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「意志を持ち続けるスタートアップの希望の星になりたい」代表 髙橋が掲げるジョインドスタートアップとは

こんにちは。コネヒト公式noteのりっちゃまです。

家族を軸に掲げて事業を展開するコネヒト社。その特徴の一つに、KDDIグループの子会社でありながら、自らを「ジョインドスタートアップ」と表現していることが挙げられます。

M&A時には注目されるスタートアップ企業ですが、M&A後の内情はなかなか注目されません。どこか風潮としても「親会社の介入が大変そう」「パッションが失われそう」などの印象を受けることも。

「M&A後こそ、本当のスタートライン。結婚と一緒です!」

そう語るのは、2022年より「二代表制」になったコネヒトの代表取締役として就任した高橋さん。コネヒト社が今年度から新たに押し出した「ジョインドスタートアップ」という企業のあり方について話をしてもらいました。

高橋恭文(写真右):株式会社アルバイトタイムスに新卒入社し、求人広告営業を経て、外食起業支援・定着支援事業を立ち上げ。2010年に株式会社カカクコムに入社し、『食べログ』のマネタイズ草創期から、チャネル責任者、ビジネスプロダクトマネージャーとして食べログの課金店舗を拡大。その後、2014年にRetty株式会社に入社し、執行役員、営業責任者として『Retty』のマネタイズに従事。2018年にコネヒトに入社し、営業部責任者、社会発信を担当し、2019年より執行役員として企画戦略室で社会性事業を立ち上げ、2022年4月より代表取締役に就任。


「社会に新しい価値を生む」 スタートアップが存在する意味とは

ー「ジョインドスタートアップ」は聞きなれない言葉ですが、新たに打ち出した理由は何ですか。

そもそも僕の中には、スタートアップは多様であるという前提があります。

僕の中でのスタートアップの定義は、社会課題を解決するための手段として事業をやっている状態のことです。世の中のありたい姿、生活のありたい姿を描き、理想と現実のギャップを解決するために集団で取り組んでいる状態なんです。

社会課題を解決するための手段として事業をやっている状態であれば、資金調達をしてIPOやバイアウトを目指す企業だけでなく、社内起業やM&A後の企業もスタートアップだと考えているんです。

ー確かに、どこかスタートアップを限定的に捉えていたのかもしれません。

それはりっちゃまだけでなく、世間一般的にも限定的に捉えられていると感じています。アンコンチャスバイアスだなと思うのですが、「スタートアップ」を無意識に色眼鏡で見ているのではないでしょうか。

例えば、スタートアップの目的は極端に短期間での成長を目指す企業であるというイメージがあったり、資金調達フェーズであるイメージがあったり、ゴールはIPOまたはM&Aというイグジットであるというイメージがあったりしますが、私はスタートアップはもっと多様であり、もっと多様に捉えるべきだと考えています。

そういった意味で、コネヒトのような今一般的にイメージされるスタートアップとは異なる企業の状態をどのように説明すべきか色々考えてきた中で「ジョインドスタートアップ」という言葉に行きつきました。

ースタートアップの多様性について考えるきっかけはなんだったのですか。

大きな理由は多様なスタートアップを経験してきた僕自身のキャリアだと考えています。

新卒で入社したアルバイトタイムスは、設立して30年ほど経ったシニアスタートアップでした。入社後すぐに上場し、経営体制が変わった様子を見てきました。上場したアルバイトタイムスの中で、僕は社内起業というかイントレプレナーとしてスタートアップをやっていました。アルバイトの短期離職が多いことが社会課題になっており、従業員満足度の大切さなどが流行った時期で、外食企業相手に人をやめさせないビジネスをやっていました。残念ながらリーマンショックの影響で事業をたたむことにはなったのですが、上場企業の中に存在するスタートアップを体験しました。

2社目のカカクコムは、当時新規事業だった「食べログ」のマネタイズを担いサービスを拡大しました。その後カカクコムはデジタルガレージにジョインしたのですが、外食企業のプラスを作りたいというアルバイトタイムスからの興味がなくなったわけでも、熱量がさがった訳でもありませんでした。僕のM&Aジョインドスタートアップという経験はここが初めてかもしれません。す。

3社目のRettyでは、ビジネス社員1号として事業化を行い、上場手前まで伴走をしてきました。アルバイトタイムスで体験できなかった、IPOというゴールを見据えた事業作りということを体験しました。
こうして様々な企業の成長を見てきた中で、実は僕は様々なスタートアップを経験してきたなと感じたんです。

「多くの資金調達をした方がえらい」であったり「上場をした人がすごい」などのIPOやM&Aをゴールにする風潮を感じ、違和感を覚えるようになったんです。社会に新しい価値を生み出し続けていくことこそが、スタートアップの姿だと考えています。IPOやM&Aは、あくまで新たなスタート地点。そこからが本当にやりたいことをやれるチャンスなのに、その目的や熱量がどこか軽視されている気がしたんです。IPOやM&Aでゴール達成!みたいな世界観に違和感を感じたんだと思います。

株主とスタートアップ企業のスイートスポットがあるはず

ー「IPOやM&Aは新たなスタート」って話を深掘りたいです。

IPOでもM&Aでもよいのですが、イグジットがスタートアップの唯一のゴールではないのではないかと思うんです。

よくスタートアップと株主の関係性を結婚に例えるのですが、パートナーと出会って、お互いを知ることを楽しみながら共有したい未来を一緒に描いていきますよね。それがとにかく楽しくて、その未来にコミットしたくて結婚する。だとすると、結婚は新たなスタート地点でしかなく、ゴールじゃないんです。スタートアップと株主の関係性もそうだと思っていて、相性がよいからIPOやM&Aというステップを踏むのですが、それはあくまでスタートアップと株主の関係性とお互いに対するコミット力をより強くするものであり、ゴールではない。

言い換えると、上場したりM&Aを通じて資本提携するのは、あくまでやりたいことをし続けるための手段でしかありません。上場後の世界や参画した後の世界の方がパートナーが増え、資金が集まるからこそ、本当にやりたかったことができるはずなんです。共有した未来に向かって進みやすくなるはずなんです。

株主の意向に合わせることさえできれば、ある程度好きなようにできるのが資本提携の醍醐味だと思っていて、株主の意向とスタートアップ企業の目的の双方のスイートスポットがあるはず。それを見つけるのがとにかく楽しいし、それを実現しようとしている企業の状態を「ジョインドスタートアップ」と呼んでいます。

ーコネヒトとKDDIの関係性から見て現在の状況をどう捉えていますか。

コネヒトは、「あなたの家族像が実現できる会社をつくる」をビジョンを元に、KDDIと資本連携をしました。コネヒトとしては、この壮大なビジョンを達成するために必要なKDDIの資本やブランド力を得ましたし、KDDIとしては、大切にしてきてはいたが単体ではなし得なかった「社会的付加価値」や家族文脈での「生活者課題の解決」を社会にわかりやすく伝える術を得た。結婚に例えると、共に成し遂げたい未来が重なっていて、その未来に向かって一緒に進みたいという情が芽生えたということだと思います。

これからのスタートアップの希望を作りたい

ーなるほど。ちょっと先走ってしまいましたが、そもそも高橋さんがコネヒトに入社した理由はなんですか。

これまで多くのスタートアップで働く経営陣を見てきましたが、上場(=結婚)をゴールに意識すると、どこか置きにいっていると感じる場面がありました。多数決のように予想の範囲内の行動を取ることがあり、大胆さが欠けてもどかしさがあったんです。

でも彼らは変わったのではなく、株主が多数いるという構造上の問題だと気づきました。上場すると、たくさんの株主の意見を聴きながら、多くの人たちの意向を踏まえた会社運営をしていくことになります。そうすると思い切ったこともできないし、意見をまとめようとする意識が強くなるので、自然と動きづらくもなります。

M&Aの場合は資本連携した企業との少数意見で方針を決めることができます。株主の意向を受け入れつつも、対話をし続けていくことができるんです。そうするとスタートアップは、当初から持っている意志を損なわずに経営方針に反映させていくことができるのではないか。この問いが立ち、M&A後であったコネヒトに入社しました。

ー意志を持っているかが重要になってきますね。

はい。何らかの社会課題を解決したいスタートアップだからこそ、資本体系が変わっても意志を反映していくことが重要になるんです。

よく「ジョインしました!」とスタートアップに参画した時に使う人もいると思うんですが、「ジョイン」は能動的な意志表示だと捉えています。「入社しました!」とはちょっと違うニュアンスがありますよね。スタートアップ企業では、M&A後もどこまで主体的に企業、組織、メンバーが意志を持ち続けられるかが大切です。

今後も株主と対話をしながら、本来やり遂げたいことをどう実現していくかを考え続けていきたいと思いましたし、「ジョインドスタートアップ」という新しい形を示すことで、これからのスタートアップの希望を作りたいと思っています。

「ジョインドスタートアップは、やりたいことができるし面白いよね!」そんな価値観を作っていきたいと思っています。

ーありがとうございました。