞者が出演して、アルゼンチンの作曲家ヒナステラの曲を中心に熱気に満ちた演奏が繰り広げました。 ヒナステラ(Alberto Ginastera)は1916年にブエノスアイ

音楽を身近に感じさせてくれた井関るみさんのコンサート

『WAKU WAKU ~アニメ映画音楽と朗読劇を小さなオーケストラで♪』に伺いました。(2023.04.05@すみだトリフォニーホール 小ホール) このコンサートでは指揮を務めた井関るみさんによるジブリやディズニーを現在までに愛されているアニメで使われた曲のアレンジもので全編組まれました。編成は弦楽5部と木管3部、ハープという室内オーケストラバージョンです。誰もが耳をしたことのある曲をいわゆるアコースティックな楽器を通して聴くとそのニュアンスがより豊かに聴きことができました

坂原菫礼 ピアノリサイタル での発見!

坂原菫礼(SAKAHARA Sumire) ピアノリサイタルに伺いました。(2023.04.19@ノナカアンナホール) 坂原さんは上野学園大学を首席で卒業し、令和3年度音楽大学卒業生演奏会(皇居東御苑内桃華楽堂)など、すでに多数の演奏会に出演している若手の中でも注目のピアニストです! ドイツへの留学を念頭に組まれたこの日のプログラムはベートーヴェンのピアノソナタ第27番、ドビュッシーの「版画」、シューマンの「謝肉祭」でした。昼下がりの渋谷で開催されたコンサートは熱心な聴衆

ショスタコーヴィチの魅力が全開!

ロマーシュカ・フィルハーモニー創立記念演奏会に伺いました。(2023.04.01@杉並公会堂大ホール) ロマーシュカ・フィルハーモニーはショスタコーヴィチの交響曲第7~9番の「戦争三部作」の演奏を目標に創立されました。この日演奏されたのは交響詩《十月革命》作品131と交響曲第7番《レニングラード》作品60でした。なかなか実演で聴く機会がないこれらの大曲は一見その規模感に圧倒されますが、実に多彩なニュアンスとメロディーの豊かさが息づいて、魅力的な曲だということを再認識させてく