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『お探し物は図書室まで/青山美智子(ポプラ社)』を読んだ感想。

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一章 朋香 二十一歳 婦人服販売員
今どき、ノートパソコンに、オフィスも、エクセルも入っているって知らない若者っているの?図書室に入るまでつまらなかったけど、小町さんの登場で、銭天堂の紅子さんを思い出した。ラーメンの汁をごくんと飲む音は、電話で聞こえるような気がするけど。沼内さんの対応は見事だったけど、リンスで通じるのかな?(シャンプーの後には、コンディショナー、トリートメントを使う場合も多い。)『ぐりとぐら』のカステラは、ネットに公式レシピが出てる。絵本の感想に、登場人物達の性格が出ていて面白いなあって思った。


二章 涼 三十五歳 家具メーカー経理部
お店は難しいかも知れないけど、SNSやネットで売ってる人は今たくさんいると思う。どこで、図書室が出て来るのか気にしながら読んでた。一番下に書いてある本が大事なのかな?と思いながら読んでいる。三十五歳で、お店を持つことを考えているのに、ソーシャルビジネスも、クラファンも知らないなんて、よく分からない。デパートのイベント最終日は、閉館時間までやっているところがあるなんて、知らなかった。ええ話なんやけど、こんなに上手く行くかなあ…。社長の姪とえらいことになったけど、今はコネ入社の方が嫌われるし。兼業の方がいいとは思うけど、専業否定し過ぎに思えた。確かに兼業の方が堅実だとは思うけど、体力値的に難しい人達もいるし、みんながそんな器用なわけでもないと思うから。

三章 夏美 四十歳 元雑誌編集者
のぞみちゃんは、「高卒なので、司書になるためには三年の実務経験が必要(P.131)」と書いてあったけど、コミュニティハウスの図書室とはいえ、司書資格を持っている人を募集すると思うんだけど。
四十歳は、韓流ドラマが好きだと決めつけないで欲しい。
みづえ先生の『ピンクのプラタナス』を読んでみたかった。お人柄が良かったので。メリーゴーランドと遊園地の例えが良かった。
面白かったし、いい話だったけど、うちはサンタクロースの存在を肯定しない家だったので、サンタクロースの話は、あまりよく分からなかった。
主人公が行動を起こしたから、今まで経験を積み上げてきたから、状況が動いたのだとしても、正直、こんなに上手く行くかなあ?と思ってしまった。
あと、一気に読んでしまわないと、「月の目」と「太陽の目」を忘れてしまうので、注意が必要かな。

呉宮堂のハニードームが気になって仕方なかった。

四章 浩弥 三十歳 ニート
現実はここまで上手く行かないかも知れないけど、私もコミュニティハウスに行ってみたいな。小町さんのレファレンスを受けてみたい。小町さんが養護の先生をしてた頃の小学校の保健室に行ってみたい。こんな先生、必要だよね。やはり、のぞみちゃんは、小町さんが面倒見てたし。
浩弥くんは、ネットで絵を発表したのかな?すればいいのに、って思ってた。
あと、浩弥くんの絵は、小さな子どもによくウケるらしいから、子ども向けのイラストや本の仕事もいいかもなと思ってしまった。
酢豚のパイナップル、私は好きなんだけど、人気もあると思ってたけど、嫌がる人いっぱいいるとは知らなかった。

五章  正雄 六十五歳 定年退職
六十五歳を「思っていたよりずっと若い(P.241)」と書きながら、好きなものや楽しみにしていることが「たとえば晩酌のビールや、日曜日の大河ドラマ」、妻に勧められたのが囲碁教室…。
今までの利用者がみんな、当たり前のように「のぞみちゃん」と呼ぶので、失礼だろう…と思っていたら、「のぞみさん」呼びが出て来た。
私も、羊毛フェルトやりたくなってきた。
カジカくらい、自分で調べなよ…。
世の中、いろんな人がいるけど、仕事だから、人を不審者と決めつけて、威嚇してもいいのかな?
草野心平の「窓」を読んで、正雄さんと娘の千恵さんは、まるで違う風景を見ている(P.291)と書いてあったけど、何か似てるな、親子だなって思ってしまった。
ずいぶんよく出来た娘さんだ。
出来れば、私も作り手になりたいけど、よく似たことをむかし友達に言われたことを思い出した。私の場合は、事務だったけど。
養ってくれる夫がいるならいいだろうという空気が漂っていたという(P.298)依子さんのリストラの話の後の彼女の「(前略)べつに、何も失っていないじゃないって。だって、私自身はそれまでと何も違わないもの。」という言葉からは、YUIの『YOU』という曲を思い出した。
最後まで小町さんの夫は登場せず、彼女の伴侶の呼び方も「夫」なのが良かった。
草野心平の『窓』は、私も読んでみたくなった。
『正雄のうた』の節が気になる。

私は、三章から面白くなった。中身も構成も特に新しいわけでもないけど嫌いじゃない。




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